会社売却後の人生はどうなる?社長・従業員・会社のその後などを解説!

投稿日:2022/09/25

更新日:2022/09/25

近年、事業承継や経営拡大などを目的とした会社の売却事例が増えています。

しかし、会社を売却した後の人生に関して不安に感じている経営者は少なくないでしょう。

この記事では、社長・従業員・会社はどうなるのかを中心に、会社売却後の人生について解説していきます。

会社売却後の人生はどうなる?

まずは、会社を売却した後の社長・従業員・会社はどうなるのかを解説していきます。

社長は引退か事業を継続

会社の売却を実施した後、経営者である社長は引退するケースが多く見られます。

引退する経営者が多い理由は、中小企業が会社売却を行う場合、M&Aによる事業承継を目的としていることが多いためです。

近年では経営者の高齢化が進んでいるにも関わらず、後継者がいないという問題を抱えている企業が増えています。

会社売却は後継者がいない場合の事業承継として有効であるため、売却後に引退する経営者は増えていくことでしょう。

ただし、買い手企業との話し合い次第では、売却後にも役員として一定期間会社に残るケースもあります。

中には、売却によって得た資金を活用し、新たな事業を立ち上げる経営者も存在します。

会社を売却することは、必ずしも引退に繋がるわけでは無いことを把握しておきましょう。

従業員の雇用は継続される

会社を売却した際、社長は引退するケースが多く見られていますが、従業員の雇用は維持されることが一般的です。

雇用が継続されることが理由は、近年人材不足に悩む企業が増えていることが挙げられます。

買収は人材の獲得に有効な手段であることから、それを目的として買収を実施する事例が増えています。

また、経営者が希望する場合には、交渉の条件に従業員の雇用維持を設けることも可能です。

そのような理由から、会社売却によって従業員の雇用が切られるケースは稀といえるでしょう。

注意点として、事業を売却することに対して従業員がネガティブな印象を抱いてしまった場合、自主的に退職を希望することも考えられます。

事業売却の不安を解消するためにも、経営者は従業員が辞めないように、売却をすることで生じるメリットを伝えるといった対策をしましょう。

会社はそのまま残ることが多い

ほとんどの場合、会社売却を実施した後でも対象となる会社は存続します。

基本的に、会社の売却は株式を買い手側企業に譲り渡し、対価として資金を受け取ることで成立します。

上記の方法で会社の売却を行った場合、株式の名義人が変更されるだけなので会社が消滅することはありません。

従業員の雇用はもちろん、取引先や商品といった資産は買い手企業に引き継がれます。

会社売却をするメリット・デメリット

次に、会社を売却した際に生じるメリットとデメリットについて解説していきます。

社長に生じるメリット

まず最初に、会社を売却した際、経営者である社長に生じるメリットを2つ紹介します。

【社長に生じるメリット】

  • 1.後継者がいなくても事業を存続できる
  • 2.廃業費を回避し売却益を獲得できる

1.後継者がいなくても事業を存続できる

近年では経営者の高齢化が進んでおり、事業承継を検討している企業の数が増えています。

しかしながら、従業員や親族に事業を引き継げる相手がいないこともあるでしょう。

事業を引き継ぐ相手がいない場合、業績が好調だったとしても廃業せざる負えないことも考えられます。

周囲に事業を引き継ぐ相手がいなかった際には、第三者に事業を承継することで、企業の存続を図ることが可能です。

自身が経営していた企業を廃業せずに済むことは、事業売却を行う上でのメリットといえるでしょう。

2.廃業費を回避し売却益を獲得できる

自社を廃業する際には、テナントの撤去費用や資材の処分費用などが発生します。

事業によって廃業にかかる費用は異なりますが、中には数百万円かかるケースも存在します。

経営を引退する際にそのような損失が生じることは、経営者にとって痛手といえるでしょう。

廃業にかかる費用を回避したい場合、第三者への事業売却は有効な手段です。

事業を売却した際には、テナントや資材などを買い手企業に引き継ぐことができるため、廃業資金がかかることはありません。

また、事業を売却することによって、経営者は企業の価値に応じた売却資金を得ることが可能です。

売却によって得られた資金を活用すれば、老後の生活に余裕を持つこともできるでしょう。

廃業資金を回避し売却益を獲得できることは、会社売却を行う上での大きなメリットです。

従業員に生じるメリット

従業員側に生じるメリットは、主に以下の2つが挙げられます。

【従業員に生じるメリット】

  • 1.雇用を維持できる
  • 2.事業規模の拡大・福利厚生の充実化を図れる

1.雇用を維持できる

会社を売却することによって事業が存続すれば、従業員の雇用は維持されます。

会社が廃業してしまった場合、従業員は新たな働き口を探す必要があります。

長年勤めていた会社で働けなくなることは、従業員にとって望んでいない事態だといえるでしょう。

会社が存続し仕事を続けられることは、従業員側に生じる大きなメリットの一つです。

2.事業規模の拡大・福利厚生の充実化を図れる

ほとんどの場合、M&Aによって企業を買収すると会社の規模は拡大します。

スキルアップなどの機会が増えることは、従業員に生じるメリットであるといえるでしょう。

また、企業の買収を行う際には、従業員のモチベーションを上げるための対策を講じることがあります。

雇用される上での待遇が良くなることもあるため、福利厚生が充実し給料が増加することもあるでしょう。

会社に生じるメリット

社長や従業員だけではなく、会社売却を実施した際には対象となる企業自体にもメリットが生じます。

会社に生じる主なメリットは、以下の2つが挙げられます。

【会社に生じるメリット】

  • 1.経営の安定化を図れる
  • 2.シナジー発揮による事業拡大を図れる

1.企業が存続し経営の安定化を図れる

会社売却が対象企業に与える一番のメリットは、会社が廃業せずに存続することです。

加えて、買い手企業がM&Aを実施する際は、買収によって利益を拡大できると見込まれた場合に実施されます。

そのため、会社が売却できた時点で経営は安定する可能性は高いといえるでしょう。

また、自社を大手企業に売却した際には、経営基盤が整った企業の傘下として経営を行うことができます。

資本面が安定している可能性も高いため、より充実した環境で自社を成長させることができるでしょう。

2.シナジー発揮による事業拡大を図れる

会社売却を実施することによって、買い手企業とのシナジーが生まれ事業が拡大する可能性があります。

例として、同じ事業を営んでいる企業に売却した場合、対応するエリアが広がるためシェアが拡大する可能性があります。

資材を共同で発注すればスケールメリットが生まれるため、資材の発注コストも抑えられるでしょう。

また、異業種の企業に売却した際でも、ブランドや顧客基盤を共有することで、利益の増加を図ることができます。

買い手企業と売り手企業が有している強みを共有できることは、スムーズな事業拡大を行うために有効な手段といえるでしょう。

会社売却をするデメリット

会社売却を行うことには、上記で紹介したような多くのメリットがあります。

しかし、会社売却を行うことによって生じるデメリットも存在します。

経営者は会社売却を行う上でのメリットとデメリットを比較して、取引を実施する際の参考にしましょう。

ここでは、会社売却を行う上でのデメリットを3つ紹介します。

【会社を売却するデメリット】

  • 1.経営者に喪失感が生じる可能性がある
  • 2.従業員のモチベーションが低下する恐れがある
  • 3.会社が想定通りに成長しない可能性もある

1.経営者に喪失感が生じる可能性がある

会社を売却することによって、経営者は後継者問題から開放される上に、企業の価値に応じた売却益を獲得することができます。

しかしながら、自身が手塩を掛けて育ててきた企業を手放すことに対して、喪失感を抱いてしまう経営者も少なくありません。

会社の売却を行う際には、抱いている喪失感と向き合い、第二の人生を送るための心構えをしておくことが大切です。

経営から開放されたら自身がやりたかったことなどを思い出し、充実した生活を送りましょう。

また、第二の人生を歩むためには、生活をする上での資金が必要になります。

会社を売却した後は継続した収入が無くなるため、貯蓄には余裕を持っておくことも重要です。

2.従業員のモチベーションが低下する恐れがある

会社売却が実施されると、企業文化や社内風土などが少なからず変化します。

目に見えない要素ではありますが、従業員が環境の変化にストレスを感じてしまい、モチベーションが低下することもあるでしょう。

従業員に生じるストレスを低減するためにも、経営者は買い手企業の企業文化などを考慮した上で売却することが大切です。

また、売却後の経営統合がうまくいかなければ、売り手企業と買い手企業の間で軋轢が生じてしまう可能性もあります。

会社売却が成功した後のことも考え、事前に買い手企業の経営者と、どのように経営統合を進めていくかを話し合っておきましょう。

3.会社が想定通りに成長しない可能性もある

会社売却は、取引によって事業の成長が見込まれている場合に実施されます。

しかしながら、ビジネスにおいて想定していたことが必ず実現するとは限りません。

会社売却によって事業の成長を図りたい場合は、想定できるリスクをピックアップして備えておきましょう。

長年経営を行ってきた経営者であれば、他者では気付かないようなリスクにも気付けることがあります。

独自の視点で見つけたリスクを買い手側企業に伝えておけば、買い手企業からの信頼感を高められる上に、対策を講じやすくなるでしょう。

また、会社売却を行う際には、買い手企業が売り手企業に対してデューデリジェンスと呼ばれる内部監査を実施します。

デューデリジェンスによって後からリスクが発覚してしまうと、相手からの信用を失ってしまう上に、最悪の場合取引が破談になるといったことも考えられます。

買収する上でのリスクを把握していた際には、隠さずに相手企業の経営者に伝えることが大切です。

【関連記事】デューデリジェンスとは?目的や種類、流れや費用などを解説

売却益の使い道は何がある?

会社売却が完了した後、経営者は創業者利益として多額の資金を獲得できます。

では、会社売却によって得た資金の使い道にはどのようなものがあるのでしょうか?

ここからは、売却益の使い道を3つ紹介していきます。

【売却益の使い道】

  • 1.老後の生活資金に当てる
  • 2.将来のために貯蓄する
  • 3.新規事業を立ち上げる資金にする

1.老後の生活資金に当てる

中小企業が事業売却を行う際には、高齢化による事業承継を目的として実施されるケースが多く見られます。

ほとんどの場合、事業承継後には経営から引退するため、老後の生活資金に当てる経営者も少なくありません。

年金以外の生活資金があれば、老後の生活にも余裕を持つことができるでしょう。

老後の資金は2000万円必要とされている現代において、多額の資金を得られる会社売却は有効な選択肢と言えます。

2.将来のために貯蓄する

売却利益の使い道が明確に決まっていない場合などは、売却益を使用せずに貯蓄しておくケースも見られます。

若いうちに会社売却を行った経営者は、将来に向けて資金を手元に残しておくことも多いでしょう。

また、近年では定年を迎える前に引退する「アーリーリタイア」や、自由な生活を送りながら必要な分の仕事を行う「セミリタイア」、株式投資などによる収入で生活を行う「FIRE」の実現を目標にしている経営者が増えています。

それらを行うためには多額の資金が必要になるため、会社売却によって目標を実現する経営者も少なくありません。

将来に対して安心感を持てることは、会社売却によって資金を得られる大きな利点です。

3.新規事業を立ち上げる資金にする

充分な収益を生み出せているタイミングで会社売却を行えば、通常よりも高い売却益を獲得することができるでしょう。

会社売却によって得られる多額の資金を活用すれば、新たに新規事業を立ち上げることが可能です。

会社売却を行い新規事業を立ち上げ、再度会社売却を行うといったことを繰り返す経営者は「シリアルアントレプレナー」や「連続起業家」と呼ばれています。

元々、シリアルアントレプレナーは国外に多く存在していましたが、近年は日本でも増えてきており、徐々に認知が広まっています。

自身のアイデアを活用したいという意思が強い経営者や、ビジネスを行うこと自体が好きな経営者が会社売却を行う際に多い選択肢といえるでしょう。

会社売却を実施する方法は?

会社売却を行う際には、スキームと呼ばれるM&Aの手法を使用して取引を行います。

スキームによってそれぞれ異なる特徴があるため、違いについて把握しておきましょう。

ここからは、会社売却の手法として使用されることが多い「株式譲渡」と「事業譲渡」について解説していきます。

【関連記事】M&Aの手法は何がある?特徴やメリット・デメリットも解説!

株式譲渡

株式譲渡

株式譲渡とは、株式の譲渡によって経営権を買い手企業に引き渡し、対価として資金などを受け取るM&Aの手法です。

株式譲渡は株主の名義変更によって会社売却を完了できるため、他のM&A手法と比較すると手続きが容易という特徴があります。

発生する税金が低く会社自体も存続するといった特徴も有していることから、M&A手法の中で最も使用されています。

また、対価は株主である経営者自身が受け取るため、売却益によって達成した目的が有る際には株式譲渡を選択しましょう。

注意点として、株式譲渡は会社を包括して買い手企業に売却するので、売り手企業が抱えている買収リスクも引き継がれてしまいます。

買収することに対してリスクが大きい場合は、買収を希望する企業が現れない可能性があります。

リスクを有している事によって買い手企業が現れない際には、後述する事業譲渡などのM&A手法も検討しましょう。

【関連記事】会社譲渡とは?メリットとデメリット、相場や事例などを解説!

事業譲渡

事業譲渡

事業譲渡とは、会社の一部または全ての事業を切り離し売却することであり、株式譲渡の次に使用されているM&A手法です。

事業譲渡は、自社が複数の事業を営んでいる際に、採算が取れていない事業を切り離して売却することが可能です。

また、特定の事業に人材や資金を集中したいときなどにも使用されています。

事業譲渡では経営権が売り手企業側に残り続けるため、売却後に経営を続けたいと考えているときに有効な方法といえるでしょう。

注意点として、事業譲渡は売却する資産に対して個別に契約を結ぶ必要があるため、手続きが煩雑というデメリットがあります。

従業員や顧客とも個別に契約を結ぶ必要があるので、スケジュールに余裕を持って実施しましょう。

【関連記事】事業譲渡とは?メリット・デメリット、相場や事例などを解説!

会社売却の相場や企業価値の評価方法

会社の売却価格は、企業の将来性や保有している資産の価値などによって決められます。

それらは企業によって大きく異なるため、相場となる価格を一概に決めることができません。

一般的に、中小企業を売却する際の目安となる金額は「時価純資産額に2~5年分の営業利益を足した金額」であるとされています。

自社の売却相場を知りたい場合は、上記の方法で目安の金額を算出してみましょう。

しかし、実際に売却価格を決める際には、さまざまな企業価値の評価方法を組み合わせて求められた金額をもとに、買い手企業と交渉した上で決定します。

企業価値の評価方法は大きく分けると「コストアプローチ」「インカムアプローチ」「マーケットアプローチ」に分類することが可能です。

ここからは、企業価値の評価方法を分類ごとに解説していきます。

【関連記事】M&Aにおける企業価値評価(バリュエーション)とは? 種類やメリットも解説!

インカムアプローチ(将来性)

インカムアプローチとは、企業の将来性やフリーキャッシュフローに注目して企業価値の評価を行う方法です。

フリーキャッシュフローとは、企業が獲得した資金の中から自由に使用できる利益を指します。

M&Aでは企業の将来性が重要視されることが多いことから、企業価値評価の中で最もメジャーな評価方法です。

しかし、インカムアプローチによる評価は将来性という不確定な要素が加味されているため、計算時に主観が含まれてしまうという特徴もあります。

インカムアプローチによる評価方法は、主に以下の3つが挙げられます。

【インカムアプローチの種類】

DCF法(ディスカウントキャッシュフロー方式)フリーキャッシュフローを現在価値に戻して企業価値を求める方法
収益還元法企業が一定のペースで成長していくと仮定して評価を行う方法
配当還元法将来的に予測される株式の配当金をもとに評価する方法

マーケットアプローチ(市場)

マーケットアプローチとは、市場取引による観点から企業価値の評価を行う方法です。

市場での取引事例などをもとに評価を行うため、計算が容易に行えるという特徴があります。

加えて、市場での需要も計算に取り入れることができるといった長所も存在します。

注意点として、市場で公表されている情報を使用することから、風評被害などの影響を受けやすいといった要素はデメリットといえるでしょう。

類似した企業が見つからない可能性もあるため、他の手法も組み合わせて使用されるケースが多く見られます。

マーケットアプローチによる評価方法は、主に以下の3つが挙げられます。

【マーケットアプローチの種類】

類似企業比較法類似した企業の株価をもとに企業評価を行う方法
類似取引比較法類似した企業のM&A事例を参考にして企業評価を行う方法
市場株価法株式市場で公開されている株式価格をもとに企業評価を行う方法
(上場企業のみ使用可能)

コストアプローチ(資産)

コストアプローチとは、貸借対照表に記載されている純資産を基準として企業価値の評価を行う方法です。

コストアプローチによる計算は貸借対照表という明確な基準をもとに算出されるため、客観性が高く周囲から理解が得やすい方法ともいえるでしょう。

また、コストアプローチによる企業価値評価は、中小規模の企業に対して実施されることが多いという特徴があります。

中小企業の企業価値評価を行う場合、将来性に基づくインカムアプローチによって企業価値を求めることは容易ではありません。

同じ規模の上場企業を見つける存在しない可能性があるので、マーケットアプローチによって企業価値を求めることも難しいでしょう。

そのような理由から、中小企業の企業価値評価ではコストアプローチによる評価を使用することがあります。

注意点として、コストアプローチによる算定結果には、M&Aにおいて重要視されている将来性が加味されていません。

状況次第では、インカムアプローチやマーケットアプローチによる企業価値評価の方が適している可能性があることを把握しておきましょう。

コストアプローチによる計算方法は、主に以下の2つが挙げられます。

【コストアプローチの種類】

簿価純資産法帳簿に記載された純資産額をもとに株式の価値を求める方法
時価純資産法時価に直した純資産額をもとに株式の価値を求める方法

会社売却を成功させるポイント

会社売却をすることによって、社長や従業員などにさまざまなメリットが生じます。

では、会社売却を成功させたいと考えている場合は、どのような対策を行えば良いのでしょうか?

ここからは、会社売却を成功させるポイントを5つ紹介していきます。

【会社売却を成功させるポイント】

  • 1.企業価値が高いうちに売却する
  • 2.情報の取り扱いに注意する
  • 3.相手企業の経営者と信頼関係を築く
  • 4.自社の強みを明確にする
  • 5.M&A仲介会社などの専門家にサポートを依頼する

1.企業価値が高いうちに売却する

買い手企業が買収を実施する目的は、企業の獲得による利益の増加です。

充分な利益を生み出せていない状態で買い手企業を探し始めても、買収を希望する企業が現れないかも知れません。

自社を売却する可能性がある場合は、業績が好調なタイミングで売却を検討しましょう。

また、第三者から見ても魅力的な状態で売却することができれば、高値で売却できる可能性も高まると考えられます。

企業価値が高いうちに売却することは、高値での会社売却を成功させるために重要なポイントです。

2.情報の取り扱いに注意する

会社売却を行う際には、情報の取り扱いに注意が必要です。

顧客や従業員の個人情報はもちろん、売り手企業は会社売却を検討しているという内容自体が広まることも防止しなければなりません。

万が一自社を売却することが広まった場合、従業員の不安を煽ってしまいモチベーションが低下する恐れがあります。

取引先などに会社売却をすることが伝わってしまうと、経営が安定していないと捉えられ、最悪の場合取引が打ち切られることも考えられます。

売却を検討していることも含めて、情報の取り扱いには細心の注意を払いましょう。

3.相手企業の経営者と信頼関係を築く

M&Aによる会社売却を進めていく際には、相手企業の経営者とのやり取りが増えていきます。

両者の経営者同士で信頼関係が築けていなければ、交渉を進めるうちにすれ違いが生じることも考えられます。

反対に、信頼関係を構築できていれば、交渉がスムーズに進む可能性が高まるでしょう。

会社売却を実施する際には、信頼関係を築き上げるのと同時に、相手企業の経営者が信頼できる相手化を見極めることが大切です。

3-1.信頼関係を築けるタイミング

信頼関係を築けるタイミングのとして挙げられるのが、経営者同士の初顔合わせの場であるトップ面談と、企業の内部監査であるデューデリジェンスです。

初顔合わせであるトップ面談の際には、売却価格の話などを進めたくなることも考えられます。

しかし、金銭面の話ばかりしてしまうと、相手企業の経営者が不信感を覚えてしまうかもしれません。

M&A仲介会社に依頼した場合、売却価格の交渉は仲介会社が進めてくれるので安心してトップ面談を進めましょう。

デューデリジェンスでは、買い手企業が売り手企業に対して買収リスクが無いかを調査します。

実施する際には売り手企業の協力も必要になりますが、非協力的だった場合は買い手企業側からの印象が悪くなるかもしれません。

書類の提出などを求められた際には速やかに対応し、相手企業からの信頼を獲得しましょう。

4.自社の強みを明確にする

会社売却を行う際には、自社の強みを明確にしておくことが大切です。

買い手企業に自社の強みを充分に伝えることができれば、会社売却を成功させられる可能性が高まるでしょう。

買い手企業からみて魅力的な会社であれば、自身が想定していた金額より高く売却できることもあるかもしれません。

また、強みを見つける際のポイントは、第三者からの視点から見て自社を分析することです。

経営者が当たり前だと思っていた要素も、第三者から見たら買収の検討理由になることがあるかも知れません。

反対に、買い手企業が買収を実施する上で不安となる要素が見つかれば、それを解消することによって自社の魅力を高めることができるでしょう。

自社が所有している技術や資産、社内風土などを見直して、自社に対する理解を高めることが大切です。

5.M&A仲介会社にサポートを依頼する

会社売却を進めていく場合、法務や税務の知識、全体的な進め方など理解しておくべき要素は多岐にわたります。

全ての要素を抑えて、自身のみで漏れなくM&Aを進めていくことは容易ではありません。

会社売却を検討している際には、M&A仲介会社などの専門家にサポートを依頼しましょう。

注意点として、M&A仲介会社によって、依頼にかかる費用や手数料を支払うタイミング、サポートの内容などが異なります。

複数の仲介会社を比較して、自身にあった仲介会社を選ぶことが大切です。


また、ACコンサルティングでは、会社売却の検討からM&Aの成立までを完全成果報酬型でサポートしています。

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会社売却の事例

会社売却に対する知識を深めておくためにも、実際にあったM&Aの事例を確認しておきましょう。

ここからは、近年行われたものを中心に会社売却の事例を紹介していきます。

【会社売却の事例】

  • 1.カカクコムによるPatheeの株式取得
  • 2.ウェルビングループによる綿仁の株式取得
  • 3.ギフティによるpaintoryの株式取得
  • 4.GRCSによるバリュレイトの株式取得
  • 5.ヤマノホールディングスによる東京ガイダンスの株式取得

1.カカクコムによるPatheeの株式取得

2022年9月、価格.comや食べログなどのサービスを展開している株式会社カカクコムは、株式会社 Patheeの株式を取得し子会社化することを発表しました。

Patheeは、実店舗に関する情報サイトの運営や、小売店向け販促サービス事業を展開している企業です。

カカクコムは自社が有するメディアのノウハウを活用し、Patheeのさらなる成長を図りました。

該当企業の取得価額は5億2280万円です。

2.ウェルビングループによる綿仁の株式取得

2022年9月、自動車販売・整備事業などを手掛けているウェルビングループ株式会社は、綿仁株式会社の株式を取得し子会社化することを発表しました。

綿仁は、ガソリンスタンドの運営を中心に、車両販売事業などを行っている会社です。

ウェルビングループは綿仁を自社に迎え入れることによって、車両販売や整備のノウハウなどを共有し、シナジーの発揮を図りました。

該当企業の取得価額は2億1140万円です。

3.ギフティによるpaintoryの株式取得

2022年9月、eギフトのプラットフォーム事業などを手掛けている株式会社ギフティは、株式会社paintoryの株式を取得し子会社化することを発表しました。

paintoryはカスタムアパレルの制作や販売プラットフォーム事業を営んでいる会社です。

ギフティはpaintoryを子会社化することによって、カスタムアパレルをギフトコンテンツに加え、eギフトプラットフォームと連携することで企業価値の向上を図りました。

該当企業の取得価額は600万円です。

4.GRCSによるバリュレイトの株式取得

2022年7月、セキュリティ関連のソリューション事業を手掛けている株式会社GRCSは、株式会社バリュレイトの株式を取得し子会社化することを発表しました。

バリュレイトは人材採用強化支援事業などを運営しており、GRCSのパートナー企業として取引実績がある企業です。

GRCSはバリュレイトの人材をリスキリングし専門人材として育成し、同社が持つノウハウを活用してシナジーの発揮を図りました。

該当企業の取得価額は8710万円です。

5.ヤマノホールディングスによる東京ガイダンスの株式取得

2022年4月、美容事業や和装宝飾事業などを展開している株式会社ヤマノホールディングスは、東京ガイダンス株式会社の株式を取得し子会社化することを発表しました。

東京ガイダンスは、スクールIEのFC加盟店事業を手掛けており、東京都・神奈川店で16店舗を運営しています。

ヤマノホールディングスは以前にもスクールIEのFC加盟店事業を手掛けている企業を買収しており、新規分野の開拓を目的として子会社化を実施しました。

該当企業の取得価額は3億4300万円です。

まとめ

会社売却は、経営者である社長や、その企業で働く従業員にさまざまな影響を与えます。

会社売却後に想定される人生やメリット・デメリットなどを把握して、会社売却に踏み切るのかを検討しましょう。

また、会社売却について悩んでいる場合は、M&A仲介会社などの専門家に相談してみることも一つの方法です。

わからないことなどがあれば、ACコンサルティングへお気軽にお問い合わせください。

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