デューデリジェンスとは?目的や種類、流れや費用などを解説

投稿日:2022/08/11

更新日:2022/08/11

M&Aで実施するプロセスの中に、デューデリジェンスというものがあります。

デューデリジェンスは、売り手企業の情報や買収リスクなどを把握するために重要な要素です。

この記事では、デューデリジェンスを実施する目的や流れ、種類や費用などを解説していきます。

デューデリジェンスとは?

M&Aにおけるデューデリジェンス(Due Diligence)とは、買い手企業が売り手企業に対して行う事前調査です。

日本語に略すと、Dueには「正当な・当然の」、 Diligenceには「勤勉・努力」といった意味があります。

デューデリジェンスにはさまざまな呼び名があり、「DD」「デューデリ」「買収監査」とも言われます。


M&Aによって買収する企業を調べる場合、売り手企業側から聞いただけの情報では、充分な信頼性が有るとは言い切れません。

負債やリスクなどを抱えていたことによって、買収した結果充分な利益を得られないことも考えられます。

状況によっては、売り手企業側が把握できていない情報などもあるでしょう。

充分に企業情報を確認できていない状況で買収することは、買い手企業にとって大きなリスクです。

そのため、買い手企業側はデューデリジェンスを実施して、売り手企業の情報を把握する必要があるのです。

買収後の統合作業をスムーズに進めるためにも、デューデリジェンスの実施は不可欠です。

売り手企業の協力も必要

デューデリジェンスを適切に行うためには、売り手企業側の協力も必要です。

一見すると、売り手企業側の立場から考えれば、デューデリジェンスに関して積極的に協力するメリットは無いように感じるかもしれません。

しかし、売り手企業がデューデリジェンスの実施に非協力的だと、買い手企業側との信頼関係に影響が出てしまい、M&A自体が成立しなくなる可能性があります。

M&Aを成功に導くためにも、売り手企業側はデューデリジェンスに関してできる限り協力をしましょう。

基本合意契約の締結後に実施される

デューデリジェンスを実施するタイミングは、基本合意契約を締結した後に行います。

基本合意契約とは、両社間で合意した内容を確認するために結ぶ契約であり、M&Aを進めていく意思表示にもなります。

基本合意契約を結ぶ前にデューデリジェンスを実施してしまうと、実施にかかる手間やコストが無駄になるかもしれません。

したがって、デューデリジェンスは基本合意契約を締結した後に行うのです。


また、基本合意契約書には、一部の項目を除き法的な拘束力がありません。

デューデリジェンスの結果次第では、買収価格などを変更することも可能です。

デューデリジェンスの目的

デューデリジェンスを実施することで、売り手企業の現状や企業価値、買収リスクなどを把握することができます。

M&Aの手法を決める際にも、デューデリジェンスの実施は欠かせません。

ここからは、デューデリジェンスを実施する目的について個別に解説していきます。

1.企業の現状・実態を確認するため

デューデリジェンスを実施する大きな目的は、企業の現状や実態を確認するためです。

買収する企業がどのような状態であるのかを把握できなければ、M&Aを実施してよいのかを判断することができません。
買収することによって獲得したい利益は入手できるのか、想定していたシナジーを生み出せるのかなども解らないでしょう。

それらを把握するためにも、デューデリジェンスの実施は不可欠です。

また、株主や顧客、従業員などに対して説明する際にも、買収する企業の情報が必要になります。

デューデリジェンスは、M&Aによって企業を買収することに関して、第三者への状況説明を行うためにも重要です。

2.企業価値を把握するため

企業の売却価格は、企業価値評価の算定結果によって基準となる値が決められます。

しかし、最終的な売却価格を決定するためには、簿外債務や想定されるシナジーなどを加味しなければいけません。

それらを把握する方法として、デューデリジェンスは有効な手段であるといえるでしょう。

適切な売却価格を決めるためにも、企業の内部調査であるデューデリジェンスを実施することは重要です。

【関連記事】M&Aにおける企業価値評価(バリュエーション)とは? 種類やメリットも解説!

3.M&Aの手法を決めるため

M&Aを実施するための手法には、「株式譲渡」「事業譲渡」「吸収合併」など、さまざまな種類が有ります。

手法によって異なるメリットやデメリットがあるため、状況に合わせて適切な選択をしなければいけません。

M&Aの手法を決めるための状況把握の方法として、デューデリジェンスは有効な手段です。

例として、手法の一つである事業譲渡は、買収する対象を選択することができるため、リスクを切り離してM&Aを実施することが可能です。

デューデリジェンスの結果を踏まえて、最適なM&A手法を選択しましょう。

【関連記事】M&Aの手法は何がある?特徴やメリット・デメリットも解説!

4.買収によるリスクを把握するため

デューデリジェンスは対象となる企業の内部を調査するため、売り手企業が抱えている問題点などを把握することができます。

買収後に簿外債務などが発覚した場合、M&Aを実施したことによって損失が生じるかもしれません。

リスクを把握できていないことによって、適切では無い価格で買収してしまう可能性もあります。

それらを回避するためにも、デューデリジェンスによって売り手企業の情報を把握するとこは重要です。

事前に問題点などを把握すれば、契約の内容を変更することによってM&Aを有利に進めることができます。

売り手企業側も、事前に問題点を把握し解消することで、売却価格の低下を防ぐことも可能です。

契約が完了した後では契約内容の変更などができないため、デューデリジェンスは最終契約前に実施しましょう。

デューデリジェンスは多くの種類がある

デューデリジェンスは、企業の内部状況を適切に把握するために実施されます。

必要になる情報は企業によって差があるため、デューデリジェンスで実施する調査項目は一つではありません。

そのため、デューデリジェンスを実施する際には、状況に合わせて下記の調査内容から選択することになります。

ここからは、デューデリジェンスの種類について、基本的な項目と状況によって実施される項目を分けて紹介します。

基本的なデューデリジェンスの種類

基本的なデューデリジェンスの種類は、主に以下の6つが挙げられます。

1.ビジネスデューデリジェンスビジネスモデルなどの経営に関する調査
2.財務デューデリジェンス決算書や簿外債務など財務に関する調査
3.税務デューデリジェンス納税状況などを確認して税務リスクがないかを把握するための調査
4.人事デューデリジェンス人事制度や人件費など人事に関する調査
5.法務デューデリジェンス法的な問題点や訴訟リスクを抱えていないかなどを把握するための調査
6.ITデューデリジェンス事業を行う上で必要なシステムに関する調査

1.ビジネスデューデリジェンス

ビジネスデューデリジェンスとは、対象企業の経営や事業などに関する調査で、「事業デューデリジェンス」とも呼ばれています。

調査の項目は、ビジネスモデル・製造ライン・取り扱い製品・顧客など多岐に渡ります。

この調査を実施することによって、買収を検討している企業が市場でどのような立ち位置であるかなどを把握することが可能です。

ビジネスデューデリジェンスの結果を踏まえて分析を行い、買収することで利益を得られる企業であるかを把握します。

2.財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスとは、売り手企業から提供された財務状況をもとに実施する調査です。

調査する対象は、事業計画書・決算書・金融機関に提出した書類など多岐に渡ります。

提供された情報によって、売り手企業の財政状態・経営成績・簿外債務・収益性などを把握し、将来的なキャッシュフローを予測します。

中小企業などの場合は、自社の財務について正しく把握できていないことがあるため、財務デューデリジェンスの実施は重要です。

また、統合に関するリスクの評価も財務デューデリジェンスによって行われます。

3.税務デューデリジェンス

税務デューデリジェンスとは、売り手企業の税務状況を把握するために実施される調査です。

過去の税務申告書や納税状況などを分析し、追徴課税といった税務リスクを把握することを目的として実施します。

この調査に対する結果はM&Aの手法や買収価格に反映されるため、重要な調査項目であるといえるでしょう。

買収後に過去の納税漏れが発覚した場合、支払義務は買い手企業が負うことになります。

そのような不足の事態を招かないためにも、税務デューデリジェンスの実施は欠かせません。


また、税務デューデリジェンスの結果次第では、事業譲渡などの手法を選択することによって税務リスクを回避するのも有効です。

4.人事デューデリジェンス

人事デューデリジェンスとは、人材に関する情報を把握するための調査です。

調査対象は、人事制度や人員の構成、人件費などが挙げられます。

この調査は、対象となる企業とのM&Aが成立した後も、事業をスムーズに行えるかを把握することを目的に実施されます。

人材に対する状況把握が不十分だった場合、人事制度などに不満を持っていた従業員が、将来的に離職するかもしれません。

売り手企業の人事制度などを確認し、両者間ですり合わせを行い、人員の流失を防ぐような契約を結びましょう。

5.法務デューデリジェンス

法務デューデリジェンスとは、対象企業が法的な問題点を抱えていないかを把握するための調査であり、「リーガルデューデリジェンス」とも呼ばれます。

具体的な調査内容は「企業活動に法的な問題がないか」「訴訟のリスクを抱えていないか」「売却価格の算定結果に影響する法的な問題はないか」などが挙げられます。

また、許認可も法務デューデリジェンスで確認する内容となっており、事業を運営するためには重要な要素です。

法務デューデリジェンスによって得られた結果も、最終契約の条件に反映させましょう。

6.ITデューデリジェンス

ITデューデリジェンスとは、事業を行う上で必要なシステムに関する調査です。

M&A成立後にはシステムの統合を行うこともありますが、障害などが発生してしまうと事業をスムーズに行うことができません。

システムに関して事前に調査を行えば、統合にかかる費用や工数などを事前に把握することができます。

状況次第では新たにシステムを導入することもあるため、そのような判断を早期の段階から行うことも可能です。

ITデューデリジェンスの結果を考慮して、事業計画の組み立てを行いましょう。

その他のデューデリジェンスの種類

上記のデューデリジェンス以外には、下記のようなデューデリジェンスも実施することがあります。

1.環境デューデリジェンス土壌の汚染や廃棄物管理方法など環境に関する調査
2.不動産デューデリジェンス建物の面積や立地などの不動産に関する調査
3.知的財産デューデリジェンス特許などの知的財産に関する調査
4.技術デューデリジェンスハードウェアを中心とした技術に関する調査
5.カスタマーデューデリジェンス新規顧客や既存顧客などを対象とした調査
6.人権デューデリジェンス労働条件などの人権に関する調査

1.環境デューデリジェンス

環境デューデリジェンスとは、環境問題に関する調査のことであり、製造業などを買収する際に行われる傾向があります。

具体的な調査内容は、地下水や土壌の汚染、廃棄物の管理方法などが挙げられます。

近年、環境問題に関する取り組みが国内外を問わず注目されており、業種次第では事前に買収リスクを把握することができる重要な調査項目です。

買収後、売り手企業側が環境に悪影響を与えていたことが発覚した場合、回復責任は買い手企業が負うことになります。

そのような自体を防ぐためにも、売り手企業の事業内容に合わせて環境デューデリジェンスを行いましょう。

2.不動産デューデリジェンス

不動産デューデリジェンスとは、M&Aによって不動産の売買が発生する際に行われる調査です。

調査内容の幅は広く、権利などの法律面や建物の面積、立地と収益の関連性など多岐にわたります。

また、不動産デューデリジェンスを実施するのは、主に不動産鑑定士などの専門家です。

周辺環境や地震リスクなども調査することもあるため、専門性が求められる調査項目であるといえるでしょう。

3.知的財産デューデリジェンス

知的財産デューデリジェンスとは、特許や著作権といった知的財産に関する調査です。

近年では知的財産の獲得を目的としたM&Aが増えてきており、知的財産デューデリジェンスの重要性が高まっています。

この調査では、該当する知的財産にはどれほどの価値があるか、他社の知的財産を侵害していないかなどを調べます。

注意点として、知的財産デューデリジェンスの実施は法律などの知識やノウハウが求められるため、個人で行うことは容易ではありません。

知的財産デューデリジェンスの実施を検討している際は、知的財産に詳しい弁護士への依頼や、実施そのものを見送るといった対策が求められます。

4.技術デューデリジェンス

技術デューデリジェンスとは、売り手企業が所有している技術を対象にした調査です。

実施する内容には、主にハードウェアに関する調査が挙げられます。

売り手企業が事業を行う際に特殊な技術を使用していた場合には、その技術に関する調査は欠かせません。

また、ハードウェアに関する技術力以外にも、有形資産そのものに対する価値評価や、品質の調査も行います。

5.カスタマーデューデリジェンス

カスタマーデューデリジェンスとは、顧客の情報を対象とした調査で、顧客デューデリジェンスとも呼ばれています。

具体的には、顧客との取引内容や、新規顧客や既存顧客の情報などを対象にした調査です。

顧客に関わるさまざまな情報を把握することで、どのような低減措置を実施するべきなのかを判断します。

また、金融機関などが取引を行う際には、顧客の所属団体や資金の流れを把握することが重要なため、カスタマーデューデリジェンスを必ず実施する必要があります。

6.人権デューデリジェンス

人権デューデリジェンスとは、売り手企業が人権に関わる問題を抱えていないかを把握するために行う調査です。

海外に製造工場を保有している場合などに行われる傾向があり、労働条件や労働環境などを対象に調査を行います。

近年では国内外問わず人権デューデリジェンスが重要視されており、国会では法制化に関する議論が行われたこともあります。

人権に関するリスクを抱えることは、企業イメージの低下や株価の下落などに繋がる可能性があるため、今後も人権デューデリジェンスの重要性は広まっていくでしょう。

売り手が費用を負担する「セルサイドデューデリジェンス」

上記で紹介した特定の対象を調査するデューデリジェンス以外にも、セルサイドデューデリジェンスというものがあります。

セルサイドデューデリジェンスとは、売り手企業が自身で行うデューデリジェンスのことを指します。

セルサイドデューデリジェンスを実施することによって、売り手企業は自社が抱えている問題点を事前に把握することができます。

財務や事業に関する問題点を把握できれば、事前に対策を打つことができるため、M&Aをスムーズに進めやすくなるでしょう。

加えて、リスクを保有していたことによって、売却価格が下がるといったことも回避しやすくなります。

注意点として、セルサイドデューデリジェンスを実施する際は、調査費用を売り手側が負担することになります。

しかし、実施することによって得られるメリットも大きいため、M&Aを成功させるための一つの手段として覚えておくと良いでしょう。

デューデリジェンスを実施する際の流れ

M&Aを行う際に必須であるデューデリジェンスは、具体的にどのような流れで進めていけば良いのでしょうか?

ここからは、デューデリジェンスを実施する際の流れについて個別に解説していきます。

  • 1.売り手企業と秘密保持契約を結ぶ
  • 2.調査チームを作り方針を決める
  • 3.情報の確認を行う
  • 4.売り手企業に必要な資料を請求する
  • 5.結果をもとに対応を進める

1.売り手企業と秘密保持契約を結ぶ

デューデリジェンスで確認する情報は、ビジネスモデルや財務、人事制度など多岐にわたります。

当然、外部に漏れては行けない情報もあるため、秘密保持契約の締結は必須事項といえるでしょう。

また、最終契約を締結する前にM&Aを行うことが広まると、従業員に不信感を与えてしまう可能性があります。

M&Aを成功させるためには、情報の取り扱いに関して細心の注意を払うことが重要です。

2.調査チームを作り方針を決める

秘密保持契約を締結した後は、デューデリジェンスを行う担当者や、税理士や弁護士などの専門家を収集します。

調査を行う人物を選定した後は、どのような方針でデューデリジェンスを進めるかを決めましょう。

具体的には、何を対象に調査を行うのか、どのような段取りでデューデリジェンスを進めていくのか、完了時期はいつなのかなどを決定します。

また、自社と関連のある専門家がいない場合は外部から探す必要があります。

3.情報の確認を行う

方針が定まった後は、売り手企業から提供された情報の確認を行いましょう。

確認する情報は、会社概要や契約書、許認可や社員名簿など多岐に渡ります。

実施するデューデリジェンスの内容に合わせて、提供された資料を元に問題点がないかなどを調べます。

4.売り手企業に必要な資料を請求する

売り手企業から渡された資料のみでは、十分な調査ができないこともあります。

情報が不十分な場合は、売り手企業に必要な資料を請求しましょう。

また、資料を請求しても解らないことがあった際には、売り手企業に直接聞き取り調査を行います。

聞き取り調査を行う際には、事前に質問する内容をまとめておけば、効率的に情報の確認ができます。

聞くべき内容に漏れが生じないように、質問事項を決める際は専門家にも協力をお願いしましょう。

聞き取りを行う際には、M&Aを実施することを売り手企業の従業員に悟られないように注意が必要です。

5.結果をもとに対応を進める

必要な情報が集まったら、それらをまとめたデューデリジェンスレポートを作成します。

作成したレポートを元にリスクの有無を把握し、売り手企業を買収するべきなのかを判断しましょう。

抱えているリスクの規模が小さい場合は、買収価格を下げるように交渉するといった対策も有効です。

また、早急に解消できる問題であれば、売り手企業側に解決するように依頼するという対策方法もあります。

デューデリジェンスの注意点・ポイント

デューデリジェンスを実施する際には、注意するべき点やおさえておきたいポイントがあります。

それらを把握して、効率的にデューデリジェンスを進めていきましょう。

  • 1.優先順位をつけて進める
  • 2.開示された情報の取り扱い
  • 3.売り手企業は積極的に情報を提供する
  • 4.M&A仲介会社などの専門家に依頼する

1.優先順位をつけて進める

デューデリジェンスを実施する際には、情報を多く集めることも重要ですが、後先を考えずに調査するのは効率が良くありません。

調査に時間を掛けすぎてしまうと、実施にかかるコストを無駄に消費してしまいます。

デューデリジェンスを進める際は、調査する情報に優先順位をつけ進めましょう。

計画している調査期間内で終わらせるためにも、調査項目を絞りながら無駄が無いように進めることが大切です。

2.開示された情報の取り扱い

デューデリジェンスで得られる情報には、外部に漏れると問題になるような内容が含まれます。

重要な情報が漏れた場合は、M&Aが破綻するだけではなく、損害賠償を請求されることも十分にありえます。

買い手企業側は、開示された情報を誤って外部に漏らさないように、徹底的な管理を行いましょう。

また、売り手企業は情報漏洩の可能性を抑えるためにも、秘密保持契約の締結を必ず行うことが重要です。

3.売り手企業は積極的に情報を提供する

売り手企業が積極的に情報を提供することは、デューデリジェンスを効率良く進めるためのポイントです。

デューデリジェンスに協力的であれば、買い手企業からの信頼も得られるでしょう。

また、自身がリスクを抱えていた際にも、そのような情報を隠さず伝えることが大切です。

デューデリジェンスの実施によって発覚した場合には、買い手企業からの信用を失いM&Aが中止になることも考えられます。

売り手企業は、買い手企業がスムーズにデューデリジェンスをできるように、可能な限り協力しましょう。

4.M&A仲介会社などの専門家に依頼する

デューデリジェンスで調査する項目には、法的な専門知識が必要な内容も含まれます。

個人で行うのは困難であるため、デューデリジェンスを実施する際は、弁護士や税理士などの専門家に依頼しましょう。

また、M&A仲介会社にサポートを依頼することも有効な手段の一つです。

M&A仲介会社は専門家との繋がりを有している上に、M&Aに関する全般的なサポートを受けることができます。

検討段階の相談にも無料で対応している所も多いため、M&Aに関する不明点があれば相談するのも良いでしょう。

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デューデリジェンスにかかる費用・期間

デューデリジェンスを実施する際には、どれくらいの費用や期間がかかるのでしょうか?

デューデリジェンスにかかる費用

デューデリジェンスにかかる費用は、買い手側が負担するのが一般的です。

費用の相場は、調査する内容や規模によって大きく異なります。

中小企業の場合は、会計・税務・法務デューデリジェンスのみを行う場合が多く、数十万~数百万円程度に収まる傾向があります。

ただし、調査する内容が増える場合や、腕の良い専門家に依頼する場合には、相場を上回る可能性もあるでしょう。

一方、大手企業の場合は調査範囲が広く実施する項目も増えるため、相場の目安は数百万~数千万円程度です。

デューデリジェンスの費用を抑えたい場合は、調査する項目を専門家と相談して順当な範囲で調査を実施しましょう。

デューデリジェンスにかかる期間

デューデリジェンスの実施にかかる期間は、おおよそ1~2ヶ月程度です。

ただし、調査の範囲や規模によって、発生する期間は大きく異なります。

調査する範囲が狭ければ、2週間程度ですべて完了することもあるでしょう。

注意点として、デューデリジェンスを無理やり早く終わらせてしまうと、十分な調査ができず後からリスクが発覚するかもしれません。

デューデリジェンスを実施する際は、売り手企業からの協力も得ながら、余裕のあるスケジュールを組みましょう。

まとめ

デューデリジェンスを実施することで、買い手企業は買収する際のリスクを把握することができます。

売り手企業は、買い手企業がスムーズにデューデリジェンスを実施できるように、できる限り協力することが大切です。

調査する内容は、会社の規模や業種によって異なるため、専門家などに相談して選択することをおすすめします。

デューデリジェンスの結果をもとに「M&Aを実施するべきなのか」「買収価格は適切か」と言った判断を行いましょう。

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