投稿日:2022/08/25
更新日:2022/09/26
派遣会社を売却した場合、企業の価値に応じた営業利益を獲得することが可能です。
近年では、自社を売却することによってアーリーリタイアを図る経営者が増えてきており、今後も取引事例が増加することが予測できます。
では、派遣会社を売却する際には、具体的にどのような流れで進めていけば良いのでしょうか?
この記事では、派遣会社を売却するメリット・流れ・売却価格の相場・取引の事例などを紹介します。
目次
派遣会社とは、労働者を他の会社に派遣する業務を行っている企業を指しており、「人材派遣会社」とも呼ばれています。
労働者を企業に紹介するという要素から、景気の変動によって売上が左右されやすいという特徴があります。
近年では人材不足に悩む企業が増えているため、派遣会社の買収を希望する企業も少なくないでしょう。
また、人材派遣業務を行うためには、厚生労働大臣から許認可を得る必要があります。
自社の売却方法によっては許認可を買い手へ引き継ぐこともできるため、派遣会社の売却事例は増えていくことが予測できます。
人材派遣業界は、労働者の獲得を希望する企業が増えていることから、需要が増加している傾向があります。
また、外国人労働者の雇用制限の緩和によって、同業種を営んでいる企業との競争が激化することが予測できます。
ここからは、派遣会社の現状について解説していきます。
派遣会社の市場傾向は、有効求人倍率と連動していると考えられます。
有効求人倍率とは、ハローワークに申込みがあった求人数を、求職者の数で割った値です。
有効求人倍率の値が1倍を上回っている際は「求職を希望している人よりも、労働者を求めている企業数の方が多い」ということを表しています。
つまり、2014年以降は、人材が不足している企業が多い売り手市場であるといえるでしょう。
また、2018年にはアベノミクスの影響により景気が回復したことから、有効求人倍率は1.62倍を記録しました。
2020年には新型コロナウイルスの影響によって1.1倍まで減少しましたが、売り手市場は継続しています。
2022年6月時点での有効求人倍率は1.27倍となっており、市場は徐々に回復している傾向があります。
市場における派遣会社の需要は、今後も高まっていくでしょう。
近年では、日本国内で働く外国人労働者の数が増加している傾向があります。
これは、労働者数の減少に対応するために、外国人労働者の受け入れ制限が緩和されていることが理由であると考えられます。
労働人口の増加は、企業と従業員をつなぐ派遣業界にとって、市場を拡大する後押しになることでしょう。
しかし、市場の拡大によって従業員の数を増やす必要があるため、競合企業との競争は激化することが予測できます。
人材派遣会社は、外国人労働者の獲得及び、雇用体制の強化がカギになるでしょう。
派遣会社を売却することには、主に以下のメリットがあります。
近年、経営者の高齢化および中小企業の承継者不足が問題視されています。
経営が安定していても、会社を継ぐ人物がいなければ廃業せざるおえないこともあるでしょう。
承継者がいない場合は、自社を第三者に承継することで会社を存続させることが可能です。
自社の売却は廃業と比較すると多くのメリットがあるため、後継者がいない場合は是非一度検討しましょう。
自社内で複数の事業を営んでいた場合は、特定の事業のみを売却することが可能です。
一部の事業が採算を取れていない際には、その事業を売却することで、収益が出ている事業に人材や時間を集中することができます。
事業売却をして獲得した資金を回せば、業績の向上も図れるでしょう。
また、複数の地域で人材派遣業務を行っていた際、特定の地域だけ利益が出ていなければ、そのエリアの人材派遣業のみを売却することもできます。
複数の事業を営んでいる場合や、さまざまなエリアで事業を営んでいる際には、採算不良な事業の売却を検討してもよいでしょう。
中小規模の企業の場合、資金不足を解消するために個人保証によって融資を受けていることがあります。
経営が傾くと経営者自身の生活に影響を及ぼす可能性が高まるため、精神的な負担になっているケースも少なくありません。
また、自身が長年営んでいた事業を成長させることに対して、プレッシャーを感じている経営者も存在するでしょう。
そのような精神的負担を抱えている場合は、自社を売却することで不安を解消することができます。
ただし、個人保証を解消するためには、買い手側に保証を引き継いでもらう必要があります。
売却をすることで自動的に引き継がれるわけでは無いので、交渉時にあらかじめ相談しておきましょう。
経営不振や承継者不足などによって経営が難しくなった場合、廃業を検討することもあるでしょう。
廃業をしてしまうと、従業員は新たな雇用先を探す必要があります。
長年ともに企業を支えてきた従業員が路頭に迷うことは、経営者として避けたいでしょう。
廃業を回避したい場合には、自社を第三者に売却することで従業員の雇用を維持することが可能です。
また、大手の企業に自社を売却すれば、従業員の雇用条件や賃金が良くなることもあるでしょう。
近年では、事業承継を目的とした事業売却を行うケースも増えています。
自社を運営している際に、経営に対して不安を抱えている経営者も少なくないでしょう。
経営に不安がある場合は、大手企業に自社を売却し、傘下に加わることで経営の安定化を図ることができます。
本来であれば、事業を安定して行うためには多大な時間を要します。
自社の成長に掛ける時間を抑えられることは、買い手・売り手に共通した大きなメリットです。
大手企業が有するノウハウや資金力があれば、経営も安定して行うことができるでしょう。
自社を売却した際には、企業の価値に応じた売却利益を獲得することができます。
経営がうまくいかず廃業した場合には、テナントの撤去や在庫処分の費用がかかるため、それらを回避し資金を獲得できることは事業売却の大きな利点です。
売却して獲得した利益を活用すれば、新たな事業を始めることもできるでしょう。
また、株式譲渡などによって売却した場合、対価は株主である経営者に与えられます。
企業の売却価格は大きな値になることが多いため、経営者はその資金を元手にアーリーリタイアを図ることも可能です。
近年では、会社を売却する前提で経営を行う経営者も増えています。
派遣会社の売却価格は、「企業価値評価」による算定結果によって決定します。
企業価値評価とは、企業が所有している資産や、将来見込まれる営業利益などから会社の価値を算出する手法です。
資産や営業利益は企業によって大きくことなるため、相場となる値を求めることは困難であると言えるでしょう。
ただし、自社の売却価格の目安であれば、時価純資産に2~5年分の営業利益を足すことで求めることが可能です。
例として、時価純資産が3000万円で営業利益の平均が1000万円の企業の場合、5000万~8000万円が売却価格の目安です。
また、自社と類似した企業の取引事例を参考にして、目安となる金額を算定することもできます。
より具体的な売却価格を知りたい場合は、仲介会社などの専門家に算定を依頼しましょう。
【関連記事】M&Aにおける企業価値評価(バリュエーション)とは? 種類やメリットも解説!
派遣会社を売却を検討している場合は、可能な限り高く売りたいと考えることは当然のことであると言えるでしょう。
では、自社を高く売却するための方法には、具体的にどのようなものが挙げられるのでしょうか?
ここからは、派遣会社を高値で売却する方法について、個別に解説していきます。
【派遣会社を高値で売却する方法】
企業の売却価格を算定する際には、対象会社の将来性なども加味されます。
派遣会社全体の需要が低い時期に売却してしまうと、相場よりも安い価格で買い叩かれる恐れがあります。
反対に、法改正などによって派遣会社が収益を上げることが予測されている場合、相場よりも高い価格で買収を希望する企業も現れるでしょう。
派遣会社の売却を検討している場合は、市場の動きなどを把握しておくことが大切です。
注意点として、事業を売却するためには1年以上の時間を要するケースもあります。
市場価値が高くなってから動くのではなく、あらかじめ準備を進めておくとよいでしょう。
派遣会社に限らず、近年では人材不足という課題を抱えている企業が増えています。
人材不足を解消するためには企業の買収が有効であるため、それを目的としている買い手企業も多く見られます。
会社を売却する際には、環境が悪化することを恐れて離職する従業員も少なくありません。
売却によって従業員が離職するリスクが高い場合、買収価格が低く見積もられることも考えられます。
派遣会社を売却する際には、従業員の離職を防ぐような取り組みを行いましょう。
例として、自社を相手企業に売却することによるメリットを明確に提示できれば、離職を検討する従業員を減らすこともできます。
また、買い手企業側も、当然ながら従業員の離職は防ぎたいと考えているでしょう。
交渉の際、従業員の雇用について話し合うことで、離職を防ぐ取り組みを共同で進めることも可能です。
派遣会社の売却を検討している際は、競合他社と比較して、自社にはどのような強みがあるのかを把握しておくことが大切です。
他社には無い強みがあれば、相場よりも高く売却できる可能性が高まるでしょう。
買い手企業に対しての明確なアピールポイントにもなるため、買収を希望する企業が現れる確率も高まることが予測できます。
加えて、自社を相手企業が買収することで得られるシナジーも分析すれば、自社をより魅力的に見せることもできるでしょう。
企業価値の算定を行う際は、将来見込まれる営業利益が基準に含まれることもあります。
自社が抱えている顧客や取引先のデータを分析して、将来的にも利益を挙げられることを証明できれば、売却価格の向上を図れるでしょう。
また、営業利益以外には、時価純資産も企業価値評価を行う際の基準になることが多くあります。
時価純資産を効率的に増やしたい場合は、負債の解消が有効です。
自社の帳簿などを見返して、不要な資産や利益が出ていない事業がないかなどを把握し、解消するように動いて行きましょう。
自社の売却を行う際には、相手企業の選定や交渉など、やらなければいけないことは多岐にわたります。
それらを個人で進めることは容易ではないため、専門家にサポートを依頼して進めましょう。
多くの企業とのネットワークを有している仲介会社などであれば、より高値で買収を希望する企業が見つけられるかも知れません。
企業価値の評価も正しく行うことができるので、相場より安く売却してしまうリスクも低減できます。
また、個人で交渉や書類作成などを行うためには、膨大な時間や売却に関する専門知識を要します。
事業売却に関する多くのことを依頼できるのも、仲介会社に依頼するメリットの一つです。
派遣会社の売却は、主に以下の流れで進めていきます。
【関連記事】M&Aの流れ・フローを解説!スケジュールや確認事項は?
事業を売却する際は、売却によってどのような目的を達成したいのかを明確にしておくことが重要です。
目的が不明確だった場合、買い手企業に求める条件を決めることができません。
交渉時に妥協してしまうことも増えるため、売却による恩恵を得ることが難しくなるでしょう。
例として、事業承継を目的としている場合は、相手企業の経営者が信頼できるかを認識することが重要です。
売却利益の獲得が目的であるならば、売却額の下限を設けておくことで、大きな損失を生むリスクを回避することが可能です。
ただし、目的を達成したいからといって、交渉時に一切譲歩しないといったことは避けましょう。
譲れる条件と譲れない条件を明確にして、適切な交渉を行うことも大切です。
事業売却を行うための手続きは多岐に渡るため、経営者のみで進めていくことは困難です。
漏れがいないように売却手続きを進めていきたい場合は、M&A仲介会社などの専門家にサポートを依頼しましょう。
また、M&A仲介会社では、自社の売却に関する全般的なサポートに対応しています。
買収を希望する企業とのネットワークも有しているため、自身が求める条件を伝え、希望に近い企業を紹介してもらいましょう。
買収を希望する企業が見つかった後には、買い手企業と秘密保持契約を結びましょう。
秘密保持契約とは、個人情報や企業情報などの秘密事項に関して、第三者への漏洩を禁ずるために結ぶ契約です。
事業売却を行う際には、買い手企業にさまざまな情報を提出する必要があります。
万が一情報が漏洩した場合に備えて、秘密保持契約は必ず結びましょう。
秘密保持契約を結ぶことは、情報漏洩を抑止する要素にもなります。
また、売却を希望しているという情報自体も、売り手側によっては漏洩を避ける必要があります。
自社を売却することが従業員に広まれば、モチベーションが低下して離職を招くことも有るでしょう。
取引先などに伝われば、業績が良くないのではと不審に思われて、提携を打ち切られる恐れもあります。
事業売却を行うという情報も含めて、情報の取り扱いには細心の注意を払いましょう。
【関連記事】M&Aの秘密保持契約(NDA)とは?目的や記載項目などを解説
秘密保持契約を締結した後は、買い手企業に情報を開示します。
両企業とも取引を進める意思を持っている場合は、トップ面談に進みましょう。
トップ面談とは、両企業の経営者が顔を合わせて、企業の買収・売却について話し合うことです。
企業の買収・売却というものは、会社のその後を決める大事な分岐点です。
相手企業について不明な部分などがあった際には、トップ面談時に質問をして解消しましょう。
また、買い手企業と交渉する際には、売却価格など金銭的な話は最低限に留めておくことも大切です。
金銭的な話のみを行ってしまうと、相手からの心象を損ねてしまう恐れがあります。
仲介会社などに依頼した場合、売却価格の交渉はアドバイザーが行うため、相手との信頼関係を構築することに注力しましょう。
トップ面談を行った上で、両企業が取り引きを進めていくことが決定した場合は、基本合意書の締結に進みましょう。
基本合意契約書とは、企業の売却・買収に関して両社が同意したことを示すために作成する書類です。
基本合意書の内容には、取引中に他社との交渉を禁ずる旨や、後述するデューデリジェンスに関する事項などが記載されています。
注意点として、基本合意書に記載されている内容には、一部を除いて法的な拘束力がありません。
基本合意書に書かれている買収価格や、スキームと呼ばれる取引の手法などは、最終契約を締結するタイミングで確定します。
基本合意書の締結が完了した後は、買い手企業によってデューデリジェンスが実施されます。
デューデリジェンスとは企業の内部監査のことであり、簿外債務や訴訟リスクの有無などを確認します。
デューデリジェンスを実施する理由は、売り手企業を買収することに対してリスクがないかを確認するためです。
万が一、売り手企業が多額の負債などを抱えていた場合、負債は買い手企業に引き継がれてしまうため、想定外の不利益が生じてしまいます。
そのようなリスクを回避するためにも、デューデリジェンスは実施する必要があります。
また、買い手側はデューデリジェンスを実施する際には、売り手企業側も可能な限り協力しましょう。
デューデリジェンスの実施に非協力的だった場合、買い手企業との信頼関係に悪影響を及ぼす恐れがあります。
売り手企業から資料の提出などを依頼されて際には、素早く対応して信頼関係を構築していきましょう。
【関連記事】デューデリジェンスとは?目的や種類、流れや費用などを解説
デューデリジェンスが完了した後は、買い手企業との最終交渉に進みます。
デューデリジェンスによって買収リスクが見つからなかった場合は、基本合意書で同意した内容をベースに交渉を進めていきます。
取引後の従業員の待遇などを話し合い、最終契約の締結に進みます。
また、デューデリジェンスの実施によって致命的な買収リスクが発覚した場合は、取引が中止になる恐れが有るため注意しましょう。
買収するリスクを抱えていた際には、デューデリジェンスを実施する前にあらかじめ伝えておくことが大切です。
買収するリスクが小規模だった場合、負債を除外して売却を行うか、売却価格を調整して再度交渉することが一般的です。
交渉によって定めた最終条件に両企業が同意したら、最終契約書の締結に進みます。
最終契約書には、基本合意契約書と異なり法的な拘束力があります。
最終合意契約書の内容は、きちんと検討した上で定めましょう。
最終契約書の内容には、取引価格やスキーム、後述するクロージングの条件などを記載します。
最終契約書の締結が完了した後は、クロージング作業に移ります。
クロージングとは、経営権の移転や譲渡対価の支払いなどを、最終契約書の内容に基づいて進めていく作業です。
基本的に、クロージングを行う際には前提条件を設けて、それを達成することで完了という形で行います。
クロージングの前提条件には「クロージング日までに全ての手続が実行されること」「制約事項の内容が全て履行されること」といった内容を設けます。
また、クロージングで実施する手続きは、取引の手法によって異なるため注意が必要です。
自身の取引内容に合わせて、適切なクロージングを進めていきましょう。
【関連記事】M&Aのクロージングとは 手続きや流れ、必要書類などを解説!
クロージングが完了した時点で、事業売却に対する手続きは完了しています。
しかし、統合した後の企業は経営基盤などが不安定であるため、それらをすり合わせていく必要があります。
経営基盤を安定させるためにも、クロージング後には経営の統合作業を進めましょう。
企業の経営統合プロセスは「PMI」と呼ばれており、取引によるシナジーを生み出すためには必要不可欠な工程です。
PMIで統合する内容は、主に「経営体制」「業務システム」「組織編成」「社内文化」などが挙げられます。
統合作業を適切に進めて、買収・売却の効果を早期に発揮していきましょう。
【関連記事】PMI(経営統合作業)とは?プロセスや成功・失敗事例などを解説!
派遣会社を売却する際には、以下のポイントに注意しておきましょう。
【派遣会社を売却するときの注意点】
派遣会社を運営するためには、厚生労働省から派遣事業の許可を得る必要があります。
株式譲渡という手法を選択した場合には、企業全体を包括して承継するため、取引後に許認可を再取得する必要はありません。
ただし、事業の一部を譲渡する「事業譲渡」を選択した際には、買い手企業側が許認可を再度取得する必要があります。
買い手側が同事業を行っているのであれば、許認可を再取得する必要はありませんが、別事業を営んでいる場合には株式譲渡などを選択しましょう。
事業譲渡によって人材派遣業を売却した場合は、競業避止義務の責任を負うため注意が必要です。
競業避止義務とは、経営を行うことに対して、企業に不利益が生じることを回避するために設けられた義務です。
競業避止義務が無かった場合は、売り手企業は人材派遣業を再度行うことができるため、買収した企業の利益が低下する恐れがあるでしょう。
そのような不利益を生じさせないためにも、競業避止義務は存在しています。
具体的には、同一の市区町村や隣接地域にて、20年間同じ事業を始めることができなくなります。
ただし、買い手企業との交渉次第では、そのような規制を緩和することが可能です。
人材派遣業を再度行う可能性がある場合は、期間やエリアの縮小をできないかを交渉しましょう。
派遣会社を行う際には、さまざまな人材の個人情報を所有することになるでしょう。
事業譲渡によって自社を売却する際には、個人情報の取り扱いには注意が必要です。
人材との契約時「事業譲渡などによる個人情報の引き渡しに関する事項」を契約書に盛り込んでいれば、売却時に従業員情報を引き渡しても問題はありません。
ただし、そのような事項を設けていない場合は、買い手企業に情報を渡すことができないため注意が必要です。
派遣会社の売却事例を確認して、売却に関する理解をより深めて行きましょう。
ここからは、派遣会社の売却事例を5つ紹介していきます。
【派遣会社の売却事例】
2017年、株式会社ウィルグループの子会社である株式会社エフエージェイは、株式会社リトルシーズサービスの全株式を取得し、子会社化することを発表しました。
ウィルグループは、人材派遣業を中心にさまざまな事業を手掛けている持株会社です。
リトルシーズサービスは地域密着型の人材派遣業を営んでおり、買収によって事業成長の加速を図りました。
該当企業の取得価額は5億7700万円です。
2022年、株式会社アピアッツは、IT人材派遣業を行っている株式会社Y’sの株式を取得し、完全子会社化することを発表しました。
アピアッツは、WEBソリューション事業などを手掛けている企業です。
アピアッツはY’sを子会社化することによって人材育成などのノウハウを獲得し、中期的な企業価値の向上を図りました。
該当企業の取得価額は3億7590万円です。
2022年、株式会社ピアズは、通信キャリア業界の人材派遣を得意とする株式会社ウィルの株式を取得し子会社化することを発表しました。
ピアズは、セールスプロモーション事業を中心にさまざまな事業を営んでいる企業です。
ピアズは株式取得によってウィルが持つ採用力を活用し、人員の確保などを図りました。
該当企業の取得価額は11億9200万円です。
2021年、UTグループ株式会社は、事務系派遣やエンジニア派遣業務を手掛けている株式会社富士通エフサス・クリエの株式を取得し子会社化することを発表しました。
UTグループ株式会社は、コロナ禍による成長戦略として大手製造業向け人材派遣の拡大などを図りました。
富士通エフサス・クリエの株式を取得することで両企業の強みを活かし、課題の解決を目指しています。
該当企業の取得価額は1億9000万円です。
2021年、情報ソリューション事業や人材サービス事業などを手掛けている廣済堂は、株式会社エヌティと株式会社Neoの全株式を取得し子会社化することを発表しました。
エヌティとNeoは、物流業界の人材派遣業を営んでいる企業です。
廣済堂は人材派遣業の需要が高まると予測し、株式取得によって事業領域の拡大を図りました。
該当企業の取得価額は合計で4億1900万円です。
派遣会社の需要は、人材不足による影響で高まり続けています。
2014年以降、有効求人倍率は1倍を上回り続けており、売り手市場は長期間継続していくことでしょう。
2020年には、新型コロナウイルスの影響によって有効求人倍率が大きく減少しましたが、現時点では徐々に回復し続けています。
派遣会社の買収を希望する企業は、今後とも増え続けることが予測できます。