投稿日:2022/06/10
更新日:2022/06/10
現在、システム開発会社は人材不足が問題視されています。
技術力の獲得に力を入れている企業も多く、事業拡大が求められている業界といえるでしょう。
それらの影響によって、システム開発会社のM&A需要は増え続けています。
この記事では、システム開発会社の動向や事例、メリットやデメリットを解説します。
目次
システム開発会社とは、業務効率化を目的としたシステムの開発を行っている企業です。
システム開発を行なうためには、専門的な知識を要する人材が必要になります。
システムによっては自社で開発を行なうのが難しいため、外部の企業に委託するケースも多く存在します。
しかし、M&Aによって企業を買収すれば、他社が持つ技術を取り込むことが可能です。
そういったニーズがあることから、システム開発のM&Aは今後も増えていくと予想されています。
経済産業省が発表している「特定サービス産業動態統計調査」によると、ソフトウェア開発やプログラムを作成している企業の売上高は上昇を続けています。
2021年には前年の売上高である9兆3247億円を大きく上回る11兆0255億円を記録しました。
業界の売上高が上昇している要因は、SaaSなどのクラウドサービスが普及したことによるものであると考えられます。
インターネットを経由してソフトウェアを利用できるSaaSは、コロナ禍で発生したリモートワークに大きく影響を与えています。
働き方が大きく変わった現代では、クラウドサービスを使用したソフトウェアの需要が増えていくでしょう。
市場が拡大しているIT業界ですが、経済産業省によると、2030年には約79万人の人材が不足する可能性があるといわれています。
これは、IT人材の需要増加と人材数にギャップが生じるという推計によるものです。
79万という人数は、2018年以降のIT需要が年間3~9%上昇するという計算によるものですが、上昇率が1%であると仮定した場合でも約16万人不足するとされています。
これらの問題を解消するためには、さらなる人材の補強が必要になるといえるでしょう。
また、人材不足の解消方法として、人材の補強以外にも労働生産性を上昇させるという考え方もあります。
経済産業省は、年間3.54%の労働生産性上昇を実現することで、IT人材の需要と供給は均衡する可能性があると発表しています。
IT業界では、人材の補強と労働生産性の上昇が望まれています。
システム開発会社のM&Aは、どのような目的で行われるのでしょうか。
1つ目は、M&Aによる人材不足の解決です。
M&Aによって買収企業の従業員を獲得できるため、人材不足は解消できるでしょう。
需要が増加しているシステム開発業界にとって、M&Aは有効な経営戦略であるといえます。
2つ目は、M&Aによる事業基盤の拡大です。
技術を持った優秀な人材を確保できれば、生産性の向上も狙えるでしょう。
教育にかかる時間も抑えられるため、人材育成にかかる工数を抑えることも可能です。
自社の苦手分野を得意とする企業の買収を行えば、さらなる事業の発展が期待できます。
3つ目は、M&Aによる新規事業の開拓です。
ニーズが高まっているIT業界は、参入によって事業成長が見込める業界です。
しかし、IT事業を始めるには専門知識を持った人材の確保が必要になります。
M&Aによって知識やノウハウを持った人材を確保できれば、新規参入のハードルは下がるでしょう。
システム開発業界のM&Aは、どのような事例があるのでしょうか。
日本企業と海外企業で行われたM&Aには、主に以下の事例があります。
ここでは、日本と海外で行われたM&Aについて個別に解説します。
2016年4月、電子決済端末メーカーであるフランス企業のIngenicoは、ブロードバンドタワーの子会社であるLyudiaを株式を70%取得したことを発表しました。
Lyudiaは決済ビジネス向けのシステム開発を得意としており、さらなる事業拡大が期待されています。
2014年1月、電機メーカーである.JVCケンウッドは、北米企業であるEF Johnson Technologiesを完全子会社化することを発表しました。
EF Johnson Technologiesは業務用無線システム開発を得意としており、子会社化による事業の拡大を図りました。
2016年4月、人材派遣サービスを行っているアウトソーシングは、英国企業であるCASE DYNAMICS LIMITEDの孫会社化を行いました。
CASE DYNAMICS LIMITEDは債権回収システムの開発を手掛けており、事業展開とともに他国への展開を進めました。
2014年11月、電子メーカーであるアイホン株式会社は、電話関連システムの開発などを行っているGEGA ELECTRONIQUEの子会社化を発表しました。
GEGA ELECTRONIQUEはフランスにある企業であり、全世界の売上拡大が期待されています。
2017年12月、京都の電子メーカーである日本電産は、車載向けシステム開発及び設計を事業とするドライブエクスパート社の株式を100%取得することを発表しました。
ドイツ企業であるドライブエクスパートの子会社化によって、高性能な製品の提供を目指しています。
ここからは、国内企業同士で行われたM&Aの事例を紹介します。
2018年12月、情報サービス事業を手掛ける株式会社アイ・エス・ビーは、株式会社 T-stockと子会社の株式会社テイクスの株式取得をすることを発表しました。
株式取得によって、システム開発を含むIT人材の確保を図りました。
2018年10月、中古不動産のプラットフォーム開発及び運営を事業とするGA technologiesは、イタンジ株式会社を完全子会社化することを発表しました。
経営権取得によって、サブスクリプションによる収入の安定化などを図りました。
2010年12月、JBCCホールディングスは、基幹業務システム開発業務などを行なうアドバンスト・アプリケーションの株式取得をすることを発表しました。
子会社化によって、医療ソリューション事業の拡大などを目指しています。
2020年06月、ソフトバンクの連結子会社であるSBテクノロジー株式会社は、通信システム開発などを手掛ける株式会社電縁を子会社化することを発表しました。
株式取得に伴い、両社のシナジーによる企業価値向上を目指しました。
2021年1月、ソフトウェアの開発及び企画を事業とするビーネックスグループは、株式会社レフトキャピタルの株式取得に関する発表を行いました。
株式取得によって人材不足の解消や新規顧客の獲得を図っています。
2020年7月、株式会社アール・アンド・エー・シーが、中小企業及び個人事業主の業務効率化ソフトを行なうマネーフォワードグループに参入することを発表しました。
グループ参入によって、アール・アンド・エー・シーはさらなる成長を目指しました。
2014年7月、プラットフォーム事業を手掛ける株式会社じげんは、株式会社ブレイン・ラボを子がいい釈迦したことを発表しました。
子会社化によって、ブレイン・ラボが所持する求人業界向けシステムを活用し、新規事業への参加を図りました。
2022年1月、新規事業開発などを事業とする株式会社スカラは、ソフトウェア開発などを手掛ける株式会社エッグを含む4社を子会社化することを発表しました。
子会社化によって、新規事業の創出を図り、全国展開を目指しています。
2015年9月、クラウド関連の開発を手掛けるサイオステクノロジー株式会社は、Profit Cube株式会社の株式を100%取得することを発表しました。
子会社化によって、サービスの強化や拡充、新規顧客の獲得を狙うことを目指しました。
2022年1月、自動車業務支援サービスを展開しているシステム・ロケーション株式会社は、Inspiration株式会社を子会社化することを発表しました。
子会社によって両社が持つノウハウを組み合わせ、事業展開及び新製品の開発を目指しました。
2014年3月、Web会議サービスにて大きなシェアを持つ株式会社ブイキューブな、会議システムや電子黒板システムの開発を手掛けるパイオニア株式会社の子会社化に関する基本合意に至ったことを発表しました。
技術の組み合わせによるシナジーの獲得によって、市場拡大を図っています。
2014年12月、クラウドサービス事業などを手掛ける株式会社サイバーリンクスは、株式会社アイコンセプトとエニタイムウェア株式会社の二社を吸収合併したことを発表しました。
合併に伴い、棚割分野のシステムなどを活かし、競争力の強化を図りました。
2019年1月、Orchetsra Holdingsの子会社であるSharing Innovationsは、株式会社クラフトリッジを子会社化することを発表しました。
システム開発案件の受注実績を持つクラフトリッジを子会社化することによって、ソリューション事業の開発体制の強化などを図りました。
2021年4月、テクノロジー事業などを手掛ける株式会社Success Holdersは、システム開発などを事業とする株式会社 P&Pの子会社化を行いました。
M&Aによる企業成長を行い、収益力の向上を目指しています。
2012年1月、人材派遣事業などを手掛ける株式会社アウトソーシングは、システム開発事業などを運営するアスカ・クリエイションを完全子会社化することを発表した。
子会社化によって異なる分野の技術を獲得し、事業成長を図りました。
2022年1月、テクマトリックス株式会社は、子会社である株式会社NOBORIとPSP株式会社を合併させることを発表しました。
合併後は株式会社NOBORIが消滅会社となり、PSP株式会社が連結子会社になりました。
合併によって、システムの効率化や新規サービスの展開を目指しています。
2013年11月、デバック事業を手掛ける株式会社ハーツユナイテッドグループは、株式会社ネットワーク21を子会社化することを発表しました。
ネットワーク21はシステム開発などのITサービスを展開しており、子会社化に伴い競争力の向上を図っています。
2016年3月、ソフトウェア会社である株式会社コムチュアは、ジェイモードエンタープライズ株式会社を子会社化することを発表しました。
ジェイモードエンタープライズは在庫管理システムを2200店舗に導入した実績があり、さらなる事業拡大が期待されます。
2021年11月、ECソリューション事業を手掛けるファイズ ホールディングス株式会社は、日本システムクリエイト株式会社を子会社化しました。
株式を取得することによって、DXの推進を図り経営理念の実現を狙いました。
2020年11月、変革支援サービスを提供している株式会社エル・ティー・エスは、株式会社ソフテックを子会社化することを発表しました。
株式会社ソフテックはシステム開発や運用・保守を手掛けており、子会社化によってリモートワークなどの支援を強化することを目指しています。
2015年2月、株式会社CEホールディングスは、マルマンコンピュータサービスの子会社であるエムシーエスに対して、第三者割当増資による株式発行を引き受けて子会社化しました。
子会社化によって医療のIT化への貢献を目指しています。
2018年10月、ITの開発・運用などを手掛ける株式会社クレスコは、イーテクノを孫会社化することを発表しました。
孫会社化による人材補強や事業拡大、相互作用によるシナジーを創出し、ビジネス全体の拡大を図っています。
2018年8月、受託開発事業などを行っているITbook株式会社は、株式会社RINETを子会社化する動きを発表しました。
グループ化に伴い、新事業への進出及び既存事業のシナジー発揮を目指しています。
2015年1月、クラウドサービスの開発などを手掛けるコムチュア株式会社は、株式会社シー・エー・エムを子会社化しました。
株式取得によって、展開している事業とのシナジー効果を発揮し、企業価値の向上を図りました。
2010年8月、自社開発によるソリューション提供を行なう株式会社システム ディは、調剤薬醵金などのシステ厶開発及び販売を手掛ける株式会社シンクを子会社化しました。
全株式の取得によって、事業領域の拡大と収益向上を目指しています。
2016年3月、電子機器の開発や販売を事業とする株式会社 AKIBA ホールディングスは、iconic storage 株式会社を完全子会社化しました。
アイコニックは2015年からコールセンター事業に参入しており、収益を大きく伸ばしていることから、子会社化による事業貢献が見込まれています。
2012年2月、クレオの連結子会社である株式会社クリエイトラボは、株式会社アイティアイの子会社化を行いました。
システム開発や運用保守などを事業とするアイティアイを子会社化することによって、企業規模拡大及び人員の獲得を図っています。
2015年4月、民間や金融業界のコンサルティングを事業とするITbook株式会社は、株式会社プロネットの株式を取得して子会社化することを発表しました。
Web関連システム開発を行っているプロネットを子会社化することで、さらなる発展を目指しています。
2013年8月、医療業界のシステム開発などを手掛ける株式会社イーエムシステムズは、同じく医療システムの開発を行っているユニコン西日本を子会社化しました。
株式取得を行なうことで、医療情報連携によるシナジーの発揮を目指しています。
ハーツユナイテッドグループの連結子会社である株式会社ネットワーク 21は、株式会社システム工房東京の全株式を取得し子会社化しました。
ハーツユナイテッドグループは、システム開発を行なうエンジニアの人員不足を問題視しており、孫会社化によって事業効果を図っています。
2010年3月、ソフトウェア開発事業などを手掛けるアクモス株式会社は、日本メカトロニクス株式会社を子会社化することを発表しました。
日本メカトロニクスは医療システムの開発及び運用実績を持っており、子会社化による技術面や営業面デのシナジー発揮を目指しています。
2017年4月、教育機関における業務支援システム開発などを手掛けるチエル株式会社は、株式会社VERSION2の全株式取得によって子会社化を行いました。
VERSION2の持つオープンソースシステムの構築及び運用技術を取り入れて、両社が抱えている問題の解決を目指しています。
2018年7月、化学メーカーである太陽ホールディングス株式会社は、株式会社サウマネジメントを子会社化したことを発表しました。
サウマネジメントは端末系システム開発などの実績をもっており、子会社化に伴い新システムの構築スピード改善を目指しています。
2018年3月、ソフトウェアに関わる事業を行っている株式会社SYSホールディングスは、株式会社オルグを子会社化することを発表しました。
オルグは業務システムの開発などを手掛けており、子会社化による事業展開及びシナジー発揮を目指しています。
2018年5月、持株会社としてグループ企業の管理などを手掛けている船井総研ホールディングスは、新和コンピュータサービス株式会社の株式取得をすることを発表しました。
新和コンピュータサービスは技術力や開発力が評価されており、子会社化による企業価値の向上を図っています。
2018年1月、人事コンサルティグ事業などを手掛ける株式会社クレスコは、株式会社ネクサスの株式取得による子会社化を行なうことを発表しました。
ネクサスはシステム開発に係るサービスを提供しており、子会社化によって企業価値のさらなる古城を目指しています。
2017年9月、Orchestra Holdingsは、子会社である株式会社あゆたを通じて株式会社セレッテのシステム開発事業などを譲受けることを発表しました。
セレッテの開発チームを取得することによって、新サービスの開発などの事業発展を目指しています。
2016年11月、携帯通信の管理システ厶などを提供しているモバイルクリエイト株式会社は、株式会社オプトエスピーを子会社化しました。
オプトエスピーは通話録音システムの開発事業などを手掛けており、音声系技術の取得による新商品開発や事業領域の拡大を目指しています。
2015年6月、ソリューション事業を手掛ける株式会社アイ・エス・ビーは、株式会社インフィックスを子会社化することを発表しました。
インフィックスは金融向けシステム開発などを行っており、子会社化による同分野の事業拡大を目指しています。
2014年5月、インターネット事業などを手掛ける株式会社ソフィアホールディングスは、株式会社アクアを子会社化することを発表しました。
アクアは不動産関連のシステム開発を行っており、今後の業績向上が見込まれているため、子会社化によるシナジー発揮を目指しています。
2018年9月、クラウドサービス事業を手掛ける株式会社アイネットは、株式会社ソフトウェアコントロールを子会社化することを発表しました。
ソフトウェアコントロールはシステム構築業務などを行っており、西日本に強い事業基盤を所持していることから、子会社化による事業拡大を目指しています。
システム開発会社のM&Aは、ニーズの増加により今後も増えていくでしょう。
では、システム開発の売却によってどのようなメリット・デメリットが生じるのでしょうか?
まずは、システム開発会社を売却するメリットを紹介します。
システム開発会社を含むIT業界は、委託された業務が二次企業・三次企業へと流れていく多重構造になりやすいという特徴があります。
下請け企業は、多重構造の影響によって得られる利益が減ることから、事業拡大を図ることが難しい状況に陥っているケースが見られます。
このような問題は、M&Aによって大手企業の傘下に加わることで解決することが可能です。
大手企業の傘下に加わることで、安定した資本を獲得し、事業拡大を行なう中小企業も存在します。
システム開発会社を売却することによって、後継者問題を解決することが可能です。
近年では事業承継者がいない企業が多いことから、M&Aによる事業の引き継ぎを図る企業が増えています。
大手企業に事業を承継すれば、廃業に伴い従業員が仕事を失うことはありません。
M&Aによるシナジーを発揮できれば、事業の発展も望めるでしょう。
次に、システム開発会社を売却するデメリットを紹介します。
企業を売却することで、労働環境や組織文化が変わることはあるでしょう。
環境の変化によって従業員が不満を持ってしまい、離職するケースも考えられます。
従業員の離職を防ぐためにも、売却後の待遇について買い手企業と話しておくと良いでしょう。
企業を売却することによって、利益の獲得や後継者問題の解決が期待できます。
しかし、自分が望んでいるメリットを得られる買い手が見つかるとは限りません。
買い手が見つからないという現象は、システム開発会社に限らずM&A全般で見られます。
条件を満たす買い手を見つけるためにも、売却のサポートは実績がある相手に依頼しましょう。
システム開発会社を買収することで、さまざまな利益を得ることが可能です。
しかしながら、買収によってデメリットが生じるケースも存在します。
ここでは、システム開発会社を買収するメリット・デメリットを紹介します。
システム開発会社を買収することには、主に以下のメリットがあります。
システム開発会社を買収することによって、事業拡大を図ることが可能です。
新たにシステム開発事業に参入するためには、労働環境の構築に膨大な時間を要するでしょう。
技術を持った人材の育成も必要なため、新規事業の立ち上げは簡単なことではありません。
このような問題を解決するために、企業を買収するケースも存在します。
システム開発会社を買収すれば、スムーズに業界への参入ができるでしょう。
システム開発を含むIT業界は、エンジニアなどの人材が不足しているという問題を抱えています。
企業の買収は、人材不足を解消するための有効な手段といえるでしょう。
自社にはない技術を持つ人材を集めることができれば、シナジー発揮による収益増加も見込めます。
教育にかかる時間も抑えられるため、効率的に事業を拡大させることも可能です。
ここでは、システム開発会社を買収するデメリットを紹介します。
企業を買収する際は、コストに見合った利益を得るために行われます。
しかし、期待していたほどのシナジーを得られず、充分な利益を得られないというリスクも存在します。
買収による損益を出さないためにも、買収する企業の調査は綿密に行いましょう。
買収によって環境が変化し、譲り受けた企業の従業員が離職することも考えられます。
従業員の離職を防ぐためにも、企業を売却する際は労働環境について考えておく必要があります。
以前と同じ環境で仕事ができるなら、買収によって退職する可能性は抑えられるでしょう。
給与体系を見直すことで、社員のモチベーションを向上させることも可能です。
事業を売却する際は、なるべく大きい利益を得たいと考えるのが一般的でしょう。
ここでは、事業を売却する際に高く売るコツを紹介します。
企業の売却価格は、企業価値評価に基づいて決められます。
企業を高く売るためには、企業価値の評価方法を知っておく必要があるでしょう。
企業価値の評価方法には、主に以下の3つがあります。
コストアプローチとは、現在所持している純資産によって企業価値を評価する方法です。
純資産は、貸借対照表に記載されている資産から、負債額を引いた金額です。
コストアプローチは客観的に企業価値を評価することができるというメリットがあります。
他の評価方法と比較すると簡単に行えるため、中小企業が採用することが多い評価方法です。
ただし、コストアプローチは純資産をもとに計算されていることから、企業が生み出す将来的な価値を評価できないというデメリットも存在します。
インカムアプローチとは、企業が将来的に生み出す価値を基準とした評価方法です。
企業が生み出す将来的価値が高い場合に採用されるアプローチ方法で、企業価値評価において最も多く使われています。
M&A以外でも、金融機関が融資金額を決める際などで使うこともある手法です。
注意点として、インカムアプローチでの評価は将来性を基準とするため、買収企業が予想していた利益を得られない可能性もあります。
マーケットアプローチとは、類似した企業の株式や取引の事例などを参考にして企業価値を評価する手法です。
この手法は、類似企業の現時点での株価を基準とするため、リアルタイムで客観性の高い評価ができるというメリットがあります。
一方で、株価を基準とすることから、企業独自の価値が反映されにくいといえるでしょう。
これらの特徴から、マーケットアプローチはインカムアプローチと組み合わせて使われることがあります。
インカムアプローチなどで企業価値評価をする際は、自社の強みが売却価格に大きく反映されます。
企業が持つ強みをアピールすることができれば、会社を高く売ることができるでしょう。
また、買い手企業が買収によってシナジーを期待できると感じれば、M&Aが成立する可能性もあがります。
他のシステム開発会社と比較して、自社はどのような強みを持っているのかを把握しておくことが大切です。
M&Aのサポートを行っている企業は、現時点でも多く存在します。
実績がある相手にM&Aをサポートしてもらえば、売り手企業の売却価格は上がるでしょう。
また、依頼先によって手数料などの必要コストやサポート内容は異なります。
依頼先ごとの違いを把握して、自分が納得できる相手を選びましょう。
買い手企業にとって、買収による従業員の離職は最も避けたい事項です。
買収によって従業員が離職する企業だと思われると、企業価値評価が下がり売却価格が減少するかもしれません。
企業価値評価を向上させるためにも、従業員が離職しないような環境を作っておきましょう。
結論からいうと、システム開発会社に売却相場はありません。
これは、システム開発会社だけに関わらず全ての業界でいえることです。
会社の売却価格は、株式や将来性などの総合的な判断で行われます。
企業ごとに売却価格は大きく異なるため、平均的な相場というものはないといえるでしょう。
システム開発会社のM&Aを実施する際は、どこに相談すればよいのでしょうか。
ここでは、相談先の例を4つ紹介します。
M&Aを数多くこなしている仲介会社であれば、さまざまな問題に対応してもらえるでしょう。
M&A仲介会社であれば、豊富な買い手企業・売り手企業の中から、最適なマッチング相手を選定してもらうことが可能です。
仲介会社は中立的な立場でM&Aをサポートするため、どちらかに利益が偏るといった不平等なM&Aが発生することはありません。
反対に、一方的に特をするのは難しいので注意が必要です。
M&Aマッチングプラットフォームには、さまざまな案件が掲載されています。
プラットフォームを利用することで、数多くの企業から自分でマッチング相手を見つけることが可能です。
簡単な内容であれば、無料で相談できるプラットフォームも存在します。
ただし、M&Aマッチングプラットフォームのサポート内容はサイトによって異なります。
専門的なサポートを受けられないこともあるので、M&Aに関する知識がない場合は注意が必要です。
銀行などの金融機関は、M&Aに関するサポートに対応していることがあります。
金融期間はさまざまな企業との繋がりがあるため、買い手・売り手企業を紹介してもらえることもあるでしょう。
ただし、紹介してもらえる企業の数には限りがあるなどのデメリットもあります。
普段から付き合いがある税理士や会計士であれば、M&Aの相談に対応してもらえるでしょう。
M&Aをする際は企業価値の算出などが必要になるため、そのような財政面に関するサポートを受けることができます。
注意点として、税理士などがM&Aに関する知識があるとは限らないため、全体的なサポートを受けられない可能性があります。
システム開発会社には、M&Aの事例が数多く存在します。
人材不足などの影響から、今後もM&Aは頻繁に行われるでしょう。
M&Aを成功させるためにも、知識を持つ相手に相談することは大切です。
ACコンサルティングでは、M&A仲介サービスをて供しております。
まずは一度、お気軽にご相談ください。