投稿日:2022/06/20
更新日:2022/10/09
近年、東日本大震災やオリンピックなどの影響で、建設業界の需要は高まっています。
建設をスムーズに行うためにも、足場工事会社の存在は欠かせません。
建設業界の根幹を支えている足場工事会社ですが、近年ではさまざまな要因で事業の継続が困難になってしまった企業も見られます。
この記事では、足場工事会社の市場動向や課題、M&Aを行う方法などを解説します。
目次
足場工事会社とは、建築物の塗装などを行う際に、金属でできた足場を組んで工事をサポートする企業です。
塗装は建設において必須であるため、業界全体をみても足場工事会社の存在は必要不可欠といえるでしょう。
足場は工事を行う前に仮で設置を行い、工事終了後は撤去をします。
しかし、仮の設置といえども配慮しなければいけないポイントは複数存在します。
基本的に塗装は高所での作業になるため、足場を設置する際には作業者の安全面に配慮する必要があるでしょう。
加えて、周辺住宅へ塗装が飛ばないようにするための配慮や、建設物の倒壊を防止するための作業も足場工事会社が行っています。
建設を行う上で足場工事会社が担当している業務は多いことから、建設業界における足場工事会社のニーズは高まり続けています。
足場工事会社を含む建設業界は、さまざまな要因から市場規模が伸び続けています。
しかし、市場規模の増加とは反比例して、人材の数は減少していることが問題視されています。
それらの要因から、足場工事会社のM&Aは頻繁に行われており、今後も増え続けることが予測できるでしょう。
ここからは、足場工事会社の動向について解説します。
足場工事会社は建設において必要不可欠であることから、建設業界全体の市場規模と連動しているといえるでしょう。
足建設業界を含む建設業界は、東日本大震災が発生による復興事業の影響から、2011年以降の市場規模は伸び続けています。
加えて、東京オリンピックを開催することが発表された2013年以降は、市場規模の拡大スピードが更に加速しています。
そのような外的要因によってニーズが高まり続けた建設業界ですが、国土交通省の発表によると2020年に市場の拡大が落ち着くことが予想されました。
これは、新型コロナウイルスの流行や、東京オリンピックの終了によるものです。
しかし、2020年以降も大阪万博やリニア新幹線の開通プロジェクトの影響によって、さらなる需要拡大が見込まれています。
これらの要因から、足場工事会社を含む建設業界の市場規模は、長期的に伸び続ける可能性が高いでしょう。
建設業界全体の市場規模は、今後も伸び続けることが予想されます。
しかし、市場規模の拡大に伴い、業界全体の人員の数は不足する可能性が高いといえるでしょう。
建設業界の市場規模は、2011年以降順調に拡大を続けています。
一方、建設業界の就業者の数は、2011年以降はほとんど変化がありません。
加えて、2018年以降は就業者の数が徐々に減少している傾向があります。
建築業界の人員が不足している理由は、就業者の高齢化や、少子化の影響などが考えられるでしょう。
若手の人員を確保するためにも、建設業界は働き方改革や環境整備の取り組みを行う企業が増えています。
足場工事会社は、建設業界の市場拡大や人材不足などの影響によってM&Aが活発に行われています。
ここからは、足場工事会社のM&Aが行われる理由について個別に解説します。
1つ目は、事業の拡大を目的として行われるM&Aです。
足場工事会社を含む建設業界は、地域に根ざしている企業が多く見られます。
新規エリアでの事業を行う場合は、人員の確保や設備の導入に加えて、地域に根ざすための営業活動などを行う必要があるでしょう。
安定して事業を行うには、資金の調達はもちろん、営業活動のために数年程度の時間がかかることが予想されます。
それらの問題を解消しながら、事業拡大を効率的に行う方法としてM&Aは有効です。
M&Aで既存エリア以外の足場工事会社を買収すれば、新規開拓の手間を抑えながらサービスを提供できる地域を拡大できます。
事業を協力して行うことで、シナジー発揮による収益の拡大も期待できるでしょう。
スムーズな事業拡大を行えることは、M&Aの大きな利点といえます。
2つ目は、人材不足の解消を目的として行われるM&Aです。
建設業界は今後もニーズが高まることが予測されており、それに伴い足場工事会社の需要は増え続けるでしょう。
しかし、建設業界の市場規模拡大のペースに、必要な人材の数が追いついていないという問題を抱えています。
慢性的な人材不足を解消できなければ、事業を続けることが困難になるでしょう。
人材不足を解消するために、M&Aによる人材補充を行う企業は増えています。
M&Aを行うことで、買収した足場工事会社の人材を確保することが可能です。
実務経験が長い人材を確保できる可能性も高いため、教育にかかる期間を抑えることもできるでしょう。
実務経験がある人材をスムーズに確保することで、さらなる収益向上を図れます。
3つ目は、新規参入を図るために行われるM&Aです。
足場工事会社を経営するためには、知識やノウハウの取得、資材や人材の確保などが必要です。
自社が足場工事会社以外の事業を展開している場合、新規参入を行うには時間がかかるでしょう。
M&Aによって既存の足場工事会社を買収すれば、業界への新規参入をスムーズに行うことができます。
需要が高い建設業界に参入すれば、事業の安定化を図ることもできるしょう。
足場工事会社は、建設業界の中でも必要不可欠な存在なため、参入するメリットが大きい業種といえます。
建設業界の中でも需要が高く、今後も発展が望まれている足場工事会社ですが、事業規模を拡大するためにも解消しなくては行けない課題があります。
ここでは、足場工事会社が抱えている課題を2つ紹介します。
足場工事会社を含めた建設業界は、従業員の高齢化が問題視されています。
経営者が高齢になり働くことが難しくなった場合は、事業を別の人物に承継しなければなりません。
中小企業で多く見られるのは親族内の承継ですが、身内は別の仕事をしているというケースも多く見られます。
従業員への承継を行おうと考えていても、事業を任せられる人材がいないということもあるでしょう。
事業を承継する人材がいないことにより、廃業という選択肢をとる足場工事会社も少なくありません。
身近に承継者がいない場合は、第三者への事業譲渡を検討してもよいでしょう。
先述した通り、足場工事会社を含む建設業界は、人材の不足が問題視されています。
人材不足を解消することは、足場工事会社を続ける上で重要な課題といえるでしょう。
人材不足が発生している理由は、労働環境による離職率の高さや、若者の減少が挙げられます。
危険が伴う仕事であるにも関わらず、それに見合う給料が見合わなければ、離職率は増加するでしょう。
肉体労働は大変といったイメージから、建設業界への就職を希望する若者も減り続けています。
建設業界では、労働環境の改善や業界全体のイメージ向上による課題の解決が求められています。
足場工事会社を買収することで、人員の確保や事業エリアの拡大など、さまざまな恩恵を得ることができます。
では、足場工事会社を売却することにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
足場工事会社を売却するメリットは、主に以下の5つが挙げられます。
ここでは、売却によって得られるメリットを個別に解説します。
後継者がいないことによって事業が継続不可になった場合、廃業という選択肢をとる経営者もいるでしょう。
廃業をするためには、使用していた機材の破棄や、必要な手続きを行うためのコストがかかります。
設備を売却しようと考えていても、買取を希望する人物が見つかるとは限らないでしょう。
買取を希望する人物が見つかるまでは、自分で資材を所持しておく必要があります。
車両のみ売却ができても、その他の設備の買い手が見つからず、最終的には廃棄せざる負えないといったことも考えられるでしょう。
これらの問題は、M&Aで買い手に設備を譲渡することで解決できます。
株式譲渡などで事業を引き継ぐ際は、買い手企業に所有している設備を売却することができます。
事業譲渡で承継を行う際でも、買い手との契約内容次第では譲渡することが可能です。
廃業コストを抑えたい方は、M&Aによる事業承継を検討してもよいでしょう。
近年、建設業界も含めて後継者がいないという問題を抱えている企業が増え続けています。
事業の存続を希望していても、後継者がいないことによって事業を続けられないこともあるでしょう。
後継者がいない場合、事業を存続する手段としてM&Aによる第三者への譲渡があげられます。
足場工事会社を第三者に譲渡することによって、後継者がいない場合でも事業を存続することが可能です。
M&Aによる第三者の承継は、後継者を育成する時間も短縮できるため、後継者問題にかける時間を抑えることができます。
M&Aによって足場工事会社を売却すると、企業価値や資産に応じた売却利益を獲得することが可能です。
通常、会社を廃業する際には、手続きや資材破棄などで資金がかかります。
廃業をしたいと考えていても、それらにかかるコストや生活資金の問題などから、事業を続けなければ行けない経営者も多くいるでしょう。
M&Aによって買い手に機材などを譲渡すれば、廃棄をするためのコストはかかりません。
事業売却で獲得した資金があれば、事業撤退後の生活にゆとりがうまれるでしょう。
売却によって得られた資金を元手に、新たな事業を始めることも可能です。
廃業にかかるコストを消費せず、まとまった金銭を獲得できるのは、事業売却の大きなメリットといえます。
M&Aによって事業を譲渡すれば、従業員は仕事を失わずに済むため、生活を守ることができます。
事業が継続できずに廃業をしてしまうと、従業員は新たな仕事先を探さなければなりません。
自社で働いていた従業員が生活に困ることは、経営者にとっても避けたい事項であるといえるでしょう。
従業員や親族の中に事業を譲渡できる相手がいない場合は、第三者に譲渡することで事業を存続することが可能です。
足場工事事業で大きな利益を挙げている企業に売却すれば、承継後に倒産するリスクも抑えられるでしょう。
大手建設会社の傘下に入ることができれば、定期的に仕事を請け負うことができるため、仕事がないといった状況になることは避けられるでしょう。
買収企業とのシナジーが発揮できれば、自社の売上が増加することによって給料面などの待遇が向上することも考えられます。
売却後、従業員の生活を守るためにも、より信用できる企業に事業を譲渡することが大切です。
足場工事会社を経営していく上で、事業を行うことが負担になっている経営者もいるでしょう。
開業をするために自宅などを担保にしていた場合は、経営状況が生活に大きく関わります。
M&Aによって事業を譲渡すれば、そのような不安を解消することが可能です。
株式譲渡によって事業を承継した場合、売却側の企業が抱えている負債も、買収した企業に承継されます。
事業譲渡で承継した場合でも、相手企業との交渉次第では負債も合わせて譲渡することができます。
事業を続ける上での負担から開放されたい方は、M&Aによる事業譲渡を検討してもよいでしょう。
売却で獲得した資金を運営することで、アーリーリタイアを図ることもできます。
M&Aは、事業の今後を変える大切なターニングポイントです。
買収後や売却後に後悔しないためにも、M&Aを行う際は、以下のポイントを抑えておきましょう。
ここでは、足場工事会社のM&Aを成功させるポイントを5つ紹介します。
M&Aを行う際は、自社が抱えている問題点は無いかを確認しましょう。
問題点の例としては、未払い分の残業代や給与などが挙げられます。
売り手企業が従業員の未払い給与などを抱えていた場合、その分の資金は買い手企業が負担することになります。
買い手企業にとって、このようなリスクの発生は必ず避けたい事項といえるでしょう。
企業を買収する際は、売り手企業が抱えている負債のが無いかを隅々まで確認することが大切です。
企業を売却する際も、このような問題が後から発覚した場合、M&Aを進めることが難しくなるでしょう。
M&Aを行う場合、通常はデューデリジェンスという監査を行なうため、隠し通すことは困難であるといえます。
事業の売却を行なう際は、未払い金が無いかを事前に確認しておくことで、後からトラブルが発生するリスクを抑えることができます。
人材不足が問題視されている建築業界において、スキルをもった人材は貴重な存在です。
買い手企業が、事業買収によってスキルを持った人材を獲得したいと考えるのは当然であるといえるでしょう。
事業を効率的にアピールするためにも、優秀な人材は可能な限り育てておくことが大切です。
優秀な人材がいることを買い手にアピールできれば、売却利益も向上する可能性があります。
第三者から見ても魅力的な足場工事会社を経営することは、事業売却において大切な要素の一つであるといえるでしょう。
後継者不足に悩む足場工事会社は増え続けていることから、買収候補の企業が複数あるといった状況になることもあるでしょう。
買収する企業を決める際は、売却希望価格のみに注目するのではなく、生み出せるシナジーに注目して選ぶことが大切です。
自社も足場工事会社を経営していた場合、自社が開拓していない地域の企業を買収することで、既存事業の拡大を図ることができます。
自社とは異なるノウハウを所持していた場合は、技術の統合によるシナジー発揮が期待できるでしょう。
自社が別の事業を手掛けている場合でも、財務基盤の共有などによってシナジーが生まれる可能性もあります。
売り手企業を選ぶ際は、将来的にどのようなシナジーを生み出せるかを考えて、理想に近い企業を買収しましょう。
また、売り手企業は買い手企業がシナジーを発揮できると感じられる点をアピールしましょう。
特定地域での活動が多い建設業界では、地元企業との繋がりなどもアピールポイントになる可能性があります。
買い手企業の目線に立って、自社のどのような点をアピールするべきなのかを考えましょう。
M&Aを行う際に、売り手企業が自社の強みを見つけることは重要です。
足場工事会社がM&Aを行う事例が増えているため、売却を検討している競合他社も多くいるでしょう。
自社の魅力がアピールできなければ、買い手企業が見つかる可能性も下がるかもしれません。
他社との差別化を図るためにも、自社の持つ強みはあらかじめ調べて置くことが大切です。
自社の強みを見つける際には、競合他社と自社を比較して考えましょう。
強みの例としては、資格を持つ従業員の数や、他社には真似ができない技術などが挙げられます。
自社が持つ強みのアピールは、買い手企業をスムーズに見つけられるだけではなく、売却価格の算定にも影響するでしょう。
M&Aを行うには、専門的な知識を要するため専門家のサポートは必須といえるでしょう。
M&Aを確実に成功させるためにも、信頼できる専門家や仲介会社に依頼することをおすすめします。
また、仲介会社ではマッチング相手の選定も行ってくれるため、交渉相手を自分で探す必要はありません。
不明な点があれば、その都度質問して疑問を解消することもできます。
サポート内容や手数料は仲介会社によって異なるため、自分にあったサービスを受けられる企業を選びましょう。
ACコンサルティングでは、着手金や月額費用を完全無料でサービスを提供しております。
M&Aのご相談にも無料で対応しているので、お気軽にお問い合わせください。
足場工事会社のM&Aは、主に以下の流れで進めていきます。
ここでは、実際にM&Aを行う際の流れを紹介します。
まずは、M&Aの仲介などを行っている専門家への相談しましょう。
M&A仲介会社であれば、買い手企業の選定も依頼できるため、スムーズに相手企業を探すことができます。
仲介会社に相談する際は、譲渡する事業の内容や希望譲渡価格、おおよその完了時期などを事前に考えておくとスムーズです。
自分がM&Aに求める条件を考えて、希望に合う企業を見つけやすい環境を造りましょう。
専門家の選定などによって希望する企業が見つかったら、相手企業にアプローチを行います。
売り手企業の場合は、買い手企業に「ノンネームシート」を提出することになります。
ノンネームシートとは、企業名が特定できないレベルの情報を記載した資料のことです。
一般的に、事業を売却することは外部に漏れてはいけません。
事業を売却することが従業員に発覚した場合、モチベーションの低下に繋がる可能性があります。
提携企業に発覚した際は、不信感を抱かれてしまい、提携が打ち切られることも考えられるでしょう。
そのようなリスクを回避するために、売り手企業はノンネームシートを作成します。
また、ノンネームシートの内容が少なすぎる場合は、買い手企業に有効なアピールができません。
一方、情報を載せすぎてしまうと企業を特定される恐れがあります。
ノンネームシートに記載する情報は、専門家などに相談して慎重に決めましょう。
ここで作成したシートをもとに、買い手企業と売り手企業のマッチングを行います。
買い手企業がノンネームシートの内容に興味を示した場合は、秘密保持契約を結んだ後に情報を開示することができます。
売り手企業も、買い手企業の情報を確認することが可能です。
両方の企業がM&Aを希望した場合は、経営者同士の面談に進みましょう。
ここでの面談で話し合う内容は、譲渡価格やスケジュール、譲渡や買収を行う目的などが挙げられます。
また、最終的な契約内容はこの段階では確定しないため、まずは相手との信頼関係を構築することが大切です。
面談の内容に納得し、両企業が買収及び売却を希望する場合は基本合意書の締結を行います。
注意点として、基本合意書には法的な効力がありません。
譲渡金額や契約内容は、最終契約書を結ぶ段階で確定します。
基本合意契約を行う理由は、あくまで両企業との認識のズレを無くすためです。
基本合意書の内容を変更したい場合は、仲介会社などを通して微調整を行いましょう。
基本合意契約の締結を行ったら、買い手企業はデューデリジェンスを実施しましょう。
デューデリジェンスによって、企業の詳細情報や生み出している利益や未払金の有無などを調べます。
売り手企業も、買い手企業がデューデリジェンスをスムーズに行えるように協力しましょう。
デューデリジェンスの実施によって、報告していない負債などが発覚した場合には譲渡金額が減少する恐れがあります。
売り手企業は、事業を売却する前に何かしらの問題を抱えていないかを確認しておきましょう。
デューデリジェンスによって問題が発生しなかった場合は、基本合意書の内容をもとに最終契約書を結びましょう。
問題が発生した場合は、ここで再度契約内容などの調整を行います。
また、最終契約書を締結した後は、内容を変更することができません。
売却・買収後に後悔をしないように、契約内容は再度確認しましょう。
最終契約を締結したあとは、契約内容に沿ってクロージングを進めていきます。
クロージングでは金銭や人員の移動を行なうため、混乱が生じることもあるでしょう。
クロージングをスムーズに行えるように、両者間で協力することが大切です。
全ての手続が終わったら、M&Aは完了です。
足場工事会社の規模は、大手や中小など多岐にわたります。
企業の規模やM&Aの目的、将来性などによって売却価格は大きく異なるため、相場となる費用を一概に決めることは困難であるといえるでしょう。
自社を売却する際の目安となる金額を知りたい場合は、類似した業種・規模の取引事例を参考にすれば知ることができます。
また、中小企業などが自社を売却する際には、時価純資産に2〜5年分の営業利益を足した金額を目安にすることもあります。
注意点として、それらの金額はあくまで目安であるため、より正確な売却価格を知りたい場合はM&A仲介会社などの専門家に企業価値の評価を依頼しましょう。
【関連記事】M&Aにおける企業価値評価(バリュエーション)とは? 種類やメリットも解説!
足場工事会社は建築業界においてニーズが高く、数多くのM&Aが行われてきました。
それでは、実際に行われたM&Aの事例は、どのようなものがあるのでしょうか?
ここからは、足場工事業界で行われたM&Aの事例を3つ紹介します。
2019年4月、足場の施工サービスや建築機材の施工及び販売などを手掛けている株式会社ダイサンは、Miradorグループ3社の株式を取得して子会社化することを発表しました。
Miradorグループはシンガポールを中心に事業を展開しており、足場工事を中心に電気工事や絶縁体工事などを行っています。
ダイサンはMiradorグループを子会社化することによって、国外への進出や企業価値の向上を図りました。
2019年2月、産業資材や鉄溝資材の販売・仕入れ・製造などを手掛けているコンドーテック株式会社は、ヒロセ興産株式会社の株式を取得し子会社化することを発表しました。
ヒロセ興産は、建築現場などで使用する仮設足場の設置業務などを手掛けています。
コンドーテックは、成長戦略の一環として、修繕工事や働き方改革などに力を入れていました。
ヒロセ興産を子会社化することによって、修繕分野の事業拡大及び企業価値の向上を図りました。
2018年3月、不動産事業や建設用の足場レンタル事業などを手掛けている株式会社キムラは、株式会社テクノ興国の全株式を取得し完全子会社化することを発表しました。
株式会社テクノ興国は、施工サービスや仮設材のレンタルサービス事業などに置いて、北海道の帯広市を中心に強固な地盤を築いている企業です。
キムラは今回の株式取得の伴い、営業基盤の拡大やグループ価値の向上を図りました。
建設業界は、東京オリンピックが終わった現在でも、市場規模が拡大していくことが予想されています。
建設業界の中でも、足場工事会社は必要不可欠な存在であるため、今後も需要は伸び続けていくでしょう。
しかし、建設業界は全体的に人材が不足している傾向があり、需要と供給のバランスが崩れていく恐れがあります。
技術を持つ人材を確保するためにも、M&Aによる事業承継は頻繁に行われるでしょう。
足場工事会社の廃業を考えている方は、ぜひ一度M&Aによる事業譲渡も検討してみてはいかがでしょうか。