投稿日:2022/08/30
更新日:2022/09/26
近年、製薬会社業界では、薬価の値下げによって業界再編の動きが見られています。
製薬会社の買収は、事業規模の拡大を図るために効率的な手段であることから、頻繁に行われていくことが予測されます。
では、製薬会社を売却したいと考えている際には、どのように動いていけば良いのでしょうか?
この記事では、製薬会社を売却するメリット・売却価格の相場・売却の相談先・売却事例などを紹介していきます。
目次
製薬会社とは、新薬の開発・生産・販売・品質管理など、医薬品に関わる事業を広く展開している企業のことを指します。
医薬品の種類は、大きく分けて「医療用医薬品」と「OTC医薬品」の2種類があります。
医療用医薬品とは、医師からの処方箋を薬局に提出し、薬剤師が調剤を行う医薬品です。
一方、OTC医薬品とは処方箋が無くても購入できる医薬品のことを指し、薬の種類を自身で選択して購入することができます。
医薬品の開発には、高い技術力や豊富な人材、充実した設備などが必要です。
企業の買収はそれらを強化するために有効な手段であることから、製薬会社の買収・売却事例は増え続けていくことでしょう。
ここからは、製薬会社の買収について解説していきます。
製薬会社が業績を大きく伸ばすために、新薬の開発は必要不可欠です。
新薬の存在は他社との差別化を図るための大きな要素であるため、製薬技術の底上げが企業の課題となっているケースも少なくないでしょう。
しかし、新薬を一つ開発するためにはおおよそ9~17年もの時間が必要です。
開発費用も約500億円かかるといわれているため、新たに薬を作ることは容易ではありません。
加えて、新薬の開発成功率は約3万分の1といわれていることから、ハードルの高さが伺えます。
新薬の開発力は、製薬会社の事業規模を拡大する重要な要素です。
大手の製薬会社などは、買収によって人員や設備を獲得し、新薬の開発を行うための環境を整えている傾向があります。
また、海外を中心とした製薬会社では、OTC医薬品事業を売却し新薬の開発資金を捻出している事例が多く見られています。
買い手・売り手問わず、新薬の開発は製薬会社にとっての大きな課題であるといえるでしょう。
2019年、国内最大手の製薬会社である武田薬品工業は、アイルランドの製薬会社であるシャイアーを買収しました。
買収金額は約7兆円となっており、日本国内で過去最大の取引事例です。
武田薬品工業がシャイアーの買収を行った理由は、新薬の開発力を向上させるためであると言われています。
シャイアーの買収後、武田薬品工業はアリナミンやベンザブロックなどの有名ブランドを保有した子会社である武田コンシューマーヘルスケアを売却しました。
これは、買収によって発生した財政負担の解消および、事業の集中化を図るための選択であると考えられます。
日本を代表する製薬会社のこの動きは、今後とも注目されていくことでしょう。
今後の製薬会社業界は、国内での市場規模が縮小していくことが予測されています。
大手企業などは海外への事業展開を進めており、競争力が低い中小規模の企業は競争の激化に対応していくことが求められるでしょう。
ここでは、製薬会社の現状について解説していきます。
2010年から2018年までの医薬品生産額は大きく変化することはなく、市場はほぼ横ばい状態が続いていました。
しかし、2019年の医薬品生産額は、前年の6兆9077億円を37.3%上回る9兆4859億円を記録しました。
これは、新型コロナウイルスの完成が拡大したことによる影響であると考えられます。
製薬会社の市場規模は一時的に大きく上昇したものの、実際には市場規模が縮小していくことが予測されています。
規模が縮小していくといわれている理由は、薬価改定による薬の値段の引き下げです。
薬の値段は、2年に1度見直しが行われ、薬の値段が上がるのを防ぐ動きが見られています。
これは、類似した薬の登場によって希少性が下がった薬の値段を適切な価格に戻すためです。
新薬を開発したのにも関わらず2年おきに価格が下げられることは、製薬会社の利益に大きく影響しています。
新薬の開発は容易では無いことを加味すると、業界全体の市場規模は縮小していくことが予測できます。
現在、国内ではジェネリック医薬品を普及させる動きが見られています。
ジェネリック医薬品とは特許が切れた薬と同じ成分を含んだ薬のことです。
新薬よりも開発期間が短く価格も安いため、製薬会社と消費者側の双方にメリットがあります。
ジェリック医薬品の普及は、政府が2023年までに数量シェアを80%以上にすることを目標に上げています。
実際に、2009年には35.8%であったジェネリック医薬品のシェアは増加し続けており、2020年度のシェア率は79.0%です。
製薬会社を成長させ続けるためには、ジェネリック医薬品の開発も一つの方法であるといえるでしょう。
製薬会社の国内シェアは、薬価の引き下げによって利益を伸ばし続けることが困難な状況にあります。
そのような影響を回避するために、大手製薬会社は海外へ事業を展開する動きが見られています。
武田薬品工業の海外製薬会社の買収は、その一例といえるでしょう。
実際に、海外企業を買収した企業は国外での売上高を順調に伸ばしている傾向があります。
資本力がある大手製薬会社は、海外でのシェアを獲得しつつ業績を伸ばしていくことが予測されます。
反対に、競争力が低い製薬会社は、安定して利益を上げることが困難な状況であるといえるでしょう。
製薬会社を売却するメリットは、主に以下の5つが挙げられます。
【製薬会社を売却するメリット】
近年では、業界を問わず後継者不足によって存続が困難になっている企業が多く見られています。
後継者不足が起きている原因は、経営者の高齢化と言った理由が挙げられます。
高齢化によって引退を考えていても、経営を引き継げる相手が身近にいないこともあるでしょう。
後継者がいなければ、充分な利益を挙げられていた場合でも経営を続けることができません。
そのような状況を回避する方法として、第三者への事業承継は有効な手段です。
売却による事業承継は廃業と比較すると多数のメリットがあるため、後継者がいない場合は一度検討しても良いでしょう。
競争が激化している製薬会社業界において、中小規模の企業がシェアを獲得し続けることは容易ではありません。
業界での競争力を高めていきたいと考えている場合は、大手企業に自社を売却することで傘下に加わるという方法もあります。
大手製薬会社であれば、高い製薬技術を有しているため、新薬の開発も行いやすくなるでしょう。
両社が所有している技術力を組み合わせれば、シナジーの発揮によって想定している以上の利益を上げることができるかもしれません。
加えて、大手製薬会社は資金面でも安定している傾向があることから、経営の不安も緩和することができます。
技術力や資金の面で自社を成長させることが難しい場合は、売却による経営統合を検討してもよいでしょう。
経営不振や後継者不足などの理由で廃業した場合、従業員は新たな働き口を探さなければいけません。
従業員の生活に影響を与えることは、経営者として避けたいと考えていることもあるでしょう。
従業員の雇用を維持したい場合は、自社を売却するという手段も有効です。
大手の製薬会社などに売却すれば、給料や勤務時間といった従業員の待遇がより良いものになる可能性もあります。
廃業した際と比較したメリットの一つに、従業員の雇用維持が挙げられます。
中小規模の企業の場合、経営を行うために個人保証によって融資をうけて経営しているケースが見られます。
経営状況が悪化すると個人の資産を失うリスクがあるため、そのような状況が精神的な負担になっていることもあるでしょう。
特に、競争が激化している製薬会社業界では、安定して利益を高めることが容易ではありません。
経営のプレッシャーは、異業種よりも大きいものであると考えられます。
経営に関する精神的な負担を解消したい場合は、第三者への事業売却を検討しましょう。
個人保証などは買収する企業に引き継ぐこともできるため、経営者が抱えていた負担の解消を図ることができます。
注意点として、個人保証は自動的に引き継がれるものではないので、あらかじめ買い手や売却のサポートの依頼先に相談しておきましょう。
製薬会社を売却する際には、企業価値に応じた売却益を獲得することができます。
複数の事業を行っている場合は、採算が取れていない事業などを切り離して売却すれば、特定の事業に資金や人材を集中することが可能です。
新規事業を始めようと考えている際も、対象事業を売却して獲得した資金を回すことができるため、事業を始めやすくなるでしょう。
また、経営不振などによって廃業した場合は、テナントの撤去費用や在庫の処分費用などが発生します。
自社を売却すればそれらにかかる費用を回避できる上に、資金を獲得できるといったメリットがあります。
売却の方法によっては株主である経営者が資金を獲得できるため、その資金を元手にアーリーリタイアを図ることも可能です。
製薬会社を売却することには多くの利点がありますが、当然ながら買収した企業にもさまざまなメリットがあります。
買収した企業に生じるメリットを把握して、交渉を行う際の参考にしましょう。
ここからは、製薬会社を買収するメリットを解説していきます。
【製薬会社を買収するメリット】
製薬会社を成長させるためには、高い技術力を持った研究員の存在が欠かせません。
利益をより高めるためには、広報や営業を行う人材を確保する必要もあります。
しかし、それらを得意とする人材を獲得するためには、多くの時間を要します。
競争が激化している製薬会社業界において、可能な限り時間を短縮して有益な人材を集めることは重要といえるでしょう。
効率的に人材を集めたい場合、製薬会社の買収は有効な経営戦略です。
多くの人材を有した製薬会社を買収すれば、業界に知見のある従業員を多数獲得することができます。
本来であれば発生する教育にかかる時間も大幅に短縮できるため、効率の良い手段といえるでしょう。
買い手企業に自社をアピールしたい際は、従業員を多数保有し教育環境を整えておくことも大切です。
製薬会社を経営するためには、薬を作成するための設備を用意する必要があります。
新薬の開発を行う際などには、自社には無い新たな設備を導入しなければいけないケースもあるでしょう。
設備を効率よく整えたい場合は、該当設備を所有している製薬会社を買収するという方法もあります。
製薬会社業界に関わらず、設備の獲得を目的とした買収の事例は多数存在します。
製薬会社を売却する際は、導入している設備もアピールポイントになることを把握しておきましょう。
新薬を作成するためには、常に製薬技術を高めていく必要があります。
製薬技術を高めるためには、新たな設備や新技術に知見を持つ研究員を確保しなければいけません。
しかし、自社のみでそれらを獲得したいと考えていても、時間や資金の面から早急に進められないこともあるでしょう。
製薬技術を素早く高めていきたい場合は、自社には無い技術を持つ企業の買収が有効です。
製薬技術が向上し新薬を開発することができれば、収益の増加も充分に見込めるでしょう。
自社を売却したいと考えている際は、自社が得意としている分野の技術力を高め、買い手にそれを伝えることが大切です。
製薬会社を経営するためには、設備の導入や人材の確保、ノウハウの構築などに多くの時間を要します。
それらを確保するための資金も必要になることから、製薬会社への新規参入はハードルが高いと言えるでしょう。
異なる事業を行っていた企業が製薬会社を経営したい場合は、買収による新規参入が有効です。
実際に、近年ではジェリック医薬品の普及によって新規参入を図る企業が増えています。
また、製薬会社業界に関わらず新たな事業を始める方法として、該当事業を営む企業の買収を行うケースは多く存在しています。
新規参入を図る企業に自社を売却する際は、経営統合によってどのようなシナジーを生み出せるかを分析しておきましょう。
異なる業種でも共通した要素があれば、それらを組み合わせて収益の拡大を図ることも可能です。
製薬会社の売却価格は、所有している設備や技術力、将来性などさまざまな要素から決められます。
それらの要素は企業によって大きく差があるため、売却相場を求めることは困難であるといえるでしょう。
加えて、製薬会社は新薬の開発を行っている段階では充分な利益が出ていないことも多く、資産や営業利益のみで価値を算出することはできません。
製薬会社の売却価格を知りたい場合は、M&A仲介会社などの専門家に依頼しましょう。
製薬会社を売却したいと考えている場合は、どのような点に注目しておけばよいのでしょうか?
ここでは、製薬会社を売却する際に確認しておくべきポイントを紹介していきます。
【製薬会社を売却する際のポイント】
製薬会社の売却を検討している企業は、自社だけであるとは限りません。
他の製薬会社の方が勝っている要素があった場合、自社を売却できる可能性は低下するでしょう。
製薬会社を売却できる可能性を高めるためにも、他社と比較してどのような強みがあるのかを把握しておくことが重要です。
保有している設備はどういったものがあるのか、技術力はどれくらいなのかなどを分析し、自社の強みをまとめておきましょう。
製薬会社を売却する際には、なぜ売却をするのかを明確にしておくことが大切です。
目的が不明確の状態で売却を行うと、取引が成立した場合でも想定していた利益を獲得できないことも考えられます。
例として、一部の事業を売却して特定の事業に資金を回し、事業を成長させたいと考えているとしましょう。
事業の成長にかかる資金を把握できれば、売却によっていくらの資金を獲得すればよいのかを考えることができます。
獲得するべき資金が明確になれば、売却価格の下限を設定できるため、買い手との交渉時を進めやすくなります。
反対に、目的が不明確だった場合、交渉時にどこまで譲歩してよいのか把握することができません。
そのような状況では、想定していた利益を生み出せるような交渉をすることが困難になるでしょう。
自社を売却するときは、売却する目的を明確にして、想定していた利益を得るためにはどうすればよいのかを逆算することが大切です。
製薬会社業界は、薬価改定やジェネリック医薬品の普及など、活発な市場の動きが見られます。
製薬会社業界に不利になるような動きが見られていた場合は、買収を希望する企業が現れにくくなることが考えられます。
買収を希望する企業が現れたとしても、安値で買い叩かれるようなことがあるかもしれません。
製薬会社の売却を希望している際は、市場の動きを把握して適切なタイミングで売却しましょう。
注意点として、市場での価値が上昇し始めてから売却の準備を開始すると、想定していたタイミングで売却できないことも考えられます。
自社の売却を検討している際は、自社の分析などを早めに進めておきましょう。
製薬会社の売却を行う際には、買い手企業の選定や必要書類の準備など、実施するべき項目は多岐にわたります。
個人で売却を進めていくことは困難であるため、専門家にサポートを依頼して進めていくことをオススメします。
では、製薬会社の売却を行う際には、どこにサポートを依頼すればよいのでしょうか?
ここからは、製薬会社の売却をサポートしている機関について解説していきます。
相談先 | 長所 | 短所 |
M&Aプラットフォーム | ・自身で相手企業を探せる ・相手企業を見つけるまでの費用が安い | ・サポート内容にばらつきがある ・アドバイザーに依頼する際は別途で費用がかかる |
銀行 | ・金銭面に関する知識が深い ・馴染みがある金融機関であれば依頼しやすい | ・他の機関より手数料が高い傾向がある ・中小規模の案件には対応していないことがある |
M&A仲介会社 | ・買い手探しから成約まで一貫してサポートを依頼できる ・企業売却に関する豊富な知識を有している ・買い手との交渉によって不利になりにくい | ・発生する費用が仲介会社によって異なる ・交渉によって有利に進めにくい |
M&Aプラットフォームとは、買い手企業と売り手企業をサイト内に掲載し、マッチングの場を設けているWEBページです。
プラットフォームには多くの企業が掲載されていることから、自身の案件に対応した企業を見つけることができます。
一般的なプラットフォームは企業の掲載のみ行っているため別途でアドバイザーを探す必要がありますが、一部では売却のサポートまで行っているケースもあります。
掲載にかかる費用は抑えめであることから、費用を抑えて売却を行いたい際は利用を検討してもよいでしょう。
ただし、プラットフォームで行っているサポートの内容は企業によって差があり、成約までのサポートに対応していないこともあります。
アドバイザーにサポートを依頼する際は別途の費用もかかるため、料金体系などを把握した上で依頼しましょう。
一部の銀行では、事業の売却をサポートしていることがあります。
付き合いのある銀行がある場合は、サポートに対応しているかを確認してもよいでしょう。
銀行に依頼するメリットは、金銭面に関する多くの知識を有していることが挙げられます。
多くの企業との繋がりも有しているため、より条件にあう買い手企業を見つけやすいという長所も存在します。
ただし、銀行にサポートを依頼する際にかかる手数料は、他の機関と比較すると高い傾向があるため、金銭的な負担が大きくなることもあるでしょう。
中小規模の案件には対応していないこともあるため、企業によっては適した相手が見つけられないこともあります。
M&A仲介会社とは、企業の売却・買収に関する全般的なサポートを手掛けている企業です。
買い手企業の選定から成約までを一貫してサポートしていることから、事業の売却に自身がない方でも安心して依頼することができます。
M&A仲介会社は企業を売却に関する多くの知識を有しているため、不明点などがあった場合でも瞬時に相談することが可能です。
また、M&A仲介会社は売り手企業と買い手企業の間に立ちサポートを行っているので、交渉によって不利になりにくいというメリットもあります。
一方で、交渉によって有利な立場に持っていきにくいというデメリットも存在します。
月額報酬や相談料など、発生する手数料は仲介会社などによって異なるため、予め確認しておきましょう。
ACコンサルティングは、企業売却のサポートを完全成果報酬型で手掛けています。
売却に関する相談も無料で対応しているので、不明点などがあればお気軽にお問い合わせください。
製薬会社を売却する手法にはさまざまな種類があります。
手法によって異なる特徴があるため、違いを把握して自社に適した方法を選択しましょう。
ここでは、製薬会社の売却で用いられることが多い「株式譲渡」と「事業譲渡」について解説していきます。
【関連記事】M&Aの手法は何がある?特徴やメリット・デメリットも解説!
株式譲渡とは、所有している株式を買い手企業に譲渡することで企業を承継する手法です。
必要な手続きが少なく、他の手法と比較すると容易に行うことができるため、中小企業の取引ではもっとも多く使用されている方法です。
発生する税金も後述する事業譲渡と比較すると少ないことから、売却の利益を受けやすい手法であるといえるでしょう。
ただし、株式譲渡では、特定の事業を切り離して売却することができません。
事業の集中化を図りたいときは、事業譲渡などの手法を選択しましょう。
【関連記事】会社譲渡とは?メリットとデメリット、相場や事例などを解説!
事業譲渡とは、事業の全てまたは一部を切り離し、買い手企業へ承継する手法です。
事業譲渡には、取引後も会社は存続するという特徴があります。
特定の事業を切り離して売却できるため、事業の集中化を図る際に有効な手段であるといえるでしょう。
ただし、事業譲渡は譲渡対象ごとに取引を行う必要があり、手続きが煩雑というデメリットがあります。
不正競争防止法によって同じ事業を再度行う際に制限がかかるため、実施する際には入念に検討しましょう。
【関連記事】事業譲渡とは?メリット・デメリット、相場や事例などを解説!
製薬会社業界では、武田薬品工業によるシャイアーの買収を含め、数多くの買収・売却事例が存在します。
製薬会社の売却に関する知識を深めるためにも、実際にあった事例を把握しておきましょう。
ここからは、製薬会社の売却・買収事例について5つ紹介していきます。
【製薬会社の売却事例】
2021年、ジェネリック医薬品の製薬会社である東和薬品株式会社は、三生医薬株式会社の株式を全て取得し子会社化することを発表しました。
三生医薬は、健康食品や医薬品などの開発を手掛けている企業です。
東和薬品は、三生医薬の子会社化によって健康関連事業の多角的な展開を図りました。
2022年、ドラックストア経営を手掛ける株式会社ナチュラルホールディングスは、⽇新製薬株式会社の株式を取得し、グループに迎え入れたことを発表しました。
⽇新製薬は、ドリンク剤の製造などを行っている製薬企業です。
ナチュラルホールディングスは、⽇新製薬の経営を安定化させ、商品の販売を続けていくことをめざしました。
2019年、再生医療事業やヘルス&ビューティー事業などを手掛けるロート製薬株式会社は、日本点眼薬研究所の全株式を取得することを発表しました。
日本点眼薬研究所は、点眼薬の製造・販売などを行っている企業です。
ロート製薬は日本点眼薬研究所の株式取得によって、眼科用製品の技術力を高め、海外での眼科領域の事業拡大を図りました。
2018年、大正製薬ホールディングスの子会社である大正製薬が、フランスの医薬品製造販売会社であるUPSA SASを子会社化することを発表しました。
大正製薬グループは、UPSA SASの買収によって欧州における事業拡大を図りました。
2017年、キョーリン製薬ホールディングス株式会社の子会社である杏林製薬株式会社が、株式会社ジェイタスの全株式を取得することを発表しました。
キョーリン製薬ホールディングスは、医療用医薬品事業とヘルスケア事業を組み合わせることによる、健康生活応援企業への進化を目指しています。
この取引によって、キョーリン製薬ホールディングスは感染症領域における医療ニーズへの対応を図りました。
製薬会社業界は、新薬の開発を行うための技術力向上が求められている業界です。
技術力を効率的に高めるためには、企業の買収は有効な手段といえるでしょう。
製薬会社業界では、今後とも買収・売却事例が増えていくことが予測できます。
製薬会社を売却するときは、以下のポイントを抑えておきましょう。