投稿日:2022/07/17
更新日:2022/07/17
中小企業がM&Aを行う方法として、頻繁に使用されているのが事業譲渡と株式譲渡です。
それぞれの特徴や違い、メリットやデメリット、その他の手法などを把握して、適切なM&A手法を選択しましょう。
この記事では、事業譲渡と株式譲渡の違いについて解説していきます。
目次
事業譲渡および株式譲渡は、M&Aを実施するための手法です。
まず最初に、それぞれの特徴について解説します。
事業譲渡とは、譲渡企業が行っている事業の一部または全てを、第三者へと引き継ぐM&A手法の一つです。
事業譲渡によってM&Aを行う際は、人材や資産などの譲渡する対象を選択することができます。
経営権を承継しないこともできるので、譲渡後も事業を存続することが可能です。
また、譲渡時の対価は企業が受け取るため、特定の事業で充分な利益を挙げられていない場合や、一つの事業に集中したい場合などに多く使用されています。
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株式譲渡とは、譲渡側の企業が所有する株式を、譲受企業に譲渡するM&Aの手法です。
譲渡する株式の割合が一定を超えることで、譲渡企業の経営権が譲受企業に承継されます。
株式譲渡の方法は、株主を譲受企業に譲渡するといったシンプルな方法であるため、手続きが容易という特徴があります。
株式譲渡を行う際は一部の株式を売却することもできますが、事業承継などを目的とすることが多い中小企業では、全ての株式を譲渡するケースが頻繁に見られます。
また、株式譲渡の対価は株主が受け取るため、アーリーリタイアなどを目的とした事業売却を行う際に有効な手法です。
株式譲渡に似た用語の中に、会社譲渡というものがあります。
会社譲渡とは、株式の譲渡によって経営権を譲渡することを指しており、株式譲渡と同じような意味で使用されます。
株式譲渡はM&Aの手法を指す際に使用されることが多いですが、どちらも第三者に株式を譲渡することであるため、本質的に違いはありません。
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M&Aにおいて使用されることが多い事業譲渡と株式譲渡ですが、さまざまな部分に違いがあります。
ここからは、事業譲渡と株式譲渡の違いについて解説していきます。
1つ目は、取引の主体となる相手の違いです。
事業譲渡の取引主体は、譲渡企業と譲受企業が取引をすることになるため、譲渡企業の株主は関与することがありません。
一方で、株式譲渡の取引主体は、譲渡企業の場合は自社の株主で、譲受企業は経営権を取得する企業や経営者になるといった違いがあります。
2つ目は、企業を譲渡する対象や、譲渡対価の違いです。
事業譲渡の場合は、譲渡する対象を選択することが可能で、売却益は企業自体が受け取ります。
譲渡の対象は事業以外にも、人材や資産、ブランドなどが挙げられます。
一方で、株式譲渡の譲渡対象は株式となっており、譲渡対価は株主が受け取ることになります。
3つ目は、事業譲渡または株式譲渡を実施する目的の違いです。
譲渡企業側と譲受企業側では目的が異なるため、それぞれに分けて紹介します。
譲渡企業側が事業譲渡を実施する場合は、採算が取れない事業の切り離しや、事業の集中を図ることを目的として行われている傾向があります。
反対に、株式譲渡を行う場合は、経営基盤の強化などを目的として行われています。
また、どちらにも共通している目的は、第三者への事業承継です。
譲受企業が事業譲渡を実施する目的は、買収による事業の取得です。
株式譲渡を行う際は、一定以上の株式を譲り受けることによって、経営権を取得することを目的として行われます。
4つ目は、のれんの発生の有無です。
のれんとは、譲渡企業を買収する際の価格と、所有している純資産額の差額を指します。
事業譲渡を行う際には、純資産額にのれんを足して譲渡価格を算出します。
株式譲渡の場合は、連結会計を採用している場合を除いて、のれんの値は譲渡価格に含まれません。
5つ目は、締結する契約の違いです。
事業譲渡を行う際は、資産の一覧表から譲渡対象を指定して契約する事業譲渡契約を結びます。
記載する内容に不備があるとトラブルに繋がる恐れがあるため、譲渡対象は明確に記載する必要があります。
株式譲渡の場合は、株式の移転を目的とした株式譲渡契約の締結を行います。
基本的には株式の売買契約といった立ち位置であるため、他の手法と比較すると手続きは容易です。
6つ目は、譲渡によって発生する税金の違いです。
個人株主が株式譲渡を行う場合は、売却価格に応じた所得税や住民税などが発生します。
合計した税率は20.315%となっており、確定申告によって納税する必要があります。
事業譲渡を行う際には、売却益は法人所得として換算されるため、30~40%程度の法人税が発生します。
税金面では、事業譲渡よりも株式譲渡のほうが節税になるケースが多く見られます。
事業譲渡と株式譲渡は、M&Aにおいて頻繁に使用されている手法です。
しかし、M&Aを行う手法は、事業譲渡と株式譲渡だけではありません。
その他の手法の特徴などを把握して、最適な手法を選択しましょう。
ここからは、「会社分割」「株式交換」「株式移転」という手法について解説していきます。
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会社分割とは、切り離した一部の事業を、第三者へ承継するM&A手法です。
主に、事業の譲渡によって企業再編を図ることを目的として行われます。
会社分割の方法は「新設分割」と「吸収分割」に分けることができます。
新設分割は、新たに新設した会社に事業を包括的に承継する手法で、吸収分割は既存の企業に事業を承継する手法です。
事業譲渡と似たような手法ですが、会社分割は包括的に事業を承継するため、譲受企業に負債も承継されるといった特徴があります。
また、事業譲渡よりも必要な手続きが少なく実施が容易という長所もあるため、どのようなメリットを優先するかによって選択しましょう。
株式交換とは、発行済の株式を譲受企業にすべて譲渡するM&A手法です。
株式交換を実施した後は、譲受企業が完全親会社となり譲受企業との支配関係が発生します。
譲受企業は買収対価として株式を選択することもできるため、買収にかかる費用を抑えられるといったメリットがあります。
現金を使用して株式交換を行うことも可能ですが、手続きが煩雑になり、税の負担が大きくなるといったこともあるので注意が必要です。
また、株式交換を行った後も譲渡企業の法人は残るため、時間をかけて統合作業を行うことが可能です。
株式移転とは、新規に設立した企業に、2社以上の発行済株式を取得させるM&Aの手法です。
株式移転によって新規に設立した企業に対して、自らが完全子会社になることによって組織の再編を図ることができます。
株式交換と似たような手法ですが、株式交換は既存企業に株式を譲渡するのに対して、株式移転は新規設立企業に株式を譲渡するという違いがあります。
また、吸収分割のように既存事業に統合されるといったことは無いため、実施後も以前と同じ環境で業務を行うことが可能です。
株式交換と同じく、時間をかけて統合作業を行うことができるため、M&Aによる社内の混乱を抑えやすいというメリットがあります。
譲渡企業に生じるメリット・デメリットを、事業譲渡と株式譲渡に分けて紹介していきます。
事業譲渡によって譲受企業に生じるメリットは、以下の2つが挙げられます。
事業譲渡を選択することによる一番のメリットは、譲渡する事業を選択することができるという点です。
自社が充分な利益を挙げられていない事業があった場合は、それを第三者に譲渡することによって事業の存続を図ることが可能です。
経営全体が傾いていた際には、中心なる事業以外を売却することで、売却益を獲得し再建を図ることもできるでしょう。
存続したい事業と売却する事業を選択できることは、事業譲渡の大きな強みです。
M&A手法で事業譲渡を選択した場合、負債を切り離して第三者へ事業を承継することができます。
自社の売却を検討していた際に、抱えている負債が大きい場合は、買収を希望する企業が現れないこともあるでしょう。
譲受を希望する企業が現れない場合は、事業譲渡を選択することによって買収を希望する企業が現われることもあります。
また、事業譲渡は契約書に記載したもの以外は譲受企業側に引き継がれないため、リスクを回避したいと考えている企業へ効果的なアピールをすることが可能です。
事業譲渡のデメリットは、以下の2つが挙げられます。
事業譲渡は、譲渡対象に対してそれぞれ手続きを行う必要があるため、株式譲渡と比較すると手続きが煩雑というデメリットがあります。
譲渡する対象が増えるほど必要な手続きも増えるため、対象が多い場合は株式譲渡を検討しても良いでしょう。
また、事業譲渡を行う際には株主からの同意が必要になるケースがあります。
事業規模が大きい場合は、実施するための手間やコストが掛かるため注意が必要です。
事業譲渡によって譲渡した事業は、競業避止義務によって一定期間行うことができません。
競業避止義務は、事業を譲り受けた企業が買収によって損失が生じないために設けられている義務のことです。
譲渡した企業が売却した事業を再度行った場合は、買収した企業の競争相手となってしまうため、想定していた利益を獲得することは困難になるでしょう。
そのような損失を避けるために競業避止義務が設けられており、契約を交わしていない場合、譲渡した企業は20年間同事業を行うことができません。
同事業を再度行う可能性がある場合は、事業譲渡を実施して良いのかを一度検討しましょう。
株式譲渡のメリットは、以下の3つが挙げられます。
株式譲渡によって企業を売却することで、実施後も企業の存続を図ることができます。
株式譲渡によって引き継がれるものは経営権であるため、会社名などを変更せずに、企業の独自性を維持することも可能です。
また、株式譲渡では株式の移動によって経営権を譲渡するだけなので、従業員や取引先から承認を得る必要がありません。
企業のあり方を大きく変更せずに事業を存続できることは、株式譲渡を選択する大きな利点です。
中小企業が株式譲渡を行う場合、全ての株式を譲渡するケースが多く見られます。
しかし、全ての株式を譲渡するといった決まりは無いため、影響力を残したい場合は一部を手元に残しておくことも可能です。
株式の3分の1を保有している場合は、株主総会での特別決議を単独で秘訣することができます。
株式の一部を手元に残しておきたいと考えている場合は、譲受企業との交渉時に伝えましょう。
株式譲渡によって事業を売却した場合は、譲渡対価の受取先は株主となります。
中小企業の場合は経営者が株主であるケースが多いため、実施によって企業価値に応じた売却益を獲得することが可能です。
獲得した利益を使用すれば、新たな事業を立ち上げをスムーズに行うことができるでしょう。
また、売却益を資産運用などで増やし続ければ、アーリーリタイアを図ることもできます。
株式譲渡を選択することによって生じるデメリットは、以下の2つが挙げられます。
株主が複数存在しており経営者以外の第三者へ分散している場合は、株式を取りまとめる必要があります。
株式の取りまとめは譲渡側の企業が実施するため、株主に関する情報が把握できていない場合は、多くの時間を要するでしょう。
加えて、株式は強制的に買い取ることができないので、株主に売却を拒否されるケースも考えられます。
株式譲渡を行う際は、株主の情報を把握した上で実施しましょう。
株式譲渡を行う際は、譲渡企業が所有している負債が譲受企業へと承継されます。
譲渡企業側が所有してる負債が大きいことがネックとなり、買い手企業が見つからないといったケースも考えられるでしょう。
自社の負債が大きい場合は、事業譲渡による承継が有効です。
事業譲渡では譲渡対象を選択して承継することができるため、譲受企業へ負債を引き継がせないことも可能です。
次に、事業の買収を行う譲受企業に生じるメリット・デメリットを、事業譲渡と株式譲渡に分けて紹介していきます。
事業譲渡によって生じるメリットは、以下の2つが挙げられます。
事業譲渡では、譲り受ける事業のみを選択して事業を獲得することができます。
株式譲渡の場合、買収を検討している企業が複数の事業を行っている際には、運営している全ての事業を引き継ぐ必要があります。
事業譲渡では、特定の事業を選択して獲得することができるため、買収にかけるコストを抑えることが可能です。
事業を選択できることは、譲渡企業・譲受企業に共通したメリットであるといえるでしょう。
事業譲渡で承継する譲渡対象は、譲渡企業と交わした契約によって定められます。
譲渡企業側から引き継ぐ対象から負債を外すことができるため、買収時に発生するリスクを抑えることが可能です。
買い手側の企業にとって、買収後に想定外の負債が発覚して経営にダメージを負うことは避けたい事項でしょう。
それらのリスクを回避したい場合は、事業譲渡という手法が適しています。
事業譲渡によって発生するデメリットは、以下の2つが挙げられます。
譲渡企業側と同様に、実施する際に必要な手続きが多いことは事業譲渡のデメリットです。
従業員も譲り受ける場合は、従業員一人ひとりに対して承諾を得る必要があるため、人数が多い場合はそれに対応した時間の確保が必要です。
獲得後には給与や労働環境などが変わることもあるため、それらに対する了承も得なければいけません。
従業員人数が多いなどの理由で実施が現実的ではない場合は、株式譲渡などの手法を選択した方がよいでしょう。
事業譲渡では、譲渡企業側が所有していた許認可を引き継ぐことができません。
許認可は企業に対して与えられるものであるため、必要な場合は再度取得する必要があります。
事業によって許認可の取得に必要な時間は異なりますが、事業次第では承継した後でもしばらく業務を行えないこともあるでしょう。
許認可が必要な事業を承継する場合は、取得に必要な期間を把握して、適切なタイミングで引き継ぐ必要があります。
また、許認可の取得が難しい場合や、取得に時間がかかる場合には、株式譲渡によって事業を獲得することも一つの手段です。
譲受企業が株式譲渡を選択するメリットは、以下の2点が挙げられます。
事業譲渡によって事業を譲り受けた場合、買収した企業側は許認可を再取得する必要があります。
株式譲渡では譲渡企業側の法人が残るため、再度取得しなくても事業を営むことが可能です。
許認可を取得する時間を抑えられるので、取引の実施後はスムーズに事業を行うことができるでしょう。
また、中小企業の場合は経営者が全ての株式を所有していることが多いことから、短期間でM&Aを完結しやすいという特徴もあります。
事業譲渡を行う場合は、譲渡対象となる事業に対してそれぞれ手続きを行う必要があります。
株式譲渡では事業の全てを包括的に承継するため、事業譲渡よりも手続きが容易という特徴があります。
加えて、従業員と新たに労働契約を結び直す必要がないという特徴もあり、多数の人材を承継する場合でもスムーズなM&Aを実現することが可能です。
M&Aにかける時間や手間を抑えたい方は、株式譲渡による事業の取得がおすすめです。
反対に、譲受企業が株式譲渡を行う際には、以下のデメリットが生じます。
株式譲渡は、譲受企業を包括して引き継ぐことができるため、手間がかからないといったメリットが有ります。
しかし、包括して承継することから、譲受企業が負債や訴訟リスクを抱えていた場合でも、それらを切り離すことができません。
リスクを回避するためにも、株式譲渡を行う際は企業監査であるデューデリジェンスを念入りに行い、買収リスクを事前に把握しましょう。
また、買収したいがリスクがある企業と取引をする際は、事業譲渡によって特定の事業のみを引き継ぐという方法もあります。
株式譲渡によってM&Aを行った場合、譲渡企業の法人は存続されます。
従業員が離職するリスクを抑えられることはメリットですが、反対に従業員同士のシナジーを発揮が得られない可能性もあります。
株式譲渡後に素早くシナジーを発揮するためにも、統合後の流れについて具体的に話し合っておきましょう。
比較的成果が出やすい取り組みを早めに行うことで、シナジーを発揮しやすい環境を造り、従業員同士のモチベーション向上させることも有効です。
ここまで、事業譲渡と株式譲渡の特徴やメリットについて解説してきました。
では、どちらかの手法を選択する場合には、どのような点に注目して決めれば良いのでしょうか?
ここからは、事業譲渡と株式譲渡のどちらかを選ぶ際のポイントを紹介します。
事業譲渡では、事業や人材など譲渡の対象を選択して承継することができます。
一方で、株式譲渡は経営権を含めた包括的な承継になるため、特定の事業のみを承継することはできません。
ただし、事業譲渡はそれぞれ個別に手続きを行う手間などがかかるため、譲渡したいと考えている事業の範囲によって適切な手法を選択しましょう。
株式譲渡によって事業承継を行った場合、譲渡企業側が所有している許認可は残ります。
対して、事業譲渡では許認可が引き継がれないため、再度取得する必要があります。
許認可の取得が難しい場合や、取得までに時間がかかる場合は株式譲渡による事業承継がおすすめです。
事業譲渡によって人材を移転する際には、従業員一人ひとりに同意を得て、雇用契約を結び直す必要があります。
同意を得られなかった場合、譲受企業側に従業員を移転することができません。
一方で、株式譲渡では企業が存続したままになるため、従業員と雇用契約を結び直す必要はありません。
ただし、事業譲渡では従業員を手元に残し、特定の事業のみ承継することができるので、自社の希望に合わせてそれぞれを選択することが大切です。
事業譲渡によってM&Aを行う場合、譲渡企業が抱えている負債を切り離すことができるため、買収に対するリスクを抑えることができます。
反対に、株式譲渡は事業や従業員など全てを包括して承継するため、負債も含めて引き継がなければいけません。
買い手企業側が負債を負うリスクを回避したいと考えている場合は、事業譲渡による承継がおすすめです。
事業譲渡と株式譲渡は、M&Aにおいて使用される機会が多い手法です。
ここからは、事業譲渡・株式譲渡のM&A事例を紹介します。
事業譲渡によるM&A事例を2つ紹介します。
2008年10月、車用品の販売事業を手掛ける株式会社イエローハットは、伊藤忠商事の子会社である株式会社アイ・シー・エスから、自動車用品の小売事業を譲り受けました。
小売事業を譲り受けることで、イエローハットは販売やサービス拠点の拡充をはかりました。
2011年2月、大手住宅メーカーである積水ハウス株式会社は、黒崎播磨株式会社が手掛けている建材事業を譲り受けることを発表しました。
積水ハウスは黒崎播磨が販売している大型陶版外壁「ベルバーン」を購入して使用していましたが、事業譲渡にて取得することによって該当事業の強化を図りました。
株式譲渡によるM&Aの事例を3つ紹介します。
2016年3月、大手精密機器メーカーであるキヤノン株式会社は、東芝の子会社である東芝メディカルシステムズ株式会社の株式を取得し子会社化することを発表しました。
東芝メディカルシステムズ株式会社は、医療機器業界において最先端の技術を所有しています。
子会社化によって、キャノンは経営リソースを共有しヘルスケア事業の基盤強化を図りました。
2012年5月、飲料・食品メーカーの大手持株会社であるアサヒグループホールディングスは、味の素株式会社の子会社であるカルピス株式会社の全株式を取得することを発表しました。
カルピスは90年以上の歴史があり、日本発の乳酸菌飲料として高い知名度を誇っています。
アサヒグループホールディングスはカルピスの全株式を取得することによって、国内飲料事業の基盤の強化及び、経営資源の融合によるシナジー発揮を図りました。
2022年4月、プリンター事業などで大きなシェアを獲得しているリコー株式会社は、富士通の子会社である株式会社PFUが発行する株式の80%を取得しました。
PFUは、業務用スキャナ事業において強固な顧客基盤を有しています。
リコーはPFUの株式取得によって、専門的な領域へのビジネス拡大や、全国規模のサポートによるオフィスサービス事業の拡大を図りました。
事業譲渡と株式譲渡には、それぞれ異なるメリットやデメリットがあります。
どちらもM&Aの手法を選択する際に選ばれることが多く、今後も頻繁に用いられることが予測されます。
事業譲渡と株式譲渡で迷っている場合は、譲渡する事業の範囲や、必要な許認可などに注目して選びましょう。