投稿日:2022/08/19
更新日:2022/08/19
近年、中小企業を中心に、事業承継などを目的としたM&Aが増え続けています。
しかし、M&Aを実施する際の流れについて、どのようなものかを把握している経営者は多くないでしょう。
この記事では、企業の買収・売却を検討している方に向けて、M&Aの流れについて解説していきます。
目次
M&Aは、主に以下の流れで進めていきます。
売り手企業・買い手企業で異なる点がある際には、個別で解説を交えていきます。
また、M&Aの手法によってはスキップできる項目や追加で行う項目があるがあるため、実際に行う際には専門家に相談するとよいでしょう。
ここからは、M&Aを進めていく方法について個別に解説していきます。
まずは、M&Aを行うことによって何を実現したいのかを明確にしておく必要があります。
目的が不明確な状態だと、自分が何を行えば良いのかなどがわからなくなるため、スムーズにM&Aを進めることができません。
M&Aが思ったように進んでいない場合、焦って相手企業を選んでしまえば、目的を達成できずに終わってしまう恐れがあります。
獲得したいものなどが明確でなければ、交渉時に妥協してしまうことが増えてしまい、充分な恩恵を得られなくなることも考えられます。
交渉する際に一定ラインまで妥協することは大切ですが、自身が譲れないポイントなども考えておくと良いでしょう。
売り手企業側がM&Aを行う目的は、「事業承継」「事業の発展」「事業の集中」「創業者利益の獲得」などが挙げられます。
事業承継を目的としている場合は、譲渡相手が信頼できるかなどがポイントになるでしょう。
売却後の雇用体系についても考えておくことで、譲渡後にも従業員が離職するリスクを抑えられます。
事業の発展を考えている場合は、相手企業の規模が大きいほど恩恵を受けやすくなります。
事業を集中するために特定の事業を売却する際は、売却後に同事業を一定年数行うことができなくなるため、その事業を売却していいのかを充分に検討しなくてはいけません。
自身の目的を達成するためには、何が必要なのかを考えておきましょう。
また、自社の強みや弱み、アピールポイントなども考えておくことも大切です。
買い手企業との交渉をする際には、それらを把握しておくことで適切なアピールをすることができます。
営業利益や財務状況、自社が持っている技術などを洗い出し、自社の分析も進めていきましょう。
買い手企業がM&Aを行う目的は、新規事業への参入や、既存事業の利益拡大などが挙げられます。
M&Aによって自社が行っていない事業を買収することで、短時間で新規事業を行うことが可能です。
同業種の事業を行っている企業を買収すれば、対応エリアの拡大やノウハウを持つ従業員を獲得できるため、利益の増加を図ることができるでしょう。
それらの目的に合わせて、自身が望むメリットを得るにはどのような手段を取れば良いのかを考えることが重要です。
例として、とある事業を買収したいが、その事業を買収するためには許認可を取得する必要があるとしましょう。
買収後すぐにその事業を始めたいと考えていても、M&Aの手法によっては許認可を承継できないため、運営をするためには時間を要します。
許認可が必要な事業をすぐに始めたい場合は、会社を包括して承継できる株式譲渡などの手法を選択するとよいでしょう。
自身が買収する対象に合わせて、適切な戦略を検討しておくことも大切です。
【関連記事】会社譲渡とは?メリットとデメリット、相場や事例などを解説!
M&Aを行う際には、税務や財務、法務の知識が求められる場面が多数存在します。
適切な企業価値の評価や、相手企業との交渉なども行わなければいけないため、個人でM&Aを進めていくことは容易ではありません。
M&Aを漏れなくスムーズに進めていきたい場合は、仲介会社などの専門家に依頼することをおすすめします。
M&A仲介会社に依頼する際は、以下の契約を締結します。
M&A仲介会社に依頼する際は、「秘密保持契約」と「アドバイザリー契約」を締結します。
秘密保持契約とは、秘密情報などを第三者へ漏洩させることを禁ずるために結ぶ契約です。
情報の漏洩を防止するためにも、必ず秘密保持契約を締結しましょう。
アドバイザリー契約とは、仲介会社などの専門家に、相手企業の紹介やアドバイスを依頼するために結ぶ契約です。
仲介会社によって、アドバイザリー契約を結んだ後に支払う手数料の体系が異なります。
仲介会社に依頼する際には、手数料の金額や支払いが発生するタイミングなども確認しておきましょう。
【関連記事】M&A仲介について解説!FAとの違い、サービス内容やメリットは?
仲介会社と契約を結んだ後には、M&Aを行う相手企業を見つける必要があります。
ここで実施する内容は売り手企業と買い手企業で異なるため、個別に解説していきます。
売り手企業側は、買い手企業を探すためにも「ノンネームシート」の作成を仲介会社に依頼しましょう。
ノンネームシートとは、企業名が特定されない範囲の情報が記載されている書類です。
具体的には、業種や地域、従業員数や売上などが記載されています。
買い手企業は、ノンネームシートの情報を元に買収する企業を見つけます。
注意点として、ノンネームシートの内容は、具体的に記載すると自社が特定されるリスクが増えるでしょう。
しかし、情報が少なすぎた場合、自社を充分にアピールすることができなくなるため、相手企業が現れないことも考えられます。
ここで開示する情報の範囲は、サポートを依頼する相手によって差が生じます。
ノンネームシートの作成を依頼する際には、どこまでの情報を開示するのかをしっかりと話し合っておくことが大切です。
買い手企業は、仲介会社から提供されるノンネームシートを確認して、買収候補の企業を選定します。
企業を選定する際には、買収することによって自身が想定していた利益を得られるかを分析することが大切です。
例として、事業の対応エリアを増やしたい場合は、買い手企業側が開拓していない地域で同業種の企業を探してもらい、利益の増加を見込めるかを分析しましょう。
買い手企業側が興味を持った企業を見つけた場合、情報の開示を打診しましょう。
売り手企業側が同意した際には、秘密保持契約を締結して情報の開示を行います。
秘密保持契約の範囲を決める際は、定義を広く定めて一部例外を設ける方法が一般的です。
また、秘密保持契約で締結した内容が漏洩した場合は、買い手企業よりも売り手企業側に生じる不利益の方が多いといえるでしょう。
売り手企業側にとっては、M&Aを行うという情報自体が流出することも避けなければいけません。
自社を売却することが従業員に漏れた場合は、モチベーションの低下を招く可能性もあります。
取引先に伝わってしまうと、経営状況が悪いのではと推測されてしまい、提携を打ち切られることも考えられます。
M&Aに関する情報の漏洩を防止するためにも、秘密保持契約は必ず締結するべきといえるでしょう。
【関連記事】M&Aの秘密保持契約(NDA)とは?目的や記載項目などを解説
売り手企業から情報を開示されたあとは、企業価値評価を行い、どのM&A手法を選択するかを考えましょう。
企業価値評価とは、対象となる会社の時価資産や負債、将来性などから企業の価値を評価することです。
企業価値評価の方法は複数あり、それぞれ算出に使用する値が異なります。
さまざまな方法によって求められた企業価値評価の結果を組み合わせて、目安となる買収価格を算出しましょう。
また、この段階で確認できる情報では、算出に必要な情報を全て把握することはできません。
そのため、買収価格の上限と下限を決定した上で、交渉を進めるべきか検討することが一般的です。
【関連記事】M&Aにおける企業価値評価(バリュエーション)とは? 種類やメリットも解説!
M&Aの手法によって、それぞれ異なるメリットやデメリットが存在します。
最終的に選択する手法は後述するデューデリジェンスを実施した後に決定しますが、この時点で手法を絞り込んでおくことが一般的です。
売り手企業を包括して承継するべきなのか、特定の事業のみの買収を行うべきなのかなど、分析した結果を元に考えておきましょう。
【関連記事】M&Aの手法は何がある?特徴やメリット・デメリットも解説!
両企業がM&Aを進める意思を持った場合は、トップ面談に進みます。
トップ面談とは、両企業の経営者が顔を合わせて、M&Aについて話し合う面談です。
両企業の経営者同士で話し合い、お互いのM&Aに関する意思を確認します。
また、トップ面談を行う際は、売却価格など金銭的な話をしたくなることもあるでしょう。
注意点として、売却価格・買収価格を決定するために金銭的な話ばかりを行ってしまうと、相手企業からの心象を悪くする恐れがあります。
M&Aを進めていくために重要なことは、両企業の信頼関係です。
相手との信頼関係が構築できていなかった場合は、すれ違いが生じてしまいM&Aが破談になることもあるでしょう。
M&A成立した場合でも、統合作業がうまく進まずに想定していたシナジーを発揮できないかもしれません。
トップ面談で顔を合わせる際は、相手との信頼関係を構築し、M&Aを進めやすくすることが大切です。
加えて、相手企業の経営者が信頼できる相手であるかも見極めましょう。
トップ面談を踏まえて、両企業ともM&Aを進めていく意思を持った場合は、基本合意書の締結を行います。
基本合意書とは、スキームや譲渡価格、今後のスケジュールなどに対して同意していることを示す書類です。
注意点として、基本合意書に記載されている内容は、一部を除いて法的な拘束力がありません。
基本合意書は、現時点で同意している項目の確認やスケジュールの明確化、M&Aを進めていく意思表明などを目的として締結します。
そのため、基本合意書で締結した内容は、後述するデューデリジェンスの結果によって変更になることもあります。
基本合意書を締結した後は、買い手企業が売り手企業に対してデューデリジェンスを実施します。
デューデリジェンスとは企業の内部監査のことであり、買収することに対してリスクが無いかなどを確認する作業です。
M&Aを行う際は、売り手企業から自社に対する情報を提供してもらいますが、口頭の内容だけでは把握できないことも多いでしょう。
簿外債務など、売り手企業が把握できていない負債が存在することも考えられます。
内部状況を把握できていない企業を買収することは、買い手企業にとって想定外の損害を生む危険性があります。
M&Aを行う際には、デューデリジェンスによって買収リスクの有無を把握しておきましょう。
また、売り手企業側が負債を抱えていることを把握していた場合は、事前に買い手企業に伝えて置く必要があります。
デューデリジェンスによって負債の有無は把握できますが、実施した事によって買い手企業に伝わった場合は、信頼関係に悪影響を及ぼします。
負債があることを伝えて譲渡価格などを調整すれば、信頼関係に傷をつけずにM&Aを進めることができるでしょう。
【関連記事】デューデリジェンスとは?目的や種類、流れや費用などを解説
デューデリジェンスで実施する項目は、業種などによって異なります。
実施する項目が多いほど費用の負担も増えるため、状況に合わせて適切な調査を行いましょう。
また、デューデリジェンスの実施にかかる費用は、買い手企業が負担することが一般的です。
基本的なデューデリジェンスの項目は、主に以下の6つが挙げられます。
デューデリジェンスの項目 | 内容 |
ビジネスデューデリジェンス | 対象となる企業の経営状況に関する調査。 買収することによって利益を得られるかを分析する。 |
財務デューデリジェンス | 財政状態・簿外債務など財務に関する調査。 調査結果を踏まえて、将来的なキャッシュフローなどを分析する。 |
税務デューデリジェンス | 税務申告書や納税状況など、税務関係に対して実施する調査。 追尾課税などのリスクがないかを把握できる。 |
人事デューデリジェンス | 人事制度や人件費などを対象にして行う調査。 人材が離職するリスクがないかなどを把握するために実施する。 |
法務デューデリジェンス | 訴訟のリスクを抱えていないかなどを把握するための調査。 許認可の確認も法務デューデリジェンスで行う。 |
ITデューデリジェンス | 事業を行う上で使用するシステムに関する調査。 システムを統合する場合、調査によって工数などを事前に把握する。 |
買い手企業によるデューデリジェンスが完了したら、最終条件の交渉に進みましょう。
デューデリジェンスによって特に問題点が見つからなかった場合は、基本合意書で締結した内容を元に交渉を行います。
また、成立後の従業員の待遇なども必ず話し合っておきましょう。
M&Aによって従業員の待遇が悪化した場合は、集団離職を招く恐れがあります。
優秀な従業員がいなくなった場合、想定していたシナジーが得られなくなることもあるでしょう。
人材の流出を防ぐためにも、従業員の待遇については入念に話し合っておくことが大切です。
デューデリジェンスによって買収リスクが発覚した場合は、M&Aを実施するべきなのかを判断する必要があります。
買収をしても影響の少ないリスクであれば、買収価格を調整するといった対応を行いましょう。
多額の負債などを抱えていた場合でも、事業譲渡というM&A手法を使用すれば、負債を切り離して事業を承継することができます。
また、売り手企業が自身で解決できる買収リスクであれば、クロージング日までに解消してもらうといった対処方法もあります。
買収リスクが判明した場合でも、さまざまな対処方法があることを把握しておきましょう。
【関連記事】事業譲渡とは?メリット・デメリット、相場や事例などを解説!
最終条件の交渉を踏まえて、M&Aを実施する方向で話がまとまった場合は最終契約書の締結を行いましょう
最終契約書には、売却価格や支払いの方法、後述するクロージングの条件などを記載します。
最終契約書は、基本合意契約と異なり法的な拘束力を有しています。
最終契約の締結は、慎重に検討した上で行いましょう。
また、最終契約書という名前はスキームによって変化し、株式譲渡の場合は「株式譲渡契約書」、事業譲渡の場合は「事情譲渡契約書」と呼ばれます。
最終契約書の締結が完了したら、記載した内容に基づいてクロージングを行います。
クロージングとは、M&Aによって経営権を譲渡するための手続きです。
売り手企業側で解消できるリスクなどは、クロージングが完了する日付までに終わらせておきましょう。
【関連記事】M&Aのクロージングとは 手続きや流れ、必要書類などを解説!
クロージングで実施する手続きは、選択したスキームによって異なります。
ここからは、「株式譲渡」「事業譲渡」「合併」におけるクロージングの方法について解説していきます。
株式譲渡とは、株式の譲渡によって経営権を承継するM&A手法の一つです。
株式譲渡で実施するクロージングの手続きは、株式譲渡を行うための書類の提出と、その書類の押印確認などが挙げられます。
基本的には株式の取引のみで実施できるため、他の手法よりも手続きが容易であることから、中小企業のM&Aにおいて最も使用されている手法です。
書類の確認などが完了した後は、株式の引き渡し・対価の支払いを実施すれば取引が完了です。
事業譲渡とは、特定の事業や資産など、選択した対象のみを譲渡できる手法です。
売り手企業の負債を切り離すことができるため、買収リスクを抱えていた場合などに用いられる手法です。
事業譲渡のクロージングでは、資産や契約の移転手続きが挙げられます。
ただし、事業譲渡では譲渡対象ごとに個別で契約を行う必要があるため、株式譲渡よりも手続きが煩雑です。
従業員との雇用契約を結び直す必要があるため、事業譲渡を選択する際にはスケジュールにゆとりをもって行いましょう。
合併とは、2社以上の法人格を統合するM&Aの手法です。
合併の方法には、「新設合併」と「吸収合併」の2つが存在します。
新設合併とは、対象となる企業の法人格を消滅させて、新たに設立した企業に権利や義務を承継させる手法です。
新たに企業を立ち上げる際には設立登記を行う必要があるため、クロージングの際に実施しましょう。
吸収合併とは、一社の法人格を残し権利や義務を承継して、譲渡した側の法人格は消滅させる手法です。
吸収合併は、譲渡の対価として株式または現金を選択することができます。
対価に株式を選択していた場合は、クロージング時に買い手企業が売り手企業に対して株式を発行します。
一方、対価に現金を選択している場合には、クロージングの際に現金の支払いを実施します。
合併の方法に合わせて、適切なクロージングを進めていきましょう。
クロージングが完了した後は、PMIを進めていきましょう。
PMIとはM&Aを実施した後の経営統合作業であり、シナジーを発揮するために欠かせないプロセスです。
PMIで統合する内容は、経営方針・企業文化・組織編成など多岐に渡ります。
それらを早期に統合することで、M&Aの効力をスムーズに発揮することができるでしょう。
また、PMIは具体的に以下のプロセスで進めていきます。
【関連記事】PMI(経営統合作業)とは?プロセスや成功・失敗事例などを解説!
PMIを進めていく際は、統合後の経営方針を固めていきます。
デューデリジェンスの結果を踏まえて、買い手企業側がどの程度経営に係わるかなどを具体的に決めていきましょう。
経営方針が決まった後は、ランディングプランの策定を行います。
ランディングプランとは、クロージングが完了してから3~6ヶ月以内に進めていく課題のことです。
ランディングプランで実施する内容は、組織・人事制度・業務の見直しなどが挙げられます。
デューデリジェンスで発覚した問題点があれば、それを解消するように進めていきましょう。
PMIを実施する際は、ランディングプランだけではなく100日プランも策定する必要があります。
100日プランとは、ランディングプランの中で緊急性の高い課題をまとめたもので、短期的に進めていくべき項目です。
100日プランで実施する内容は企業によって異なりますが、誰が・いつ・何を行うかを具体的に定めておくことがポイントです。
将来的に実現したいことは何なのかを考えて、自社の状況に合わせたプランを作成しましょう。
また、比較的成果の出やすい項目から進めていくことで、従業員のモチベーションを高めることもできます。
早期に成功体験を積み重ねることで、統合作業に対する意識を向上させることができるでしょう。
ここまで、M&Aを実施する際の流れについて解説していきました。
では、M&Aを進める際は、どの程度の時間がかかるのでしょうか?
ここでは、M&Aを実施する際の、スケジュールの目安について解説していきます。
M&Aを検討する段階から統合するまでにかかる時間は、おおよそ半年から1年程度といわれています。
しかし、選択したスキームや企業の規模によって時間が変動するため、3ヶ月程度で完了することもあれば、3年以上かかることもあるでしょう。
特に、デューデリジェンスにかかる時間は企業の規模に大きく左右されます。
中小企業の場合は1週間程度で終わることがありますが、調査項目が多い大手企業に関しては1ヶ月以上かかることもあります。
また、希望している条件を満たす企業が見つからなければ、その分だけM&Aを完了させるための時間も伸びるでしょう。
M&Aにかける時間を抑えたい場合は、いつまでに完了させたいかを考えて、仲介会社に相談しましょう。
あらかじめ期限を設けておくことで、手続きなどをスムーズに済ませようという意識が高まり、効率的に動くことができます。
注意点として、設定した期限内に完了することに焦ってしまい、必要な手続きを短縮するといったことは行わないようにしましょう。
例として、デューデリジェンスは多くの時間がかかる項目ですが、調査が不十分だった場合、買収後に負債が発覚し損失が生じる可能性があります。
M&Aを行う企業を焦って決めてしまうと、想定していたシナジーが得られずに経営が悪化する恐れもあります。
設定していた期間を超えてしまう場合でも、状況に応じて柔軟に対応することが大切です。
M&Aを実施する際には、以下のポイントを抑えておきましょう。
ここでは、M&Aを実施する際に確認するべき事項を3つ紹介します。
【M&Aを実施する際に確認するポイント】
統合後にシナジーを発揮するためには、相手企業の経営者がどのような人物であるかを見極める必要があります。
特に、中小企業の場合は経営者自身が企業の特性に大きく反映されるため、M&Aを実行するかを判断する要素にもなるでしょう。
トップ面談を行う際は、経営者の理念・経営に対する意識・人間性などを確認し、信頼できる人物であるかを判断することが大切です。
また、トップ面談の際には、相手企業の経営者と信頼関係を築くために、誠実な態度で接することも重要です。
ビジネスパートナーとしての関係性を深め、統合作業を進めやすくしましょう。
M&Aにおいて、買い手企業はできるだけ安く買収したいと考えるのに対し、売り手企業は高く売りたいと考えることは当然です。
特に、売り手企業は自社に対する愛着もあるため、安く売ることは避けたいと思うとこは当たり前といえるでしょう。
しかし、感情の要素が大きい場合には、相場よりも高く売りたいという気持ちが強く出てしまいます。
売り手企業の経営者にとっては辛いことですが、自社を第三者の目線で分析し、売却価格が適切であるかを判断しましょう。
M&Aによる買収は、ブランド力の向上や新規事業への参入、事業領域の拡大などを目的として行われます。
それらの目的を達成するためには、売り手企業の分析を入念に行う必要があるでしょう。
交渉を行う際には、自社が必要としている情報の提供を依頼し、想定していた利益を得られるかを判断しましょう。
また、買収を希望する企業が多い業界では、売値が高騰している傾向があります。
買収価格に見合う利益が得られるかなども考え、M&Aを実施するべきかなどを判断しましょう。
M&Aを実施する際には、専門家にサポートを依頼して進めていくことが一般的です。
しかし、経営者自身でなければ判断できない要素も多いため、全体的な流れを把握しておくことも重要です。
実施する項目・抑えておくべきポイントを理解し、M&Aをスムーズに進めていきましょう。
経営者自身が知識を深め、M&Aに対して積極的に係わることも成功に導くポイントです。