投稿日:2022/09/02
更新日:2022/09/26
近年、リース会社業界では、大手企業が積極的に買収を行っている傾向が見られています。
企業の買収は事業の拡大を図るのに効率的な手段であることから、今後も買収事例は増えていくことでしょう。
では、リース会社を売却する側の企業には、どのようなメリットがあるのでしょうか?
この記事では、リース会社を売却するメリットや流れ、事例などを紹介します。
目次
リース会社とは、自社が購入した製品を顧客に貸し出すサービスを行っている企業です。
製品の貸し出しという意味ではレンタルと似た要素がありますが、レンタルは貸出期間が数日~1ヶ月程度であるのに対し、リースは半年~10年程度という違いがあります。
また、リースの種類には、「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の2種類が存在します。
ファイナンス・リースとは、貸出期間中に中途解約ができず、対象製品にかかる保険料などもリース料として支払う取引です。
一方、オペレーティング・リースは、上記の条件に当てはまらず、必要な期間のみ貸出を行えるリース契約を指します。
ここからは、リース会社の売却について解説していきます。
近年、リース業界では大手の総合リース会社が、事業拡大などを目的として買収を行うケースが増えています。
買収対象となる企業は、専門性の高い特化型のリース会社が多い傾向があります。
これは、大手企業には無い特徴を持っているリース会社を買収する事によってシナジーを発揮し、市場が縮小傾向にあるリース業界で競争力を高めていくためでしょう。
また、国内市場が縮小していることから、海外への事業展開を目的とした買収を行う企業も増加しています。
リース会社の売却を検討している際は、その情報が外部に広まらないようにしましょう。
自社を売却することが従業員に広まった場合、仕事のモチベーションに悪影響を与えてしまう可能性があります。
取引先に伝わってしまった場合には、経営状況が良くないのではと不信感を抱かれてしまい、取引が打ち切られてしまうことも考えられます。
そのようなリスクを回避するためにも、自社の売却を検討している際には、情報が広まらないように細心の注意を払うことが重要です。
従業員や取引先に自社を売却することを伝えるのは、売却することが確定したタイミングに行いましょう。
リース会社は、リーマンショックの影響により市場規模が大きく低下した業界です。
また、近年ではサブスクリプションサービスの普及によって、需要が低下することも予測されています。
ここからは、リース会社の現状について解説していきます。
バブル期以降、リース業界は年間7兆円前後の契約高を推移していました。
業界全体の業績は好調だったものの、2006年を皮切りに契約高は徐々に下がっていき、2009年には4兆円台、2010年には3兆円台まで低下しています。
これは、2008年にリース会計基準が改正されたことや、リーマンショックによる経済的不況が影響していると考えられます。
2010年から2018年までの間は3兆円台の状態が続き、市場に大きな変化は現れませんでしたが、2019年には再度4兆円台まで回復しました。
しかし、2020年には再度3兆円台まで低下し、2021年には前年度を約5000億円下回る3兆2579億円となりました。
これは、新型コロナウイルスの感染拡大によって、航空機や設備投資などの需要が低下したからであると考えられます。
リース業界が扱っている製品はオフィス機器や産業機械など多岐に渡るため、国内市場に大きく影響を受ける業界であるといえるでしょう。
近年では、サブスクリプション型のサービスが普及していることによって、さらなる需要低下が危惧されています。
サブスクリプションとは、定期的に料金を支払うことで、使用したい分だけのサービスを受けられるという利用形態を指します。
サブスクリプションは購入する場合と比較すると、費用を抑えて利用することが可能です。
クラウド型のソフトウェアは、サブスプリクションで利用することによって設備の導入コストをも抑えられるというメリットもあるため、特に普及している傾向があります。
また、サブスクリプション以外では、モノ・場所・スキルなどの提供や共有を行うシェアリングエコノミーというサービスも普及しています。
類似したサービスが普及していることは、リース会社の経営に影響を与えることでしょう。
近年では国内のリース市場が縮小していることによって、大手企業は新たな事業での成長を目指している傾向があります。
オリックス・三井住友ファイナンス&リース・三菱HCキャピタルといった大手企業は再生可能エネルギー事業に注力しており、異なる業界での事業拡大を図っています。
また、国内のリース需要は飽和している影響から、海外での展開を目指している傾向も見られており、海外リース会社の買収事例も増えています。
自社の成長させるための手段として、今後のリース業界では、新規事業の開拓や海外市場の開拓などが活発に行われていくことでしょう。
リース会社を売却するメリットは、主に以下の5つが挙げられます。
【リース会社を売却するメリット】
リース会社を含む中小規模の企業は、事業を引き継ぐ後継者がいないという問題を抱えていることがあります。
後継者がおらず経営者が高齢になったことによって、最終的に廃業してしまう企業は少なくありません。
周りに事業を引き継ぐ相手がいない場合は、自社を第三者に売却することによって会社を存続させることができます。
自社の売却は廃業と比較するとさまざまなメリットがあるため、後継者がいない方は、自社の売却を一度検討してもよいでしょう。
経営不振や後継者不足などによって自社を廃業した場合、従業員は新たな働き口を見つける必要があります。
長年関わってきた従業員の生活に影響を与えることは、経営者として回避したいと考えていることもあるでしょう。
従業員の雇用を守りたいときは、事業の売却は有効な手段です。
後継者がいない場合でも、自社を第三者へ承継すれば廃業を回避できるため、従業員の雇用を維持することも可能です。
資金力のある大手企業に売却すれば、従業員の雇用条件が改善されることもあるでしょう。
経営不振の場合でも自社を売却できた事例もあるので、一度自社を売却できるか仲介会社などに相談してみてはいかがでしょうか。
市場規模が縮小傾向にあるリース業界では、充分な収益を挙げられずに経営が不安定な状態にある企業も少なくありません。
自社の経営基盤を安定させたいときには、自社を大手企業に売却して傘下に加わるという方法もあります。
ブランド力や資金力のある企業に加われば、競争力を高めて収益の増加を図ることも可能です。
両社が保有するノウハウを組み合わせれば、シナジーの発揮によって想定以上の利益を生み出せるかもしれません。
中小規模の企業は、個人保証によって融資を受けているケースも少なくありません。
経営が悪化した場合には自身の生活にも影響がでてしまうため、精神的な負担を感じている方もいるでしょう。
経営のプレッシャーを解消したいと考えている場合は、第三者へ自社を譲渡するという手段もあります。
注意点として、会社を譲渡したからといって、個人保証が自動的に引き継がれるというわけではありません。
個人保証を解消したい際には、金融機関と買い手企業へ話をしておきましょう。
事業を売却することによって、企業の価値に応じた売却益を獲得することができます。
事業を複数行っている場合は、特定の事業を切り離し売却することで、他の事業に人員や資金をつぎ込むことが可能です。
新たな事業を始める際にも、売却益があれば潤沢な資金に余裕をもって事業を行うこともできるでしょう。
また、株式譲渡などによって自社を売却した際には、主要株主である経営者が売却益を獲得することができます。
獲得した資金を活用すれば、経営から撤退してアーリーリタイアも図れるでしょう。
売却益を得られることは、自社を買い手へ譲渡する際の大きなメリットです。
リース会社の売却は、主に以下の流れで進めていきます。
【リース会社を売却する流れ】
まず最初は、企業の売却に対応している専門機関にサポートを依頼します。
企業の売却を行う際には、買い手企業との交渉や書類の作成など、やらなければいけないことが多岐にわたります。
それらを個人で進めていくことは困難であるため、漏れなく的確に進めたい方は専門家にサポートを依頼しましょう。
また、M&A仲介会社では、企業の売却が成立するまでのサポートを一貫して手掛けています。
買い手企業の紹介も行っているので、売却を検討している方は、自身が希望している条件を伝えて企業の選定を依頼しましょう。
買い手企業の候補が見つかったら、秘密保持契約を結んで情報を開示しましょう。
秘密保持契約とは、第三者への情報漏洩を禁ずることが記載された書類です。
売り手企業にとっては、自社の売却を検討しているという情報が漏洩するだけでもリスクになり得るため、秘密保持契約の締結は必須といえるでしょう。
秘密保持契約の締結には、情報の漏洩を抑止するという目的も含まれています。
また、秘密保持契約には情報が流出した際の対応についても記載があるため、万が一情報が漏れた際にもスムーズに対応することができます。
【関連記事】M&Aの秘密保持契約(NDA)とは?目的や記載項目などを解説
情報の開示後、両企業が取引をする意思を持った場合は、トップ面談に進みます。
トップ面談とは、経営者同士が顔を合わせて企業の売却・買収について話し合うことです。
トップ面談の際には、相手企業の経営者が信頼できる相手であるかを見極めることが大切です。
交渉が順調に進み成約に至った場合、相手企業との経営者とは長い付き合いになるでしょう。
初期の段階から相手企業の経営者と信頼関係を構築できていなければ、経営統合中にすれ違いが生じ、想定していたシナジーを生み出せないことも考えられます。
場合によっては、取引そのものが破談になることもあり得ます。
取引をより良いものにするためにも、相手企業の経営者と適切なコミュニケーションを取ることが重要です。
トップ面談を踏まえて、両企業の経営者が交渉を進めていくことになった場合は、基本合意書の締結を行います。
基本合意書とは、両企業の経営者が買収・売却を進める意思を持っていることを示す書類です。
記載内容には、売却の手法や今後もスケジュール、取引価格などが挙げられます。
注意点として、基本合意書に記載されている内容には、一部を除いて法的な拘束力がありません。
基本合意書に記載されている取引価格などは、後述するデューデリジェンスの結果次第で変動することもあります。
基本合意書の締結が完了したら、デューデリジェンスの実施に移ります。
デューデリジェンスとは企業の内部調査のことであり、簿外債務や訴訟リスクなどの有無を確認します。
取引を行う際には、売り手企業が自社の情報を買い手企業に伝えますが、口頭で伝えられた内容のみでは不十分であるといえます。
意図的に情報を隠していたつもりは無くても、売り手側が把握できていない買収リスクがあるかもしれません。
買い手側にとって、買収を行ったことで想定外の負債などを抱えることを避けたいと考えるのは当然です。
買い手企業にとって、デューデリジェンスの実施は買収によるリスクを回避するために必要な工程です。
また、買い手企業がデューデリジェンスを実施する際には、売り手企業も可能な限り協力しましょう。
デューデリジェンスの実施に協力的だと買い手企業から信用も得られるため、その後の取引をスムーズに進めやすくなります。
【関連記事】デューデリジェンスとは?目的や種類、流れや費用などを解説
デューデリジェンスが完了した後は、再度最終契約の交渉に進みます。
デューデリジェンスによって買収リスクが見つからなかった場合は、基本合意契約の内容をもとに売却価格などを決めましょう。
従業員の雇用条件など細かい取り決めについての話も行い、条件が合えば最終合意契約を締結します。
最終合意契約の内容は基本合意契約と異なり法的な拘束力があるため、慎重に進めていくことが大切です。
また、デューデリジェンスの結果によって買収リスクが発覚した場合は、そのリスクをどのように対処するかを話し合います。
後述するクロージングまでに解消できる内容であれば、売り手企業は買収リスクの解消を進めます。
解消が難しい場合には、買収価格を調整して対応するケースもあります。
万が一そのリスクが致命的なものだった場合には、交渉自体が破談になる恐れがあるため注意しましょう。
交渉に掛けた時間やコストを無駄にしないためにも、売り手側はあらかじめ買収リスクの有無を把握しておくことも重要です。
最終合意契約の締結が完了したら、クロージングを進めていきます。
クロージングとは、最終合意契約の内容に従って、経営権の移転や譲渡対価の支払いを進めていく手続きです。
クロージングで行う内容は、スキームと呼ばれる取引の手法によって異なります。
最終合意契約の内容によっても実施する内容が変化するため、専門家にサポートを依頼しながらクロージング作業を進めていきましょう。
また、基本的にクロージングを行う際は、「売主・買主によるクロージングの制約事項が、すべて履行や遵守されること」「取引先企業、役員やキーマンなどの同意を得られていること」といった前提条件を設けて、それらを達成するように進めていきます。
クロージングにかかる期間はスキームによって異なりますが、おおよそ1ヶ月~1年程度ですので、スケジュールに余裕をもって実施しましょう。
【関連記事】M&Aのクロージングとは 手続きや流れ、必要書類などを解説!
クロージングを実施する際には、並行してPMIも進めていきます。
PMIとは、企業の売却・買収が成立したあとの経営統合作業のことであり、統合によるシナジーを発揮するために重要な項目です。
PMIで統合する内容は、社内システムや組織編成などの経営に関わる基本的な項目から、社内風土や企業文化などの精神的な要素まで多岐にわたります。
統合する内容をどのようなスケジュールで実施するかを考え、買い手と売り手で協力しながら進めていきます。
また、PMIを行う際には、100日程度を目安に実施する項目をまとめた「100日プラン」と、3~6ヶ月程度で達成することを目標にした「ランディングプラン」を設けて統合作業を実施します。
2つのプランを策定した後には、統合作業が順調に進んでいるかを一定間隔で確認しましょう。
統合作業が遅れている場合などは、スケジュールの調整などを行い柔軟に対応していくことが大切です。
【関連記事】PMI(経営統合作業)とは?プロセスや成功・失敗事例などを解説!
会社の売却価格は、会社が保有している資産や年間の利益などによって決められます。
それらは企業によって大きく異なるため、リース業を営む企業全体における売却価格の相場を一概に決めることはできません。
ただし、自社を売却する際の目安となる価格は、時価純資産に2~5年分の営業利益を足した金額であるといわれています。
注意点として、上記で求められる金額は、あくまで目安となる売却価格です。
実際には、他の計算方法も組み合わせてさまざまな観点から企業価値の評価を行い、それらを組み合わせて算出された値をもとに、買い手との交渉によって売却価格は決定します。
より正確な売却価格を把握したい場合は、専門家に企業価値の評価を依頼しましょう。
【関連記事】M&Aにおける企業価値評価(バリュエーション)とは? 種類やメリットも解説!
リース会社の売却を成功させるためにも、以下のポイントを抑えておきましょう。
【リース会社を売却するポイント】
リース会社の売却を検討している際は、自社にはどのような強みがあるのかを分析して把握しましょう。
近年では、リース会社の売却を検討している企業が増えている傾向があります。
他社と比較した際に強みといえる要素がなければ、買い手企業が自社に興味を持つ可能性は低下します。
反対に、自社独自の強みなどがあれば、買収を希望する企業が現れやすくなるでしょう。
買い手企業に自社をアピールする際の要素にもなるため、相場よりも高い値段で売却できる可能性も高まります。
リース会社の売却を成功させたい場合は、独自の強みを調べ上げておくことが大切です。
買い手企業に自社をアピールする際は、統合によってどのようなシナジーを生み出せるかを調べておきましょう。
例として、買い手が対応していないエリアでリース会社を経営していた場合は、統合によって事業拡大を図れることがアピールポイントになります。
異業種の企業に自社を売却する場合にも、買い手が取り扱っている製品をリースで提供できるのであれば、買収を希望する可能性が高まることが考えられます。
買い手企業の候補が見つかった際には、相手企業の分析も行い、自社を買収するメリットを明確にしておくことで売却できる確率は向上するでしょう。
自社の売却を成功させたいと考えていても、専門的な知識がなければわからないことも多いでしょう。
売却を進めていくには法務や税務などの知識も必要になるため、M&A仲介会社などの専門家にサポートを依頼することをおすすめします。
M&A仲介会社には、戦略の組み立てや買い手との交渉なども依頼することが可能です。
リース会社の売却のことで悩んでいる際は、一度仲介会社などに相談してみましょう。
また、ACコンサルティングでは、リース会社の売却を完全成功報酬型でサポートしています。
売却の相談にも無料で対応しているので、まずはお気軽にお問い合わせください。
リース会社を売却する手法(スキーム)には、さまざまな種類があります。
手法によって異なるメリットやデメリットがあるため、自社の状況に合わせた手法を選択しましょう。
ここでは、リース会社の売却で使用されることが多い「株式譲渡」「事業譲渡」「合併」について解説していきます。
【関連記事】M&Aの手法は何がある?特徴やメリット・デメリットも解説!
株式譲渡とは、所有している株式を第三者に譲渡することによって経営権を移行する手法です。
株式譲渡による取引は経営権が移行されるだけなので、企業は消滅すること無く存続します。
経営権の譲渡も株式の移行によって行うことから、他の手法と比較すると手続きが容易というメリットもあります。
スムーズに取引を行えるという特徴があるため、中小企業の売却において最も使用されている手法です。
また、売却益は株主である経営者が獲得できるので、アーリーリタイアを図る際にも使用されることが多い手法でもあります。
株式譲渡は企業の売却において最も使用されている取引手法ですが、事業譲渡のように特定の事業を切り離して売却できないというデメリットも存在します。
複数の事業を営んでいる中でリース事業のみを売却したい場合は、事業譲渡など他の手法を選択しましょう。
【関連記事】会社譲渡とは?メリットとデメリット、相場や事例などを解説!
事業譲渡とは、事業の一部または全てを切り離して、第三者への譲渡を行う手法です。
自社が複数の事業を行ってる際、特定の事業のみを売却し経営の集中化を行う場合などに有効な手法です。
また、売り手企業が買収リスクを抱えていた際には、事業譲渡でリスクを切り離し売却を行うケースも見られます。
注意点として、事業譲渡による売却を行う場合、譲渡する対象ごとに手続きを行う必要があるため、株式譲渡のようにスムーズに実施することができません。
発生する税金も株式譲渡より高額になるため、事業譲渡を行う際には、そのようなデメリットがあることを把握しておきましょう。
【関連記事】事業譲渡とは?メリット・デメリット、相場や事例などを解説!
合併とは、2社以上の企業を一つに統合する手法で、「新設合併」と「吸収合併」の2つがあります。
新設合併とは、新たに立ち上げた企業に権利関係を承継して、対象企業の法人を消滅させる手法です。
買い手企業・売り手企業が対等な立場というイメージがあるため、従業員などからネガティブな印象を持たれにくいというメリットがあります。
ただし、両企業が消滅してしまうことから、許認可を再度取得する必要があるというデメリットも存在します。
一方、吸収合併は、どちらかの法人に経営権を承継して、もう1つの法人は消滅させるという手法です。
1社の法人は残ることから、許認可を再度取得する必要が無いため、新設合併よりも使用されることが多く使用されています。
また、合併は2社以上の企業を1つに統合することから、PMIにかかる時間が他の手法よりも長いというデメリットがあります。
統合までをスムーズに行いたい場合には、株式譲渡による売却も検討しましょう。
リース業界では、数多くの売却・買収事例が存在します。
リース会社の売却に対する知識を深めるためにも、どのような事例があったのかを把握しておきましょう。
ここからは、リース会社の売却事例について解説していきます。
【リース会社の売却事例】
2022年、医療系企業などの持株会社であるシップヘルスケアホールディングス株式会社は、キングラン株式会社の株式を取得し連結子会社化することを発表しました。
キングランは、医療・介護向けのカーテンリース事業などを手掛けている会社です。
シップヘルスケアホールディングスは、キングランを子会社化することによってシナジーの発揮を図りました。
該当企業の取得価額は90億3800万円です。
2020年、大手の総合リース会社である芙蓉総合リースは、ヤマトホールディングスの子会社であるヤマトリース株式会社の株式を取得し子会社化することを発表しました。
ヤマトリースは、トラックリースなどを中心に事業を展開している企業です。
芙蓉総合リースは、双方の事業基盤及びノウハウを組み合わせることで、競争力の強化などを図りました。
該当企業の取得価額は約36億円です。
2018年、金融系の持株会社であるフィデアホールディングス株式会社は、グランド山形リース株式会社の株式を取得し子会社化することを発表しました。
グランド山形リースは、総合リース業を手掛けている企業です。
フィデアホールディングスは、子会社化によってコンサルティング営業体制の強化を図りました。
該当企業の取得価額は17億2600万円です。
2017年、大手精密機器メーカーであるキヤノンは、東芝医用ファイナンス株式会社の株式を取得し子会社化することを発表しました。
東芝医用ファイナンスは、医療機器などのリース事業を手掛けている企業です。
キヤノンは2016年に東芝メディカルシステムズ株式会社も子会社化しており、東芝医用ファイナンスの子会社化によって医療機器事業のさらなる成長を図りました。
該当企業の取得価額は31億4000万円です。
2021年、大手総合リース会社であるJA三井リース株式会社は、株式会社日本包装リースの株式を取得し子会社化することを発表しました。
日本包装リースは、包装分野に高い専門性を持つリース会社です。
JA三井リースは、子会社化によって包装機械・食品機械分野での専門性を高め、専門領域の事業拡大を図りました。
該当企業の取得価額は不明です。
リース業を営む企業は、コロナによる市場の縮小などから競争力の強化が求められています。
大手リース会社や異業種の企業が買収をする事例が増えており、売却を希望する会社の需要は高まっていると考えられます。
リース会社の売却を検討している際には、他社と比較して自社にはどのような強みがあるのかを分析しましょう。
また、リース会社の売却を進めていくためには専門的な知識が必要になるので、M&A仲介会社などに売却のサポートを依頼することをおすすめします。