M&Aのクロージングとは?手続きや流れ、必要書類などを解説!

投稿日:2022/08/14

更新日:2022/09/17

M&Aのクロージングでは、株式の引き渡しによる経営権の譲渡や、取引内容に応じた対価の支払いなどを行います。

一見すると単純に感じる工程ですが、実際には必要になる手続きや書類が多く、実施する内容に漏れが生じることも少なくありません。

クロージングはM&Aに置いても重要な内容であるため、見落としの無いように進めていきましょう。

この記事では、M&Aにおけるクロージングの手続きや流れ、必要書類やポイントなどを紹介していきます。

M&Aのクロージングとは?

クロージングとは、最終契約の内容に基づいて行う手続きです。

具体的には、売り手企業の経営権や事業の移転や、譲渡対価の支払い・受け取りなどを行います。

クロージングを行う際には、株式譲渡承認書や登記事項の証明書といった書類が必要になるため、手続きに見落としがないかを注意する必要があるでしょう。

また、M&Aには「スキーム」と呼ばれる取引の手法が複数あり、どれを選択したかによって取引の内容が異なります。

状況によってクロージングの方法は変化するため、一般的には専門家のサポートを受けながら進めていきます。

クロージングの前提条件を定める必要がある

クロージングの前提条件とは、取引を実行する際に必ず実行しなければ行けないと定めた条件です。

クロージングの実行日には、売り手企業・買い手企業ともに前提条件を満たせるように、あらかじめ準備を進めていく必要があります。

定める前提条件は取引によって異なりますが、主に以下のような内容が挙げられます。

【主なクロージングの前提条件】

売主・買主による表明保証の事項が、クロージングにおいて正確であること
売主・買主によるクロージングの制約事項が、すべて履行や遵守されること
取引先企業、役員やキーマンなどの同意を得られていること
許認可などの届け出がなされていること
クロージングに必要な手続きがすべて実行されること

クロージングの前提条件は、買い手・売り手の両社で定めた項目であることから、実行されない限り目的を果たすことができません。

前提条件が満たせなかった場合、クロージングの段階でM&A自体が破綻になることがあるので注意しましょう。

クロージングにかかる期間はどれくらい?

クロージングの実施は、最終契約の締結を行った後に一定期間を空けてから行います。

最終締結後からカウントした場合、クロージングにかかる期間はおおよそ1ヶ月から1年程度です。

これほどの時間がかかる理由は、デューデリジェンスの結果によって見つかった問題点の修正、法定に基づいた手続き、M&Aを行うための事前準備などを進める必要があるためです。

また、クロージングにかかる期間はM&Aの手法によって異なります。

M&Aにおけるクロージングの手続き

上記にて解説した通り、クロージングで必要な手続きは選択するスキームによって異なります。

自身が選択したスキームでの実施内容を確認し、適切な方法で進めて行きましょう。

ここでは、「株式譲渡」「事業譲渡」「合併」「会社分割」におけるクロージングの手続内容を解説していきます。

【関連記事】M&Aの手法は何がある?特徴やメリット・デメリットも解説!

株式譲渡の場合

株式譲渡

株式譲渡とは、株式の一部または全てを売買することによって、経営権の譲渡を行うM&A手法です。

株式譲渡は株式のやり取りのみで進めることができるため、容易に行えるという特徴があります。

必要な手続きも少ないことから、M&Aにおいて最も使用されている手法です。

株式譲渡を選択した場合、クロージングの内容は「必要書類の準備及び、有効性や押印の確認」などが挙げられます。

それらを完了した後に、株式の譲渡や譲渡対価の支払いを実施します。

ただし、売り手側の企業が株式譲渡制限会社の場合は、取締役会または株主総会を開催して承認を得る必要があるため注意しましょう。

事業譲渡の場合

事業譲渡

事業譲渡とは、売り手企業が行っている事業の一部または全てを譲渡するM&A手法です。

事業譲渡は譲渡する対象を選択できるため、資産や負債を切り離して譲渡することができます。

実施後も売り手企業の法人格は残ることから、十分な利益が見込めない事業を売却し、企業の再建を図るといったことも可能です。


事業譲渡のクロージング内容は、資産や負債、契約などの移転が挙げられます。
注意点として、譲渡する対象ごとに個別で手続きを行う必要があるため、多大な時間がかかるという特徴があります。

従業員の移転を行う場合には、個別に同意を得なければいけません。

譲渡対象全てのクロージングが同日に完了することは稀であり、クロージング日と事業譲渡日が一致しないこともあるでしょう。

合併の場合

合併とは、複数の法人格を統合するM&Aの手法で、「新設合併」「吸収合併」の2種類があります。

新設合併とは、2社以上の法人格を消滅させて、新規に設立した企業へ権利義務を承継させる合併です。

新設合併のクロージングでは、主に設立登記を行います。

設立登記とは、企業の情報を法務局に登録することであり、新たな企業を設立するためには必要な手続きです。

売り手企業と買い手企業の契約で新設合併の効力発生日を決めていた場合でも、法律上の効力は設立登記で定められた日付になります。

一方、吸収合併とは、どちらか片方の法人格を消滅させて、既存の企業へ権利義務を承継させる合併です。

吸収合併を株式の売買によって実施していた場合は、買い手企業が売り手企業に対して株式の交付を行います。

現金を対価として吸収合併を行っている際には、現金の支払いをクロージングで実施します。

また、合併や後述する会社分割によって組織再編が行われる場合、「債権者保護手続き」を実施しなければいけません。

債権者保護手続きとは、組織編成にて債権者の利害に影響が出る場合、異議を唱える機会を与える手続きです。

組織再編を行うことを告知した後は、最低でも一ヶ月以上は異議を唱えられる期間を設ける必要があります。

会社分割の場合

会社分割

会社分割とは、会社の一部または全てを切り離し、包括して承継するM&A手法です。

事業譲渡と似ていますが、会社分割は分割した事業を包括して承継するため、個別に手続きする必要がありません。

ただし、事業譲渡のように負債などを譲渡対象から外すことができないため注意しましょう。

会社分割は「新設分割」と「吸収分割」の2つに分けることができます。

新設分割とは、売り手側の特定の事業を切り離し、新設した企業に権利義務を承継することです。

一方、吸収分割では、売り手側の特定の事業を、既存の企業に譲渡することを指します。


クロージングの内容は合併と同じく、新設分割の場合は設立登記を行い、吸収分割の場合は対価の支払いを行います。
組織再編が行われる場合は、債権者保護手続きを実施しましょう。

M&Aでクロージングするまでの流れ

M&Aの検討から、クロージングをするまでの流れは以下の通りです。

【クロージングするまでの流れ】

  • 1.専門家にサポートを依頼する
  • 2.相手企業を選定する
  • 3.秘密保持契約を締結しトップ面談を実施する
  • 4.基本合意契約を締結する
  • 5.デューデリジェンスを実施する
  • 6.最終合意契約を締結する
  • 7.クロージングの準備

1.専門家にサポートを依頼する

まず最初に、M&Aのサポートを依頼する専門家を決定します。

M&Aを完了させるまでに必要な手続きは多く、法律の知識を求められる場面もあるため、個人で進めることは容易ではありません。

実施する項目に不備を生じさせないためにも、M&Aのサポートを行っている専門家へ依頼しましょう。

また、専門家へ依頼する際は、事前にM&Aによって実現したい目標などを明確にしておくと、スムーズに進めることができます。

2.相手企業を選定する

M&Aのサポートを依頼する専門家が決定した後は、相手企業の選定を行います。

M&A仲介会社などに依頼した場合は、相手企業の選定なども依頼することが可能です。

紹介された企業の情報を確認し、目標を実現できる企業であるかを考えましょう。

また、売り手企業側は、買い手企業を見つける際には「ノンネームシート」を作成します。

ノンネームシートとは、企業名が特定されない範囲の情報が掲載された概要書です。

売り手企業がM&Aによって自社を売却することが広まった場合、従業員に混乱が生じる可能性があり、集団離職を招く恐れなどがあります。

取引先に売却することが流出した場合、不信感を抱かれ取引が中止になることもあるでしょう。

そのようなリスクを回避するために、ノンネームシートは存在します。


買い手企業は、ノンネームシートの情報を元に売り手企業を探します。

3.秘密保持契約を締結しトップ面談を実施する

ノンネームシートの情報をもとに相手企業が見つかった際には、秘密保持契約を締結した上で情報を開示します。

両企業が話し合いを希望している場合は、経営者同士の顔合わせであるトップ面談に移ります。

トップ面談では、相手企業の経営に関する考え方や、経営者の人柄などを確認することが重要です。

買収価格の交渉などを中心に進めたくなる場面ですが、金銭に関わる話が多い場合、相手企業の心象を損ねる恐れがあります。

M&Aにおいて大切なことは、統合後のシナジー発揮です。

ビジネスマインドや人間性に共感できる相手であれば、統合後のシナジーをスムーズに発揮できる可能性が高まるでしょう。

また、仲介会社などに依頼した場合、買収価格の交渉は経営者に変わって実施してもらえるので、安心して依頼しましょう。

4.基本合意契約を締結する

トップ面談の実施後にM&Aを進めていく意思が固まった場合は、基本合意書の締結を行います。

基本合意書とは、基本的な交渉内容に関して、売り手企業と買い手企業が同意したことを示す書類です。

注意点として、基本合意書の内容には一部を除き法的な拘束力が無いため、最終的な内容が確定したわけではありません。

基本合意書の立ち位置は、あくまでM&Aを進めていく意思を確認するための書類です。

最終的な交渉内容は、後述するデューデリジェンスを実施したあとに、最終契約を締結した段階で決定します。

5.デューデリジェンスを実施する

基本合意契約を締結した後は、デューデリジェンスの実施に移ります。

デューデリジェンスとは、買い手企業が売り手企業に対して行う内部監査です。

デューデリジェンスによって、買い手企業は売り手企業を買収することに対してリスクがないかを把握します。

多額の簿外債務や訴訟リスクなどを抱えていた場合、買収することによって不利益が生じるかもしれません。

そのようなリスクを回避するためにも、デューデリジェンスは必ず行いましょう。

また、売り手企業側は、買い手企業から情報の提供を求められます。

デューデリジェンスの実施に非協力的である場合は、買い手企業との信頼関係に悪影響を及ぼす可能性があります。

良好な関係でM&Aを進めていくためにも、売り手企業は可能な限り協力しましょう。

【関連記事】デューデリジェンスとは?目的や種類、流れや費用などを解説

6.最終契約を締結する

デューデリジェンスを実施した後は、最終契約の内容について交渉をします。

売り手企業を買収することに対してリスクが無かった場合は、基本合意契約の内容を元に最終的な交渉を行います。

デューデリジェンスによって買収リスクが判明した場合は、内容に合わせて買収価格の交渉などを行いましょう。

スキームを事業譲渡にすることによって、簿外債務などのリスクを切り離すことも有効な手段です。


両者間で契約内容が定まった場合は、最終契約の締結を行いましょう。

7.クロージングの準備

最終契約の締結を行った後は、内容に合わせてクロージング条件を定めます。

両企業は、クロージング条件に応じて準備を進めていきます。

株式譲渡の場合は株式譲渡承認書の準備、企業再編を伴う合併や会社分割の場合は、債権者保護手続きの準備などを進めていきましょう。

M&Aのクロージングで必要になる書類

M&Aにおけるクロージングを実施するためには、さまざまな書類が必要になります。

ここでは、M&Aスキームの中で最も使用されている「株式譲渡」で必要になる書類について、売り手企業と買い手企業に分けて紹介していきます。

売り手企業側が用意する主な書類

売り手企業側が用意する書類は、主に以下の4つが挙げられます。

【売り手企業側が用意する書類】

  • 1.株式名簿
  • 2.株主名簿の名義書換え請求書
  • 3.株式譲渡承認書・通知書
  • 4.株式譲渡承認議事録

1.株式名簿

株式名簿とは、株主を把握するための書類であり、株式会社を設立する際に作成する義務があります。

株主名簿には、株主の基本情報や、株主ごとの保有株式数・株式取得日などが記載されています。

クロージング日までに株式名簿の内容を確認し、持ち株比率を把握しましょう。

また、株主名簿は作成の義務がある重要な書類ですが、中小規模の企業の場合は完備していないことも少なくありません。

株式譲渡によってクロージング行う際には必ず必要になるので、事前に保管場所などを確認しておきましょう。

2.株主名簿の名義書換え請求書

株主名簿の名義書換え請求書とは、株主名簿の書き換えを行う際に必要な書類です。

株主名簿の書き換えが行われなかった場合は、株主総会での議決権を得ることができません。

M&A後の経営に悪影響を及ぼさないためにも、株主と株式の取得者で共同し請求を行いましょう。


また、株主名簿の名義書換え請求書には、指定されたフォーマットなどが無く、売り手企業が独自で作成します。

株主と取得者の指名・住所・株式保有数などを記載して、押印するだけの状態にしておくことが一般的です。

3.株式譲渡承認書・通知書

株式譲渡承認請求書とは、会社から株式譲渡の承認を得たことを証明する書類です。

株式の取引に制限が設けられている場合、会社から承認を得ていなければ、株式の取引を行うことができません。

会社側がM&Aに対して同意していることを示すためにも、譲渡制限株式会社が取引を行う際には必須です。

4.株式譲渡承認議事録

株式の譲渡に制限が設けられている企業の場合、株式譲渡承認の議事録も用意しましょう。

株式取引の承認機関が株主総会の場合は、株主総会での決議を得る必要があります。

また、株式取引に制限が設けられていない企業の場合は、株式譲渡承認議事録を作成する必要がありません。

買い手企業側が用意する主な書類

買い手企業側が用意する書類は、主に以下の4つが挙げられます。

【買い手企業側が用意する書類】

  • 1.クロージング書類の受領書
  • 2.印鑑証明書
  • 3.登記事項証明書
  • 4.顧問契約書

1.クロージング書類の受領書

クロージング書類の受領書とは、売り手企業側から提出された書類を受け取ったことを示す書類です。

売り手企業から提出される書類には、重要な内容が記載されているため、受け取り後には必ず発行しましょう。

2.印鑑証明書

印鑑証明書とは、押印された印鑑が買い手企業のものであることを証明するための書類です。

印鑑証明書の発行は、法務局の窓口またはオンラインにて発行できます。

3.登記事項証明書

登記事項証明書とは、不動産の所有者などの情報が記載された書類です。

登記事項証明書は、印鑑証明書と同じく法務局で発行することができます。

また、登記簿謄本と登記事項証明書は同じ意味で使われることがあります。

4.顧問契約書

顧問契約書とは、知識や経験を有する人物にアドバイスなどを依頼するための契約書です。

M&Aの実施後に売り手企業の経営者に残って貰う場合には、顧問契約書を用意することが一般的です。


買収後に経営者に残ってもらうことで、従業員のモチベーションの不安の解消や、スムーズな経営統合を図れるといったメリットがあります。

この契約はロックアップといい、キーマンである経営者を縛ることから「キーマン条項」と呼ぶこともあります。

M&Aのクロージングを成功させるポイント・注意点

M&Aにおけるクロージングを実施する際には、把握しておきたい要素が複数あります。

ここでは、クロージングを成功させるためのポイントや注意点などを解説していきます。

【M&Aのクロージングを成功させるポイント・注意点】

  • 1.クロージングの条件は具体的に決める
  • 2.スケジュールに余裕を持つ
  • 3.専門家に依頼する

1.クロージングの前提条件は具体的に決める

クロージングを行う際には前提条件を定めることが一般的ですが、内容を具体的に決めなかった場合には、どの段階でクロージングが完了したかを把握することができません。

どちらかの主観で判断するような条項は定めないように注意しましょう。

クロージングの前提条件は、誰がみても達成したことを判断できるような具体的な内容にすることが重要です。

例として、買収後にも取引先と関係性を保つための前提条件を定めるとします。

関係性を保ちたいからといって、クロージング条項に「取引先との関係性は、買収後も継続することを確認しなければならない」といった条件を定めてしまうと、どのような基準で完了したかを把握することが困難です。

「M&Aを実施することに関して、取引先から同意を得ること」といったように、第三者からみても把握できるような内容にしましょう。

2.スケジュールに余裕を持つ

クロージングにかかる期間はスキームによって異なり、おおよそ1ヶ月から1年程度が目安です。

クロージングで行う手続きの内容を把握していなかった場合、スケジュール設定を見誤ってしまい、クロージング日までに手続きを完了させることが困難になるでしょう。

相手企業からクロージング日を提案された際には、その期間内に実現可能であるかを判断することが大切です。

また、クロージングまでにどれくらいの期間を設ける必要があるのかを、自身で判断できないこともあるでしょう。

そのような場合は、専門家などに相談してスケジュールを定めれば、適切な日程で進められる可能性が高まります。

加えて、万が一のトラブルが発生した場合に備えて、余裕のあるスケジュールを組むことも大切です。

3.専門家に依頼する

クロージングを行う際には、書類の準備やスケジュールの設定など、やらなければいけないことが多数あります。

自身のみで進める場合、見落としなどが発生することも考えられます。

加えて、会社法の知識などが求められる場面もあるため、個人で進めていくことは困難であるといえるでしょう。

そのような状況に対応するためにも、クロージングを行う際には、専門家のサポートを受けながら進めることをオススメします。

M&Aに知識がある弁護士や仲介会社などに依頼して、適切な方法でクロージングを実施しましょう。

クロージング後に行うPMIとは

クロージングが完了することによって、M&A自体は成立します。

ただし、M&Aによるシナジーを充分に発揮するためには、適切なPMIの実施が欠かせません。

PMIとは、M&A実施後の経営統合作業のことであり、「Post Merger Integration」の略称です。

PMIの成否によって統合後の経営環境は変わってくるため、M&Aにおいて最も重要な要素ともいえるでしょう。

PMIの実施タイミングに決まりはないため、クロージング作業と並行して行うことも大切です。

M&Aを成功させるためにも、PMIとはどのようなものであるかを把握しておきましょう。

【関連記事】PMI(経営統合作業)とは?プロセスや成功・失敗事例などを解説!

PMIにて統合する対象

PMIで統合する対象は、スキームや事例によってさまざまな違いがあります。

ここでは、PMIで統合する対象を4つ紹介します。

【PMIで統合する対象】

  • 1.経営体制
  • 2.業務・内部システム
  • 3.人事・組織編成
  • 4.社内文化・風土

1.経営体制

PMIでは、経営体制の統合を行う必要があります。

中小規模の企業などは、経営体制が充分に整備されていないことも珍しくありません。

売上や業績の管理方法などを把握し、利益を出している仕組みを把握しましょう。

また、企業によっては売上を把握していても、利益がどれくらい出ているのかを確認していないことも考えられます。

こまめに利益を確認し、適切な経営ができるように統合を行いましょう。

2.業務・内部システム

業務を適切に行うためには、内部システムなどの統合も実施する必要があります。

買い手と売り手が同業種だった場合は、どちらかのシステムに統一することによって、業績の確認などがしやすくなります。

業種が異なる際には、既存のシステムを使用して良いのかを検討しましょう。

また、システムの統合を行う際には従業員にも負担が生じるため、統合によってどのような利益があるのかを伝えて、反発を防ぐことも大切です。

3.人事・組織編成

人事制度は、PMIで統合する重要な項目の一つです。

買い手企業と売り手企業の人事制度の差は、従業員の離職を招く自体になるかも知れません。

人事制度に関しては、可能な限りで統合することも大切です。

また、部署ごとの人員配置数といった組織編成の統合も進めていきましょう。

人員配置を適切に行うことで、業務の効率化による利益の増加も図れます。

4.社内文化・風土

社内文化や風土なども、PMIにて統合する項目に含まれます。

ビジネスに対する考え方に差がある場合は、組織内で衝突が発生することもあるでしょう。

経営統合を行う際には、人材同士の交流の場を設けて風土などをすり合わせることも大切です。

社内文化や風土を統合できれば、従業員同士のシナジーが発揮されて企業価値向上に繋がることも考えられます。

まとめ

クロージングを実施する際には、前提条件を明確に定めておくことが大切です。

手続きの内容や期間はスキームによって異なるため、それぞれの違いを把握しておきましょう。

スケジュールを決める際には、どれくらいの時間がかかるかを把握し、余裕をもって作成することをおすすめします。

クロージングが完了した後にはPMIを実施し、シナジーを生み出せる環境を整えましょう。

また、M&Aを実施する際には、専門家などのアドバイスを受けることで成功率の向上を図ることも可能です。

M&Aに関する様々なご相談を無料で承っております。
お気軽にご相談ください。

M&Aの無料相談フォーム

無料の電話相談

(年中無休 9:00~19:00)